概要
後に始皇帝と呼ばれる秦の覇王・政。この王に命をかけて挑んだ刺客がいた。
戦国時代末期、後の始皇帝である秦王・政に挑んだひとりの男がいた。撃剣の名手にして羽声の力で人の心を自在に操る侠客・荊軻と彼を迎え入れた北方の国・燕、そして燕の歌姫・雪蘭に待ち受ける運命とは?秦王打倒に全てを賭けた刺客と彼を巡る人間群像を描く史劇ファンタジー。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!お前に為政者の孤独が分かるか? 開拓者と対抗者とその他の鬩ぎ合い。
面白いです。その面白さを陳腐な譬え話で表現する自分が情け無いのですが、閲覧者に伝えるならば、超時空要塞マクロス。リンミンメイの歌で文化に目覚める巨人達。本作品はマクロスより遥かに高尚です。近寄り難いと言う意味ではなくて、大人の読書に耐え得る内容の骨太さが有ります。不案内ですが、アメリカやフランスの国歌は独立軍や革命市民の行進曲ではなかったでしょうか。歌には馬鹿にできない力が有ると、確かに思うのです。
秀逸な点は、終盤での雪蘭の台詞。主人公よりも存在感を示して物語は終わります。
雪蘭の義父の目論見も読者をニヤリとさせるでしょう。良く出来た物語です。 - ★★★ Excellent!!!カクヨム歴史ジャンルにマジに真正面から歴史物で挑む意欲作
始皇帝暗殺といえば、小説も映画もこれまでに何度となく作られている主題ですが、本作は「刺客列伝」にも記された荊軻の歌の才にフォーカスし、それを一種の異能のように見立て再編した物語です。
本作においても始皇帝暗殺が最も大きな山場のシーンとなりますが、飽くまでフォーカスは歌に合わされていて、言ってみれば史実によって最初からバッドエンドが定められている物語に独自の拡がりと希望を見せています。
歴史物という定められた枠組みの中で、新たな物語を紡ぐという真正面からの取り組み。ラストシーンの儚さと美しさを、ぜひ確かめてみてください。