雪庭瞳

母親の一周忌を終えた園子は偶然、母親の部屋に保管された父親の車の鍵を見つける。 でも父親は園子が十七歳の時に失踪し、その後失踪宣告が成立して法律上の死人になったはずだった。 父…

たまの文学？

「真実を明らかにするために、どうかその力を貸して欲しい」 山の神を父に持つ半神半人の娘、稲羽玉依。 県庁職員として粛々と働いていた入庁四年目の春、人事異動で林業公社機備課への派…

晴子はポスドクの広斗と付き合って約二年、 両親の猛烈な反対にあって結婚に進めないでいた。 しかしどうにか折り合いをつけようと攻防を繰り返す最中、 父が倒れる。 治療を受けたがらな…

「海というものがどこかにあるらしいわ」と水槽の人魚が言った。 　人魚は生まれた時から、リビングルームの水槽の中に住んでいて、本来の人魚の大きさの半分どころか、十分の一……いやもっ…

軽い気持ちで書いたミステリーが新人賞を獲得したのは、大学一年の秋。 作家生活二十周年を迎えた世添（よぞえ）は、芳しくない新作の評価に辟易していた。 理由は分かっている。トリックの…

あるところに美幸という女の子がいました。ガラスの靴をきらきらとした目で見つめていた彼女は、結婚して幸せな家庭を持つ――予定でした。 大晦日に繰り広げられる、現代版シンデレラのは…

精神障害を患う母を世話するため、一人暮らしの家を引き払って実家に戻ってきた私。ある日、アルバイト先である鎌田カルチャーセンターで、障害者支援施設オウルの事務長・小駒彰から、オウル…

――そうだ、あの布団を公開したらええんじゃないの。 幼稚園に勤める文乃と住持の尚隠は幼馴染かつ元夫婦で、 現在も良好な関係を続けていた。 ある日、尚隠は寺の将来を憂い文乃に相…

【カクヨムコン8ホラー部門特別賞受賞作】 『夫恋殺 つまごいごろし』と改題して、2024年3月21日にKADOKAWAより発売しました。 書籍版は加筆修正していますので、こちらと…

人工臓器の国内生産ラインが確立されて三年。 更年期の相談で産婦人科に訪れた礼亜（れあ）は、 卵巣の人工臓器移植を提案される。 タブレットに映し出された自分の卵巣を見て、 いつか訪…

人類に愛想を尽かした神が「最後の審判を下す」と伝えたのは半年前。しかし昨日、確かに審判が下ったはずなのに、なぜか「私」は生き残っていた。 その理由を探すべく、私はこの半年間にあっ…

メリーさんからの電話がかかってきた瞬間、スマートフォンを叩き割ったら、メリーさんが俺の家の窓を叩き割って、通話中のスマートフォンを投げ込んできた。

　利用者の1000%が自殺しているという恐るべき駅、鎖良御呼出【チェーンヨーオコール】駅。 　どう考えても偶然とは思えない頻発する自殺現象の裏に挑むのは、殺人鬼を法廷を通さずに処…

【完結済！合計約6000文字！サクッと読んでください】 ある日、帰宅した兄が冷蔵庫で見つけたプリン。 甘い香りに誘われて一口食べると、明らかに味がおかしい。 「お兄ちゃん、大丈夫…

夫の朝晴（ともはる）を義実家へ送り出した日曜の朝、 暁（あき）は自分宛ての奇妙な小包を受け取る。 朝晴が勤務先から送ったその小さなダンボールには、 白い麻布に包まれた置物らしきも…

【6/10　角川ホラー文庫より書籍版発売！】 看護師から介護サービスの会社に転職した女性・栗谷茜（くりやあかね）。 介護に訪れたのは山奥にたたずむ洋館だった。 担当するのはそこの…

　小学五年生の吸血鬼が恋をして、蚊をライバルにするまでの話。

人間アレルギーを持つ男性の少年期から青年期を描いた作品です。 天使の様に美しい容姿を持ち、善人も悪人も等しく惹き付けてしまう主人公は、人間アレルギーのせいで善人も悪人も等しく拒絶…

市立中学で働く太田小夜（おおたさよ）は、 校舎の戸締まり中にとんでもないものに出会う。 小夜の受け持つ二年三組の教室に、鬼がいたのだ。 「鬼じゃなくて、多分生徒だよ」 追いかけ…

香与子（かよこ）は母に頼まれ、大学最後の夏休みを母の実家で過ごしている。 「裏の古井戸には気をつけえよ」 庭へ下りた香与子に、祖父はいつもの注意を口にした。 香与子もいつものよう…

くねくねを見ると発狂すると言われているが、デスくねくねは見ると爆死する。

冬の夜中に悪役令嬢がカップラーメンを食うだけの話。

【KAC2022参加作品】 戦後の日本。軍人になるという目標を失った「僕」の心のよりどころは、いかがわしい見世物小屋だけだった。その日も祭りの中をぶらついていると、少し外れた場所…

　不老不死ーー太古から続く人間の夢を追い求めて、その血を啜れば不老不死になれるというフェニックスの居場所をとうとう探り当てた老冒険者、コシィテェーゼ・カン・セツモ。 　だが、フェ…

幼い頃に母を亡くして顔も覚えていない男に育てられた少女が形見に残された写真の母に恋をしてそのあまりの愛おしさのあまり母と全く同じ容姿となることを決意して年月は経ち、いつの間にか顔…

因縁土着祖村に封印されていた妖怪がとうとう目覚め、そして叫んだ。 「うら若き乙女の生贄を出せ」 そんな妖怪に捧げられた生贄の話。

青年は会社帰りに、知らない駅に辿り着いた。 近くでは夏祭りが行われているようだ。 覗いてみると、そこはキラキラした世界。 大人に憧れ、夢を抱いていた頃の少年の記憶が蘇る。 ある夏…

漫才が好きな高校生・祥の彼女は全く笑わない。好きな動画を見せても反応なし。クールなところも好きだけど、一瞬だけでもいいから笑顔が見たい！ 絶対に笑わせたい彼氏VS表情筋が硬い彼女…

県庁職員の祈（いのり）は、結婚二年目。 投資家の夫、吉継（よしつぐ）は同じ町で産まれた幼なじみで、目下悩みの種でもある。 幼い頃からの夢を諦めてポスドクの職を辞め「自分探し」に没…

王国には、食の細いお姫様がいました。 ある日、一人の若者が城をたずねてきます。 「ぼくの作った料理をお姫様に食べてもらいたいんです」 もしもお姫様が料理を完食できたら、結婚さ…

――やっぱり、なんか、無理。 高校へ入学して一ヶ月も経たないうちに、 息子の直哉（なおや）は人生二度目の不登校に突入した。 かつて大学を不登校で中退した私は、 行きたくても行け…

大学入学とともに上京した矢先、コロナ禍でほぼ休校。 友人も彼氏もできず、バイトも空白状態。憧れていた大学生活とは百八十度違う状況に置かれて一年半。身も心もすり減りホームシックにか…

『同題異話・二月号　沈黙に積雪』によせて書きました。

【はてなインターネット文学賞　大賞受賞作品】 古文×現代×ファンキーな御伽草子。 誰もが知るあの古典作品が、令和のネット社会に蘇る！ 2022/11/5 追記： KADOKA…

私の背中には守護霊がいて、私の人生の節目節目で背中を押して助けてくれるんです。 そんな女性の話。

故郷を追われた民族の一人であるシバンは、妹以外の家族を失い、母の遺言で妹を守ろうと誓う。 そんな彼らは新天地を目指すこととなるが、そこには何が待ち受けているのか。

リサイクルショップに行った大学生の俺たちはとある商品に出会う。 百円の冷蔵庫だ。 機種は新しめで、動作に問題もなく、汚れがあるわけでもない。 安さの理由を尋ねると中身が入っている…

僕とずっと一緒に過ごして、仲の良かった女の子がいた その子とずっといられるよう、僕は努力し続けた だけど ―――好きな人ができたんだと彼女は言った ―――その人と仲良くな…

私には、小学生の妹がいる。妹はまだ幼く、甘えたい盛りで、毎日寝る前に絵本を読み聞かせるのが日常になっていた。 けれどある日、美味しそうなホットケーキが出てくる絵本を読んでしまった…

音速で走るメロス！ 迎え撃つは暴君ディオニス！ 暴君の暴は暴虐ではない！暴力の暴だ！ 頂点のスピードと頂点のパワーが激突する時、果たして何が生まれるのか！？ 太宰治原作のハイスピ…

いつもどおりの休日の朝、妻と朝食を食べていた俺。 でも今朝の妻は、いつもと少し違っていた。

中村小雪は演劇部の三年生。練習を重ねても主役になれない小雪は、同じく悪役ばかりの友人、三井と「いつか二人が主役の舞台を」と夢見ていた。 高校生活最後の夏、卒業公演の演目を決める…

「別れよう」それが僕の出した結論だった 僕の幼馴染であり彼女である藍原琴羽は、僕じゃ到底釣り合わないほど完璧な美少女だったから。 そんな彼女を、僕なんかが独占していちゃ「うるせえ…

戦いの報せが新聞に踊る大正の時代。 幼い頃から、私には人に見えないものが見えていた。 十二の春、他人に憑いたそれを祓ったことをきっかけに、 両親に担ぎ出されて「憑きもの祓い」を始…

教会に住まうは、一人のシスター。 彼女は毎日祈りを捧げる。 終わらぬ祈りは誰がため。これは呪いか祝福か。 ……RPGのモンスターが無限沸きする理由、知っていますか？

明治後期の京都祗園。 遊郭楼主の息子涼次郎は虚弱体質ゆえに長年の夢を諦め、飼育する金魚たちだけを愛し、ずっと引き籠もっていた。 しかし、一尾の金魚を新たに飼い始め、一人の街娼と出…

僕の国では、諸外国から訪れた王侯貴族や使者への宴で変声期前の美しい少年に歌を歌わせる。 少年が少女と見紛う容姿、声でいられる時期は短い。 わずかな時期限定の美を愛で、楽しむためだ…