一日に二回、注射をしないと体がゲル状になってしまう難病に侵されてしまった「ぼく」の妻。「僕」は、妻のために仕事も在宅のものにして、付きっきりで看病していたが、ある時から彼女は注射を嫌がるようになる。架空の病気を通して、愛の形を問う現代ファンタジー。登場人物たちの心情が、それぞれ分かってしまうからこそ、重苦しい読後感でした。誰が正しいのか、どうすればよかったのか、今でも考えてしまいます。静けさの中の雪が、善悪も後悔も、覆い隠すように積もっていくように感じました。
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