概要
辛い体験がもとで麻耶は感情を表に出さない「クールガール」となる――時折見せる笑顔はすべて作り笑い。とりわけ男に対しては常に嫌悪を露わにする。
麻耶が就職したのは、地元でコンビニのチェーン展開を図る中小企業――素晴らしい経営理念を並べる割に、蓋を開けてみると、CSやESを蔑ろにする、同族経営を絵に描いたような会社。自分がイメージしていたコンビニ像に程遠い状況に、麻耶は深い失望とやり場のない怒りを覚える。
そんな中、麻耶の会社が業界最大手のコンビニ「サン&ムーン」に吸収合併される。事業責任者として赴任したのは、年齢こそ三
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!仕事も、恋も。本物は、真摯な情熱抜きには生まれない。
幼い頃から恵まれない環境で育った主人公、麻耶。
彼女は、どんな状況にあっても「より良く生きる」ことを諦めない。そんな苦しい時間の中で、自分を力強く導く思わぬ「存在」に出会い——。
そんな彼女がやがて引き寄せるさまざまなものや、人。かけがえのない出会いが、彼女の人生を大きく変えていく。
「コンビニ」という、誰にも馴染みのある、そして大きな可能性を持った場所。この物語は、旧態然とした地方のコンビニの再建を題材とした「職業もの」であると同時に、運命に屈することなく人間が真剣に生き抜く姿を具に描き出した作品でもあります。
生きるために、彼女がしたこと。そして引き寄せたもの。それらはどれも偶然や成り…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一風変わったお仕事小説!
お仕事小説なんですよ?
なんですけど、なんでしょう……それだけじゃないこのわくわくお好み弁当みたいな感じ。
メインは勿論大好物がドーンと乗ってる(これが根幹のお仕事のお話ね)んだけれども、好きなものがこれでもかと入っててすっごい得した気分なのに、さらにピクニックもしちゃうみたいな。
冒頭から、現実なのかそれともファンタジーなのか、どっちとも取れる様相を呈しているのですが、やはり途中からは変化球の得意な作者様。
全く予想もつかない展開へと発展し、最後までどうなるのか、ドキドキハラハラさせてくれます。
本当の意味での幸せな時間を、麻耶は手に入れられるのか?
そしてっ!上司である今岡さんとの恋…続きを読む - ★★★ Excellent!!!コンビニを題材とした、ちょっと不思議な物語!
まずは物語としてしっかりと楽しめる作品です!
主人公は不幸な生い立ちの麻耶、人間不信、特に男性不信の塊のようなクールガールですが、今岡さんという新たな上司が着任することにより、いろいろと人間的に成長していきます……というだけの簡単な話ではないんです。
前半の不思議な雰囲気の物語、嵐の中で灯台のように灯るコンビニの明かり、今岡さんという不思議でなんとも有能な人、彼の元に集まってくる強烈なキャラクター達、やがてコンビニの常識をひっくり返すようなプランが動き出し、ともう書ききれないくらい、物語は進んでいきます。
いつも通りの楽しいストーリーテリング、波乱万丈の構成、毎度気になる引きの数々、読者を飽…続きを読む - ★★★ Excellent!!!麻耶が見つけた「幸せな時間」
主人公の桜木麻耶は幼い頃、辛い経験をした。
その時、近くのコンビニが心の支えとなっていた。
そんな思い出から、コンビニで働きたいと、仙台で展開するローカルコンビニ会社へ就職。
しかし就職した会社は、良く言えばアットホームな会社、悪く言えば経営難な会社。
そんな状態の会社が、突然大手コンビニ会社に買収されることに。
そこで出会う買収先の部長・今岡さんやそのほか様々な人を通じて、麻耶の心が変わっていきます。
クールガールで笑うことのない麻耶がどのように変わっていくのか。彼女にとって「幸せな時間」とはなんなのか?
お仕事とラブストーリーの2軸で展開していきます。
ハラハラする箇所も随所に散…続きを読む - ★★★ Excellent!!!キーワードは『信頼』でしょうかね☆
境遇から……自分だけを信じて、子供の頃から大人になるまで過ごしてきたはずなのに、実は「自分を信じ切れていなかった」一面がジワジワと顔を出してくる印象を受けました。
――クールでいてクールでない。
そんな不安定な主人公に恋のお相手が登場する事で、「クールに振る舞う必要は無いんだよ」という事を気付かせてくれるまでの描写が、程良いリズムで乱高下するのが面白いです。
仕事に関しても、厳しい現状における措置と人員に対する配慮、新たなプロジェクトの発想や、成功に向けての考え方・進め方。それぞれが、未経験者でもわかりやすい表現で書かれているので、読み進める途中で一時停止する事もないかと思います。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幸せな時間。これは共有してこそ、光り輝きますぜ!
舞台は杜の都、仙台。物語の主人公、桜木麻耶はある理由から地元のコンビニエンス・ストアに就職する。
麻耶がさまざまな出来事や人々に遭遇、体験しながら、仕事を通じてひとりの女性として成長していく過程を描いた物語である。
ただし、一般的なお仕事物語ではありません。作者の十八番である変化球が、縦横無尽に飛んできます。それがすべてストライクなのです。
キーワードは二つ。ひとつはタイトルにある、なぜ麻耶は笑わないのか。笑顔を取り戻すことができるのか。もうひとつは、幸せな時間という言葉が意味するところは、なんであるのか。ではないかと思います。
グイグイと読み手を物語の中へいざなってくれる筆力は、さすがの定…続きを読む - ★★★ Excellent!!!笑わない摩耶が笑顔になれた「幸せな時間」とは
コンビニを展開する会社で働く主人公・麻耶がほんとうの「幸せな時間」に気づくまでの物語。
麻耶の寂しい生い立ちがコンビニ会社への就職に大きく影響していたり、会社のM&Aで乗り込んできた男性との出会いがあったり、コンビニの新しい形を模索する中でユニークな仲間に出会ったりと、お仕事を舞台に物語が動いていくのですが、物語の軸にあるのは「幸せな時間」を求める麻耶の恋愛でした。
けれども一筋縄ではいかないストーリー展開はさすが変化球の得意な作者様!
麻耶に接触してくる今岡さんの真意が掴めずドキドキさせられたり、「もう一人の麻耶」の行動にドキドキさせられたり、不思議なタイムラグが物語にどう作用するのか…続きを読む