読者諸兄姉の中には『ミニチュアボトル』と呼ばれるモノを御存知の方もおられるであろう。
御存知の無い方に軽く説明すると、酒類のボトルを通常の大きさから、デザイン・ラベルなどを替えずにダウンサイジングしたモノを云う。
腐敗の心配が少ない蒸留酒のモノが大半だが、現在では日本酒のミニチュアボトルなども出てきている。
※因みに、ミニチュアボトルのサイズとしては50mlの小瓶がスタンダード。
今回御紹介する作品は、怪異と恐怖のミニチュアボトルコレクションである。
今作品の怪異と恐怖は実に多彩だ。
幽霊話の怪談からブラックユーモア、ノンフィクション・ドキュメンタリー風味、妖怪・オカルト・都市伝説。
果てはクゥトルフ神話まで……。
ここまで雑多な、ある意味無節操な短編集もそうはあるまい。
しかし、今作品の作者である『斑猫』氏の作品を愛読しているともなれば話は変わる。
何気なく読んでみたエピソードの幾つかが、『斑猫』氏の他の作品とリンクしている事に貴方は気付くだろう。
そして、知らず知らずその世界に引きずり込まれた事にも……。
勿論の事、『斑猫』氏の作品を未だ御存じ無くとも今作品を楽しむ事は十分に可能だし、妖怪やクゥトルフ神話の知識を御持ちの方なら、更なる陶酔に誘われる事請け合いだ。
小瓶に集められた怪しいコレクション。
貴方も味わってみてはいかがだろうか?
但し、心地良い陶酔の世界から戻って来られるかは、とても保証できないが……。