コルシカの修復家

作者 さかな

6

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★★★ Excellent!!!

物語の導入。
とりわけ冒頭30枚には特別な意味がある。

まずは主人公が何者なのかをはっきりとさせ、主たる目的を提示する。
そして主要人物を登場させ、関係性のなかにそれぞれのパーソナリティを見いだせるよう活躍させる。

これがなかなか難しい。
ついつい世界観をムダに語ってしまいがちだが、本作はそうではない。

一話を読むだけでもどういう物語なのかが分かる。
これは素晴らしいことだ。

この世界では「絵画」がエネルギーを持っており、主人公親子はそれを修復するという特殊な仕事を請け負っている。
そしてコルシカという土地に身を寄せながらも、つねに自分はヨソモノなのだというルサンチマンを抱えているのがうかがえる。
それが本作の主人公・ルカだ。

伝統の街並みを舞台に、とある絵画の謎を追うミステリー。

本作はジュブナイルの未来を背負っている気がする。

★★★ Excellent!!!

 完成させることが消滅することに繋がるというアンビバレントが、一筋縄でいかない作品のテーマ性を暗示しているのか。ものすごく込み入った、芸術に対する愛を表現しようと、作者は絵筆のように彩にみちた描写を丹念に記述していく。
 時々見受けられる、ハッと息をのむような美しい文章と、重層的な人物像と物語とのレイヤーが交差し、情感豊かな世界を描いている。
 しかし、作者の挑戦する題材の複雑さゆえに、細かな視点設定の荒さや、登場人物の欲求より、作者の都合が優先されていると感じられてしまうアクロバティックなプロット展開がたまに顔を覗かせるのが惜しい。ただ、そんなことを言えるのも、何物にも代えがたい突出した良さを持ってる作品だから言えることだけど。