水城洋臣

荒涼とした砂漠の果てに赴く一人の若者。 彼に昂然と矢を放つその弟。 兄の名は孟高。 弟の名は仲穎。 彼らの姓は「董」――。 三国志にその悪名を刻む男の、若き日を描く掌編。

「龍を調理するためでも、龍を食べにきたのでもありません。……やつがれは、龍を殺しに来たのです」

西暦にして２６年。 漢王朝を復興させた、後漢初代皇帝の光武帝・劉秀。 ある日、彼が突然「泰山に行く」などと言い出し、臣下で学友でもある朱祐は……。 自サイト「若竹庵」（http…

西暦にして２６年。 漢王朝を復興させた、後漢初代皇帝の光武帝・劉秀。 彼は、時折宮殿を抜け出しては夜遊びに行く事がある。 その真意とは……？ 自サイト「若竹庵」（http://…

　時は漢の武帝の時代。弐師将軍李広利と仮司馬趙充国の軍は匈奴に包囲されてしまった。趙充国は百余騎を率いて囲いを抜けようと突撃をかける。その百余騎の中にいた王冄（おうぜん）という少…

仙薬を嗅いだ漢の武帝・劉徹は、夢の中で今は亡き寵臣韓嫣と出会う。

天漢二年秋九月、李陵は北の大地にいた。 敵・匈奴の勢力圏、その奥深くに寡兵を連れて。 無謀とも言える決死の行軍。 その先に李陵が見たものとは。 ※作者注：この物語は中島敦氏の…

漢が楚を破り天下を統一した。そのとき逃亡を余儀なくされた斉の指導者・田横は紆余曲折を経て梁に身を隠すことになる。梁の首領である彭越は彼を匿い、保護するが……田横の口から語られる斉…

「百金を得るは季布の一諾を得るに如かず」と云われた楚軍の将、季布。彼が拾ったのはどこか儚げな美少女、虞姫。 すべての音を失った少女「虞姫」と、義に生きる男「季布」。彭城の陥落で交…

趙は危機に瀕していた。漢の大将軍にして「国士無双」の異名をとる韓信がこの国に迫りつつあったからだ。趙を牛耳る陳余の信用も得られない中、趙の名将・李牧の兵法を受け継ぐ李左車は、絶望…

「秦の始皇帝を襲撃した男」張良。その父の戦略的才能を受け継いだ少女、胡蓉は、秦帝国を滅ぼし、項羽率いる楚軍と死闘を繰り拡げていく。 これは、彼女が漢の軍師 張良と呼ばれるようにな…

建国の元勲でありながら、最後は反逆者の汚名によって処刑された男、淮陰候（わいいんこう） 韓信。 楚の項羽、漢の劉邦という二大勢力を向こうに回しての、戦いと、男子の妄想(エロ)の物…

　始皇帝が没した。 　宦官趙高は、始皇帝の寵愛を受けていたにも関わらず、時期到来とばかりに謀を巡らせる。 　秦帝国滅亡の原因ともなった趙高の側面や内心を、丞相李斯、二世皇帝胡亥…

秦（シン）の始皇帝の長男・扶蘇は儒教を愛する温厚な皇子であったが、その性質ゆえに厳格な父との確執は避けられない運命にあった。その相剋の果てに扶蘇が見たものとは何か？ 『易水悲歌』…

戦国時代末期、後の始皇帝である秦王・政に挑んだひとりの男がいた。撃剣の名手にして羽声の力で人の心を自在に操る侠客・荊軻と彼を迎え入れた北方の国・燕、そして燕の歌姫・雪蘭に待ち受け…

自主企画「筆致は物語を超えるか」に参加させていただきます。 ２作目ですが、よろしくお願いします。 登場人物 ・太史 詞：秦帝国史官の長 ・楊 葵　：詞の親友、史官 ・詠　　 ：…

目　次 序　　 一、趙佗の死　　 二、陵墓秘匿　　 三、趙始と絹海道 四、呉楚七国の乱　　 五、二代目趙胡　　 六、歌舞曲『四海兄弟』　 七、三代目趙嬰斎　 八、樛姫の誤算　　…

　　梗　概 前漢初期、嶺南《れいなん》に南越《なんえつ》国という独立国があった。国都は番禺《ばんぐう》（広州）、国王は趙佗《ちょうた》、中原《ちゅうげん》のもと趙国の出自である…

1.趙始初陣､2.南越建国､3.海のシルクロード 始皇帝は趙佗を眼前において、つけくわえた。 「嶺南平定のあかつきには、朕がため南海のはるか先まで遠洋航路を拓くのだ。ゆめ、琅邪…

目　次、序　章、第一章 戦神白起、第二章 方士お彩、第三章 少年王政、第四章 方術修行、第五章 隠れ墨者、第六章 地下宮殿、第七章 兵馬俑坑、第八章 陵墓封印、終　章 …

秦が誇る名将王翦は敗将項燕の首を前に、二番手であることこそが天寿を全うする秘訣だと語りはじめる。

李斯vs韓非！ カクヨム３周年記念の紙とペンと○○企画で書きました。紙もペンも存在しない古代中国が舞台ですが、竹簡と筆は登場します。 と、同時にマグネット！の会話文コンに合わ…

戦国最強国家・秦の基礎を築いた男の最期

呉起は、呉子とも呼ばれ、孫子と並んで中国古代の兵法家として名高い。しかし、軍師といえば聞こえは良いが、呉起においては、誰も彼のように生きたいとは思わないであろう。生まれるのが早す…

「はんれぇい！」　楚の威王に向かって飛んだ勾践六世の孫、越王無彊の首が、宙にあって范蠡の名を声に出した。 　春秋末期、呉越の戦いを制した越王勾践は、江蘇琅琊に遷都した。琅琊は中…

春秋戦国時代に実在した大盗賊、盗跖。諸子百家達はそれぞれの信念で盗跖を止めようと動きだすが…

子貢・・・中国の春秋時代に活躍した孔子の弟子の一人。弁舌や商売の才能に優れ、政治家としても高い素質を持っていた。 古代中国の思想書『荘子』の天地篇にある寓話を参考に、話を書いて…

信仰による支配を排し、自ら望帝と名乗った男の元へ、灌漑に詳しい異国の民が流れ着く。それは、大きな転機となるが、果たして行く末に待つのは繁栄か、それとも衰退か。 不如帰（ホトトギス…

中国古典「山海経」に収録された物語をもとに書きました。

雪山で行われるブラック研修。俺は日夜過酷なシゴキに耐えていた。同室の白石はそのような苦境から脱しようと、逃亡計画を持ちかけてくる。そんな中、俺は深夜の廊下で人を凍らせる純白の巨大…

キャッチコピー通り、ちょっとえっちなシーンがありますので、お楽しみに。 楊貴妃の波乱に満ちた人生です。 よろしくお願いします。

画狂人北斎。その画業三昧の浮世離れした暮らしを、娘として女絵師として支えたお栄。当代一の絵師といわれながらも、貧窮にあえぎつつ、絵筆一本で時代をまっすぐに突っ切った二人の生の人間…

もし――カクヨムを始めようという方がいらっしゃったら、ご参考にどうぞ。 カクヨムを始めて一年数か月の作者が、カクヨムと出会い、投稿に至るまで、そして投稿してから経験したこと、感じ…

咸寧六年（280年）の三月十四日。曹魏を乗っ取り、蜀漢をも併呑した西晋は、最後に孫呉を併呑するべく、複数方面からの同時侵攻を進めていた。華々しい三国時代を飾った孫呉の首都建業は、…

『列異伝』という書物がある。内容の多くは散逸したが、三国志の時代に生み出された中国初の志怪（オカルト）小説である。 作者の名は、曹丕。言わずと知れた奸雄曹操の息子。後漢の献帝に禅…

これは、小説家を目指していた母が遺した小説です。母は結局、夢を果たすことなく夭逝しましたが、作品を少しでも多くの人見てもらいたくてこちらにもアップすることにしました。

英傑、軍師、武将、文官…「三国志」に登場する数多の人物たち。 その一人一人に焦点を当てた短編集です。 メジャー・マイナー、魏・呉・蜀のバランスあまり気にせず、興味を持った人物を取…

13世紀、中国。300年続いた大宋帝国がまさについえようとするこの時代に、いわくありげな宝剣をたずさえた青年――林獅伯は、失われたおのれの過去を捜して流浪の旅を続けている。 一方…

後漢末期、世情、人心は乱れ、妖魔や妖怪の類を招いていた。 司徒に就く王允は後世の悪評を恐れ、朝廷を牛耳る董卓を除くべく、妓女で愛妾でもある貂蝉を使って徐栄の籠絡を図り、反董卓連合…

　『孺子帝』原作：氷臨神下　翻訳：地球村人 　三人の皇帝が相次いで崩御し、誰も注目していなかった皇子が訳も分からずに即位し、危険な局面にさらされた。 　太后は彼を嫌い、もっと幼…

太史慈が生きた時代は乱世へと世情を変えつつあった。 そんな中、公文書を破って敵をつくり、なぜか変人マニアに愛され、最強の漢と一騎打ちを演じる。彼は激動の時代で、ついには独立し自ら…

　悪漢どもが民を苦しめる西部の街。 　クリスマスイブのその夜、現れたのはサンタクロース。 ――ただし。鋼の如き筋肉と、かついだ袋にいっぱいの銃を携えたサンタ。 「今夜が何の日か…

　事故で亡くなった両親に、再び会って親孝行するために、戦国時代の伊賀忍者に転移することになりました。 　初めは自分の家族を幸せにするために、少し未来知識を使うつもりでしたが、悲惨…

一流の仙士である桃修苑と楊蓮鋒は、仲間の死の謎を追ううちに、すでに誅されたはずのある妖魔の存在に出くわすが—— 第一回厨二病小説大賞参加作品です。よろしくお願いします。 ＊＊…

　日々の日常と思しきシーンで出来する恐怖を淡々と描きます。 　古式ゆかしい百物語のルールにのっとり、「九十九話」の怪奇譚で構成しています。 話数にタイトルをリンクさせる「タイトル…

全く新たな三国志が、はじまる。 三国時代。 漢と唐、二つの中華帝国を繋ぐ　長い混乱時代の黎明期。 倫理を外れ『獣』と呼ばれる異民たちと、それを畏怖する人々の葛藤−−『正史三国…

『十八史略』を訳して魏晋南北朝（220年～589年）を読む試み。原文、訓読、現代語訳。 魏晋南北朝にはちっとも詳しくないのですが、面白い時代だと聞き、概要だけでも知ろうと思って…

江戸時代の陰陽師・蒼頡。かつて漢字を生み出した伝説の人物と同じ名を持つ彼は、筆をとり、和紙に言葉を記して文字に魂を入れ、自在に操る力を持っていた。時代は江戸時代初期。戦乱の世が終…

「波間丿乀斎」が公開している作品に関する史書の記述を紹介するものです。訓読文は厨二です。即ち、訓読文はロマンです。

中国文化における大古典「詩経」。 素直に読めば素朴な詩であるこれらは「儒教の経典」という観点から、やたらと深読みがされています。いや素直に読もうや。 ただしそれらの深読みが、…