幸せな時間。これは共有してこそ、光り輝きますぜ!

舞台は杜の都、仙台。物語の主人公、桜木麻耶はある理由から地元のコンビニエンス・ストアに就職する。
麻耶がさまざまな出来事や人々に遭遇、体験しながら、仕事を通じてひとりの女性として成長していく過程を描いた物語である。
ただし、一般的なお仕事物語ではありません。作者の十八番である変化球が、縦横無尽に飛んできます。それがすべてストライクなのです。
キーワードは二つ。ひとつはタイトルにある、なぜ麻耶は笑わないのか。笑顔を取り戻すことができるのか。もうひとつは、幸せな時間という言葉が意味するところは、なんであるのか。ではないかと思います。
グイグイと読み手を物語の中へいざなってくれる筆力は、さすがの定評通りです。
欲を言えば、Neo Galaxy Planの面々(これがまた曲者揃いなのです)がもっと活躍するシーンが見たかったですね。どちらかと言えば、麻耶と今岡さんとのラブストーリーが主軸。とはいえ、きっちりと麻耶は働いています。
読み終えたあと、あらためてキャッチ・コピーを振り返れば、「なるほど!」と思わず大きく頷きます。回収の巧さに、納得です。

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