ボーイ・ミーツ・ガール。みんなで一緒に旅をしたくなる!

舞台はエネルギーが枯渇してしまった少し未来の世界。
人々の心を魅了する、あるいはほっとなごませる存在であるはずの絵画が、その芸術としての価値を失いエネルギー源として使われています。


コルシカ島で絵画修復家として働く少年ルカが、記憶喪失の少女ニノンと出会うところから物語ははじまります。


心から絵画という芸術を愛して、修復家として作品に込められた思いや願いと向き合っていくルカ。作中でその修復作業はまるで魔法のようだという台詞があるのですが、ルカ本人によればまったくの逆でそれは化学に近いものだとか。

物語のヒロインであるニノンもまた、絵画から声を聞くことの出来る不思議な力を持っています。
特異な力を持つヒロインの存在はファンタジー世界において珍しくない存在かもしれません。しかし、彼女の不思議な力に注視するよりも前に、ニノンの純真さとやさしさにまず惹かれるでしょう。


主人公やヒロインの他にも魅力的な登場人物がたくさん出てきます。
旅に加わるたのしい仲間はもちろんのこと、旅先で出会った人々もあたたかくてやさしいのです。行く先々ではちょっとした事件が起きてしまうのですが、絵画を中心にして四人は奮闘します(ルカとニノン以外の二人はネタバレとなるため、割愛しています)


人と人の繋がりを感じさせられる緻密に描かれたストーリー、登場人物たちの掛け合いもたのしく、そして忘れてはいけないのがルカとニノンの恋愛でしょうか。少年少女らしい甘酸っぱくてじれったい二人の恋に、ちょっとやきもきしてしまうかもしれませんね。頑張れ男の子!とつい応援したくなるはずです。







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