概要
国難にあえば、残月をみて東海を踏め。しかしてその方策は范蠡に問え。
「はんれぇい!」 楚の威王に向かって飛んだ勾践六世の孫、越王無彊の首が、宙にあって范蠡の名を声に出した。
春秋末期、呉越の戦いを制した越王勾践は、江蘇琅琊に遷都した。琅琊は中原に近い。地の利を得た勾践は覇者となり、天下に号令する。しかし病には勝てない。「国家危急のおりには、『東海を踏め』。方策は范蠡に問え」。このことばを残して勾践は病没する。范蠡は救国の功臣で、「東海を踏む」とは海に入って自殺することを意味する。
琅琊遷都から九十年、越は都を姑蘇の地へ還した。隣国楚のしつような国境侵犯を、防御するためである。越の覇業は頓挫した。
勾践六世の孫無彊は越の威信をかけ、楚との一大決戦を決意する。十万の水軍をひきい、必勝を期して長江をさかのぼったのである。しかし天の時を得ず、長江中流域で壊滅する
春秋末期、呉越の戦いを制した越王勾践は、江蘇琅琊に遷都した。琅琊は中原に近い。地の利を得た勾践は覇者となり、天下に号令する。しかし病には勝てない。「国家危急のおりには、『東海を踏め』。方策は范蠡に問え」。このことばを残して勾践は病没する。范蠡は救国の功臣で、「東海を踏む」とは海に入って自殺することを意味する。
琅琊遷都から九十年、越は都を姑蘇の地へ還した。隣国楚のしつような国境侵犯を、防御するためである。越の覇業は頓挫した。
勾践六世の孫無彊は越の威信をかけ、楚との一大決戦を決意する。十万の水軍をひきい、必勝を期して長江をさかのぼったのである。しかし天の時を得ず、長江中流域で壊滅する
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