概要
幼年編
黎元美鍵:主人公。ピアノと共に育った少女。
深山:ピアノ講師。楽壇では著名。
水澄麗花:ジュニアピアニスト。
逢野:小学校のクラスメイト。
間宮柳子:天才と呼ばれるジュニアクラシックピアニスト。かつて師事した深山に心酔。
王城季理絵:ジュニアジャズピアニスト。毒舌だが、少女趣味の隠された一面も。
高校生編
逢野藍:美鍵の小学校以来の親友。ピアノが好きで作曲家を志望する。美鍵にはあいちゃんと呼ばれている。
和歌山ことみ:頭が残念な子。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!魅力的な登場人物により紡がれる、暴力的なまでに純粋な音楽の物語
まずは難しい事はいわない。
まずは最初の、幼年編を読んでくれるだけで構わない。
この作品のすばらしさは、これを読むだけでも伝わる筈だ。
この作品は、凄まじい熱量を秘めた作品といえる。音楽に対する膨大な知識と、音楽に対する卓越した感性から描写される情感溢れる文章が読者を世界観の中に引きずり込む。音楽について、ここまで精緻にかつ丁寧に、暴力的に描き抜かれた作品には、そうそう出会うことができない。
音楽を齧った事があり、かつ音楽を扱った創作に少しでも触れたり、挑戦した事がある人なら、この作品のすさまじさがわかると思う。ここまで音楽と物語と、キャラクター性が破綻せず調和した作品は本当に…続きを読む - ★★ Very Good!!気付いたら自分の足元が崩れていくように作品に埋没していた
音楽、という個人的に全く接点の無い題材であるこの作品を、友人に勧められたのが読むきっかけでした。上記した通り私自身は音楽に関して造詣など欠片もなく、正直初めは興味すら湧かなかったのです。
馴染みの無いジャンルだから面白くない? 読み進めるのが難しい? ⋯⋯幼年編を読んで、そんな考えは吹き飛ばされました。水底で踊るような人物相関、それぞれがすこぶる魅力に満ち溢れた登場人物、叩きつけるような心理描写、極めつけは演奏シーン。
これは言葉を連ねるのは無粋というものでしょう。一度でいいので、4話まで読んでみて評価して欲しいと強く主張します。 - ★★★ Excellent!!!バトルものを超えた熱量で描かれる、ピアニストたちの闘い
ピアノ、しかもクラッシックの話。この時点で、敬遠してしまう読者も多いのではないでしょうか。しかし、音楽に興味がない人も、ぜひ3話まで読んでみていただきたい。この作品は、ハイソな教養小説の皮をかぶってはいるが、その本質は激熱のバトルものなのです!
というのはあくまでぼくの主観ですが、3話・4話の流れは本当に熱い。誰もが知っているあの曲を、完璧なクラッシックとして演奏してみせる間宮。そしてその間宮の演奏に応じる型破りな王城……まさにバトルものの王道展開。これからこの作品がどういった方向に進むのか、まだわかりませんが、ぼくとしては「咲~saki~」のような塩梅で、音楽バトル&百合な展開を期待し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ジャズとクラシック、その対立と融合を鮮やかに描く
ジャック・ルーシェがプレイ・バッハでジャズとクラシックの融合を見事に成し遂げてから半世紀ほどが経ちましたが、今でもジャズとクラシックの違いと対立、メロディとリズム、楽譜と即興、水と油のようなそれらを融合させる試みはホットなトピックであり続けています。
本作は、めんどくさい音楽オタクがめんどくさいオタク特有のめんどくさいオタク語りをすれば、冗長で退屈で衒学的になりがちなこのトピックを、それぞれの音楽をそれぞれの少女たちに代表させ、その人間関係によって描き出すことで、非常にとっつきやすいものに仕上げています。
ジャズの天才とクラシックの天才の王道の対立構造。そして、その双方の良さ、素晴らしさを素…続きを読む