千羽稲穂

「わたし、青い金魚を造りたいの」 そう語っていた私の恋人は肺から水媒花を咲かせて死んだ。 火葬のあと、骨壺を確かめると恋人の骨は青い金魚に変わっていた。死んだはずの恋人との奇妙な…

ハッピー2025！　この年ぐらいに生まれ出づる赤ちゃんたちって、結構な割合で2100年とかまで生きてるんだって思うと感慨深くないですか。 2024年エッセイはこちら https…

【コミカライズ・電子書籍発売中】 恋人と婚約中の乙井果澄は、中学生時代に大嫌いだった同級生・鮎川翠子と、二十八歳の夏に再会する。果澄は、翠子に「大嫌い」だと伝えたいのに、翠子から…

ファタはルーマニア語で「女性」という意味。光より産まれたファタは自然に触れ合い、生き物を知り、世界を知り、一人でいる寂しさを知る—— 旧約聖書『創世記』とマーク・トウェイン作『…

家族を亡くし尼寺に世話になっていた由良崎凛花は、ある春の日、寺詣に来ていた大奥の御錠口だという女性に自分の部屋仕えになるよう求められる。 そして彼女が見たのは絢爛豪華な大奥。た…

その労役を勤めれば、刑期が短くなる。男は怪しいと思いながらも誘いにのることにした。 連れていかれたのは故郷からはるか遠くにある、木の生えない山。そこで青いキノコを採集するのが労役…

「プラネタリウムが光ったら、面白いと思いません？」 「それって実質、昼じゃない？」 　ド田舎の小さな科学館の、プラネタリウム担当。イカれた新人が出してきた新しいプログラム案。それ…

「梨絵さん。私は、75 年後の未来から来たあなたです。一つお願いがあるのです」 昭和に似た戦争の時代、75年後の未来から来たという私を名乗る女性は、私の夫と契りを結ばせてほしい…

星流しの実刑判決を受けた河原紅（かわら／べに）は、星間ステーションで自分の罪について思い出そうとしていた。 春木のん様主催の ふしぎなアンソロ に寄稿した作品です。

高校生の澪は、両親が離婚を決めた二月の夜、午前四時のミモザの木の下で、利き腕を怪我した画家の青年・彗と出会う。 夢を諦めていた二人は、次第に互いの言葉に励まされ、惹かれ合い、やが…

ドーム都市に住む少年トウジは思い出していた。彼が崇拝したルイを。ルイは頭がよく人を統率するのに優れ、トウジはそれに従って生きていた。しかしそれは思い出に過ぎない。現在の彼は、ドー…

かつての恋人が、自分と同じ名前の人と付き合い始めたらしい。もう未練なんてない。なんならもうその名前で呼ばれていない。なのにどうしてこんなにも、心はザラリとするのだろう。

君の前では、僕の予定なんて立てられないんだ。 君は目が青くないロシアンブルーの仔猫。 僕はスケジュール管理の鬼と化した統合失調症の患者。 君は僕がせっかく立てていた予定を、ことご…

蒼と伊勢谷君は付き合っている。でも付き合うには条件があった──他の女の子が寄ってきても口出ししないこと。 ジミ女と、モテ男の、雌雄（しゆう）の思惑渦巻く純不純文学。

──私はショウジさんに欲情していた。 同じ公民館に勤めている、少し脚をひきずった男性〝ショウジさん〟に、惹かれる私。ショウジさんは優しく、清らかで、善良な公僕であり、そんな彼を私…

亡くなった画家の父の回顧展で会った青年と恋をする青年の話です。暗いBLです。

＊証言集 ①「これは、□□だ」 ②「これは△△△△よ」 ③「これは〇〇〇〇だろう」 ④「これは××だ。少なくても××＃＃だ」 ＊一人の老婆が死んだ。 　老婆の息…

2024年エッセイ。もう2020年代も板についてきていて普通に怖い。こうして10の桁がクルクルクルクル回っていくのね。諸行無常。 ということで今年もどうぞよろしくお願いしますー！…

勉強にも、他人にも、自分の人生にすら興味が持てず、無為な日々を送っていた大学生の僕。一念発起してキャンパスに足を向けようとしたある日、ふと耳にした会話から、高校時代の生物部で体験…

さなコンで書いた話です。 お客様レベルという自分の客としての態度によってサービスが違う世界で、手酷い対応を受ける主人公。自動音声にもかかわらず態度の悪い窓口に自分の価値がないの…

好きなものについて、緩く綴ったエッセイです。

人工知能によって生成された仮想の恋人と恋愛体験ができるスマートフォンアプリ「電脳幻愛」。開発者の羽鳥悠が、自身のスマートフォンで起動させてみると、そこにはかつての恋人であり、この…

作者の私が実際に体験した怖い話を、百話語ってまいります。 私の体験だけでは百に届かないかもしれないので、知人から聞いたお話も含みます。 一日一話、百日で百話の百物語が完成しま…

月からは、ごみ捨て場がどれほど見えているだろう

蛇行しまくるヒトこと、べにこです〜！ 迷いまくって止めていた更新を《完結済》にさせ、 またうねりまくって原点へ。 ——日記を書くぞっ⭐︎≡ ※ ゲームは「人生」と読みます。

トイレでキスをした。女装さんと。 私は彼女を探すために、姉の死を乗り越えなければならなかった。 しかし乗り越えようとした先にあるそこは、ある世界に生きる人々の領分だった。

キャッチコピー ~4/25 帝国作るよ ~7/5 ハッピーだとよいね ~9/30 心頭滅却 ~12/2 肺からふはっと笑える話を揃えてます 2023年エッセイ。話の脱線多めです…

各話独立の文章です。どのタイトルからでもお読みください。 氷上にスダチの木がある。氷上とは氷の上のことではない。兵庫県の地名である。 スダチは私が生まれたときに、家の庭に植えら…

理系大学生の筆者が、大学のいろんなヤバい話をつらつら語るコメディなエッセイ。真面目なことは何一つ言っていない。 いかがですか皆さん、本庄照のだいぶアレな大学生活はお求めでない？ …

第54回新潮新人賞落選作品 傲慢にも自分が上手く維持できていると思っていた関係を一つずつ、いずれは全てを失っていく話です。

【あらすじ】 　近未来の世界では、ペットとして作られた竜の野生化が社会問題になっていた。人工生物は製作者の著作権保護の目的で遺伝子情報が暗号化されているため繁殖はできないが、飢え…

エッセイやめるわって言ったけど、またはじめた人。 （書かないと落ち着かないと気付いてしまった） よろしくお願いします。 映画の話をよくするよ。自分の家庭のこと、友達のこと、悩…

これは長編を読む気になれない、でもなにかちょっと読みたい、というときのあなたのために書きました。366の小さなエピソードがあります。お話ですらないものばかりかもしれません。なにせ…

毛深族のうつくしい娘が、頭、まつげ、そして眉毛にしか毛がないうつくしい人間と初めて会う話。 民話をイメージして書いたよ。 草原に暮らす人々の間に伝わるお話だよ。

二十五歳の淳美は、小学校の図工の先生になって三年目。 初夏のある日、隣家に住む三つ年下の幼馴染・浩哉にスパゲティをご馳走した出来事がきっかけとなり、病で療養中の浩哉の祖父・菊次に…

・「夜叉姫と鶴の婿」……鶴の半生の少年×夜叉の姫、異種婚 ・「恋愛未満コンロ。」……会社員×後輩×ハム、ゆるめ恋愛 ・「紅」…少女×にいさん、和 ・「共鳴する第五指」……高校生×…

俺が野球に捧げてきた時間は、全て無駄だった。 名門高校で一年生からエースだった中村冬也は、肩の故障と投球障害（イップス）によって野球を辞め、地元の埼玉の県立高校に転校した。 し…

「あなたが残るなら、果穂子は百年も千年も、永遠にまでいきませう――」 司書として働く六花はある日図書館の大机の裏にびっしりと書かれている日記を発見する。その日記の秘密を紐解くとき…

“霊和”xx年。20××年6月6日午後6時。 夕暮れ。黄昏刻。逢魔ヶ刻。 兵庫県神戸市に、M9.9の歴史上稀に見る、未曽有の巨大地震が起こった。 死者行方不明者、合わせて数十万人…

朝の来ない街。 夜に閉じ籠った街。 半球の殻に閉じ込められ、長い長い時を過ぎた街は、外を、朝をすっかり忘れてしまった。 主人公、ジウが、一冊の記録書と出会ったことで、街の止ま…

深夜のバイト帰り、大学生の夏越逸矢は踏切に寝そべる女子大生の姿を見つける。 彼女は夏越が密かに思いを寄せる十影咲季だった。 咄嗟に彼女を救い出したが、どうやら『失恋』が原因で自殺…

地球に埋蔵された資源が枯渇した未来。とある科学者が絵画からエネルギーを得る技術ＡＥＰを発明したことにより、人類は未曾有の大災害から救済された。 これは、絵画が“芸術としての価値”…

　自分自身にも、自分の書いてる小説にも自信が持てない中学一年生の『蟹江伊鶴』は、人気Web小説家でありネット上の友達でもある『姫乃モモ』から公募を勧められていた。 　しかし、自分…

徒然なるままに、クライシス。 スマホに向かって、 脳内に過ぎるろくでもない事を、そこはどうかと書きつくれば、 あやしいこそものぐるするのは、誰……？ 俺！俺！俺！俺！ole！…

藍月いおりは二度目の人生を生きている。 幼なじみ、義弟、従兄。三人のヤンデレによって一度目の人生を終わらせたいおりは、死に際に聞こえた「やり直すか？」という謎の声にうなずき藍月い…

高校2年生の葦原南瀬はある日の放課後、理科準備室と間違えて入った教室で、クラスメイトの坂隙夕映がイカを片手にサワーを飲んでる姿を目撃してしまう。実は彼女は3歳上で……？　 法律…

高校一年生の志津本翠（しづもとみどり）は、変なクラスメイトにつきまとわれている。 彼の名前は市井公介（いちいこうすけ）。「泣ける」小説好きで思い込みの激しい彼は、なにかと翠を「…

狂い咲く花の下で泣いていた赤子を拾ったのは、西方の変わり者の皇子・東雲だった。はなと名付けられた少女は、やがて自ら刀を取り、東西の統一をめざす皇子のため、動乱の渦中へと飛び込んで…

始まったときからそれは運命だとおもった。おもっていた。きっと彼もわたしも最初から、物語のゆくえを描いていた。 ふと知り合った人を好きになりました。少女漫画みたいに、うそみたいに…

「歌って。死神と踊るわたしの代わりに」 死と悦楽をあがなう廃都市《シャーロック・タウン》。 東京の最果てにあるこの街は、悪名高き歓楽街でもある。 妓楼、違法賭博、闇オークション―…