竹簡と兎毛筆と吃音の韓非子

作者 kanegon

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★★★ Excellent!!!

秦の始皇帝に仕え、その天下統一に貢献した李斯が、かつて荀子の下で同門であった韓非を毒殺するというシーンをすべて李斯の独白のみで綴った歴史短編です。

正直なところ、学生時代の歴史の授業はもう遥か彼方ですので、李斯と韓非という名前だけは記憶にあったのですが、はて、何をした人だったかな? と一瞬戸惑ってしまいました。そこで、恥ずかしながら、ネット検索をしつつお読みしました。
調べるうちにそうだった、そう言えば……と思い出したのですが、調べれば調べるほど(あくまでネット検索の範囲ですが)、作者様がこれだけの分量の中に、二人の人物に関する様々なエピソードを余すところなく盛り込んでおられることが分かり、さすがだと敬服いたしました。

中身はよくわからずとも『韓非子』の名前を知らない方は、まずおられないと思いますが、作者である韓非が重度の吃音であることなど、私は恥ずかしながら全然知りませんでした。またネズミのエピソードなども、wikiにきちんと出ていましたが、私には知識がありませんでした。
一つの作品をきっかけにして、歴史上の人物や出来事に興味を持ち、学びのきっかけを与えてくれる、その意味で本当に素晴らしい作品です。

勿論、上記諸々のエピソードなど、とっくに知っている、という中国古代史通の方には余計なことですが、そのような方は慌てて下調べをする必要なくこの作品をお楽しみいただけるものと思います。

★★★ Excellent!!!

古代中国好きとしてはたまらない作品。
韓非子VS李斯の故事は有名だけれど、李斯の方から見た韓非子像って新鮮です。淡々としているし、非道なのに、なんかリスペクトしているって姿っていいですね。李斯っていえば、嫉妬して讒言したってだけの、男の嫉妬マンって感じだったけれど、キャラクターを与えられると、こんな面白くなるんだなってすごく納得しました。

★★★ Excellent!!!

わかる。わかるよ。永遠に届かないアニキなんか永遠にしちゃいたいよね。きっとジョンレノンを殺したマークチャップマンもそんな気持ちだったんじゃないかな、と読んでいて思いました。

戦国末、始皇帝からの承認なくば、すなわち、死であった時代。俺ならこの時代、隠者一直線だろうなぁ。権力とは、恐ろしいものです。