概要
僕の心を癒すのは、いかがわしい闇だけだ。
【KAC2022参加作品】
戦後の日本。軍人になるという目標を失った「僕」の心のよりどころは、いかがわしい見世物小屋だけだった。その日も祭りの中をぶらついていると、少し外れた場所に「人魚」の見世物小屋が出ていることに気付く。小汚いその小屋に入って見たものは……。
戦後の日本。軍人になるという目標を失った「僕」の心のよりどころは、いかがわしい見世物小屋だけだった。その日も祭りの中をぶらついていると、少し外れた場所に「人魚」の見世物小屋が出ていることに気付く。小汚いその小屋に入って見たものは……。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!文学とは媚びないこと。
シチュエーションや会話を頭の中で組み立てて、自分だけしか知り得ないハズのそのイメージを他人の頭の中に再構築させる。説明文は冗長になり過ぎないように、でも、同じく日本語を扱う者には、その無駄を省いた文章で、物語の世界観を生き生きと、もしくはまざまざと伝わるように。
世の流行などに迎合したらば、その行為は大抵凡庸になり、鮮やかさを失い、頭の中にあった時には煌めいていた美しさがくすんでしまう。おそらく文章とはそういうもので、文学と呼ばれる物語が世の流行に迎合して生まれる事は稀有だ。
それはきっと、どうしようもないヒトの業を書き上げる事が、文学とは切っても切れない関係にあるからだろう。
日本の…続きを読む