完璧な導入。この作品はジュブナイルの明日を背負っている。

物語の導入。
とりわけ冒頭30枚には特別な意味がある。

まずは主人公が何者なのかをはっきりとさせ、主たる目的を提示する。
そして主要人物を登場させ、関係性のなかにそれぞれのパーソナリティを見いだせるよう活躍させる。

これがなかなか難しい。
ついつい世界観をムダに語ってしまいがちだが、本作はそうではない。

一話を読むだけでもどういう物語なのかが分かる。
これは素晴らしいことだ。

この世界では「絵画」がエネルギーを持っており、主人公親子はそれを修復するという特殊な仕事を請け負っている。
そしてコルシカという土地に身を寄せながらも、つねに自分はヨソモノなのだというルサンチマンを抱えているのがうかがえる。
それが本作の主人公・ルカだ。

伝統の街並みを舞台に、とある絵画の謎を追うミステリー。

本作はジュブナイルの未来を背負っている気がする。

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