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大賞受賞作品大賞受賞作品

異世界ファンタジー部門大賞異世界ファンタジー部門大賞

酔っぱらい盗賊、奴隷の少女を買う

二日酔いから始まる、盗賊と少女の共同生活。

酔っぱらい盗賊、奴隷の少女を買う1

著者:新巻へもん イラスト:むに

発売日:12月24日(金)

PV 作品紹介動画PV 作品紹介動画
COMIC コミック連載COMIC コミック連載
STORY あらすじSTORY あらすじ

外聞の悪さから疎んじられることの多い盗賊(シーフ)・斥候(スカウト)職を務める、冒険者のハリス。
孤立して酒浸りの生活を送る彼は、ある日酔った勢いで奴隷の少女ティアナを買ってしまう。それまで充分な食事も与えられず酷い扱いを受けていたティアナは、自身を優しく扱ってくれるハリスをご主人様として慕うようになる。「美人に成長したらあわよくば」と考えていたハリスも、彼女の純粋さに徐々に絆(ほだ)されていくのだった。
温かな食事、洗いたての服、今まで寄り付かなかった町の住人との交流――ティアナと暮らし始めたことで、ハリスの生活はそれまでと一変する。その一方で、やっかいごとに巻き込まれることも増えるが、彼は技術と機転で危機を躱(かわ)していき――!?
奴隷少女との出会いから始まる、やさぐれ盗賊の「再生」の物語。

RECOMMEND SCENE オススメのワンシーンRECOMMEND SCENE オススメのワンシーン
「それじゃあ、行ってまいります」
部屋の隅に転がしてあった籠に洗いたての布を敷くとティアナは元気に出て行った。俺は手早く戸締りをすると、裏通りを通って先回りをする。何と言っても道には詳しいし、こういった隠密行動はお手のものだ。
脇道沿いの暗がりに身を潜めているとティアナが店にやってくる。最初はぎこちなかったがすぐに店のおかみさんと打ち解けて話を始めた。
「私ですか? ハリス様にお仕えしています」
「あの目つきの良くない? 上小路に住んでていっつもぶらぶらしている?」
風向きで声が大きくなったり、小さくなったりしていた。
「私にはとっても優しい方なんですよ。私は前は傷だらけだったんですけど、神官のお友達に頼んで治してくれました」
「あの飲んだくれに神官の友達がいるって?」

「ぶらぶらしているようにみえるのも、気を張り詰めた仕事をしているからです。だから、家にいるときはその分のんびりしているだけじゃないでしょうか。きっとそうです」
「信じられないね」
「私がオークに襲われた時も助けてくれたんですよ。あっと言う間に倒しちゃって。カッコよかったです」
「ふーん。そうなのかい。まあ、お嬢ちゃんがそういうなら、あたしの思い違いなんだろうね。そうそう。魚だったね。マスなんかどうだい。脂がのっていて食べごろだよ」
「じゃあ。それ下さい」
行く先々でティアナは俺のことを誉めまくっていた。思わずケツの穴がむずがゆくなるほどだ。最初は半信半疑だった町の連中も最後は、ああそうかいと答えていた。悪い気はしない。ティアナが家に足を向けると走って家に帰って、ソファでだらりとした姿勢で迎えた。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • 最初の出会いは酔った上でのイロ目的。言ってしまえば身も蓋もないが紳士諸君なら誰しも覚えの一つ二つはあるもの。誰も彼を責めることはできない。そして奇跡の物語が始まる。
    何故かの変貌ぶりに魅力を感じ始めるのは自立した女性の皆様含め老若男女問わず。
    見方を変えると一人の少女が迷える子羊を全身全霊で護りつつ溢れる慈愛で高みへ引き上げていく物語。活劇、恋愛、自業自得、面白い要素しかない。
    ─── @Blackbalancer7
  • ラノベ原作でアニメ化した作品達のように、映像が鮮明に浮かびます。
    一人称ならではの、読者にはわかる心のすれ違い。
      奴隷、幼女、ハーレムというしっかり読者の需要に応える設定。
      漫画のように変化する飽きのこない展開。
    主人公の街の人からの評価が、奴隷の少女を通して自動的に変化する様は必見です。
    古き良き王道を行く最高傑作かと。
    ─── 君のためなら生きられる。
  • 物語の骨子はある意味で「王道」なのですが、脇を固める魅力的なキャラクタたちの造形が秀抜で、王道ゆえに目が離せない。そしてどこかハードボイルドな空気が漂う筆致が、物語に深みを与えています。
    色々書いてしまいましたが、伝えたいことはひとつだけ。
    文句なしに面白い!
    ─── 薮坂
  • 主人公の彼が、なぜかものすごく魅力的なのだ。
    よっぱらいだよ、中年だよ。
    でも、本音トークのこのオヤジ。奇妙な魅力がある。
    例えば、ジョニー・ディップの海賊の魅力って言ったら理解してもらえるだろうか。
    ほんと、面白いです。
    ─── 雨 杜和orアメたぬき

現代ファンタジー部門大賞現代ファンタジー部門大賞

現代ファンタジー部門大賞:鬱ゲー転生。 知り尽くしたギャルゲに転生したので、鬱フラグ破壊して自由に生きます

ゲーム知識で鬱フラグを回避し、あり得ない最高のルートへ邁進!

鬱ゲー転生。 知り尽くしたギャルゲに転生したので、鬱フラグ破壊して自由に生きます

著者:穂積潜 イラスト:希望つばめ

発売日:2月19日(金)

PV 作品紹介動画PV 作品紹介動画
PV 作品紹介動画PV 作品紹介動画
STORY あらすじSTORY あらすじ

大好きなギャルゲー世界に転生。ただしそこはバッドエンド山盛りの「鬱ゲー」!? どのヒロインを攻略しても鬱展開――でもゲームを知り尽くした俺は、すべての鬱フラグを破壊して自由で最高な人生を掴んでみせる!

RECOMMEND SCENE オススメのワンシーンRECOMMEND SCENE オススメのワンシーン
 チュイイイイイーン! っと唸るチェーンソー!

 ガガガガガガガガガガガガガ!っと爆走するショベルカー!

 樹齢云百年の大木たちが、成す術なくなぎ倒されていく。
 それと一緒に、とある勝ち気系なヒロインとのフラグも折れていく。祖父母の家に帰省した小学生の彼女と主人公は、この夏休み、森で虫取りをする途中に出会って急速に仲良くなり、高校時代に再会して、『お前、男だと思ってたのに、実は女だったのか』パターンのやつだ。
(バイバイ、俺っ娘くん。君のルートは、いたいけな青少年プレイヤーに、主にインセクツ関連の特殊性癖を植え付ける、とっても業が深いストーリーだったね)
はい、合掌! バッタ人間やらカマキリ人間やらは仮面〇イダーだけで十分だ! ハリガネムシ系はひ〇らしのパクリって言われるからやめとけばよかったのに!
 こうして俺が悲しいお別れを済ませている内に、有能なマッチョメンたちによって、例のうらぶれた社への道が開かれた。
 ここまで来ると、そろそろあいつが――、お、いたいた!
「……お主、男なのにわらわが見えるのか。――って、なんじゃ! この騒がしい鉄の塊共は」
 崩れかけの鳥居の上に腰かけていたロリババアが俺を睥睨し、驚いたように叫ぶ。待ってたぜ! ロリババア! 今楽にしてやるからな。
「こんにちはー! 突然ですが朗報です! あなたが愛した男は、実はあなたを裏切ってません! あなたを愛し、守るために、最後まで戦い抜きました! これがその証拠です!」
 
 俺は工事音に負けない声で叫んで、既に回収していたストーリー上のキーアイテムをのじゃロリに向かって投げつけた。具体的には、兜とか、思い出のかんざしとか、ほら、まあ、よくある戦国時代の悲劇ってやつですよ!
「そ、そんな。砂王丸、わらわは――」
 ロリババアが万感の想いがこもった涙を流し始める。感動的なシーンだね。
 でも、すまん。余韻に浸ってる時間はないんだわ。ぷひ子たちが帰ってくる前に工事を終わらせないと、変なフラグが立って凶事が発生しかねない。
「咲夜姫、砂王丸さんが待ってます。あるべき場所に帰りましょう」
「じゃが、妾は兎の呪いにしばられて、この社を守らねば――」
「その兎はここにいます! 真名も解明済みなので、もう縛りはなしです! だから、安心して逝ってください! な、兎」
「ぴょぴょーい!」
 時空兎がぴょんぴょん跳ねる。
 ロリババアの魂を過去に送る代償? そんなもんはいらない。ロリババアはそもそもその存在自体がこの世の理を歪めてしまっているイレギュラーな存在だからね。むしろ、彼女をあるべき場所に戻してやるんだから、俺が報酬をもらってもいいくらいだ。
 ほら、その証拠に時空兎もやる気まんまんだ!
「よ、よいのか? 数百年の間、何をやっても解けなかった呪いが、こうもあっさりと……」
「いいじゃないですか。突然降りかかってくる不幸があるなら、突然訪れる幸福もあったって」
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • 2000年代のオタク文化な伝奇ノベルゲームをモチーフにした、ゲーム世界転生もの。 呪いや暴力が関わる悲劇をチートでひっくり返すお話として、とても破天荒な仕上がりになっています。
    ─── 名瀬口にぼし
  • テンポよく読めてとても面白いです。 主人公の知識、マネーパワー、コネよりもヒロイン枠?のアイちゃんの戦闘力による活躍が目立ちます。 でも。それが良い。 そして、ほのぼのする場面…癒やされる。
    ─── 嵩枦(タカハシ) 燐(リン)
  • 作者の方も丁寧に主人公の小学校時代と、様々なイベントを上手に書いていて、日常パートを書いた次に戦闘パートや別視点でのストーリーを書いていて作品を飽きさせない書き方をしてくれる。
    間違いなく上質な小説。
    ───夏夢 森蒼

恋愛部門大賞恋愛部門大賞

恋愛部門大賞:拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます

『拝啓 見知らぬ旦那様、8年間放置されていた名ばかりの妻ですもの、この機会にぜひ離婚に応じていただきます』

拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます

著者:久川航璃

発売日:1月25日(金)

STORY あらすじSTORY あらすじ

商才と武芸に秀でた、ガイハンダー帝国の子爵家令嬢バイレッタ。彼女には、8年間顔も合わせたことがない夫がいる。伯爵家嫡男で冷酷無比の美男と噂のアナルド中佐だ。  しかし終戦により夫が帰還。離婚を望むバイレッタに、アナルドは一ヶ月を期限としたとんでもない“賭け”を持ちかけてきて――。
 周囲に『悪女』と濡れ衣を着せられきたバイレッタと、今まで人を愛したことのなかった孤高のアナルド。二人の不器用なすれちがいの恋を描く溺愛ラブストーリー開幕!

RECOMMEND SCENE オススメのワンシーンRECOMMEND SCENE オススメのワンシーン
「俺と離縁したいとのお考えは今も変わりませんか?」
「ええ、それは……もちろん」
「顔も見たことがないという理由ならば、今こうして顔を合わせて話しているわけですし、成立しませんよね。それ以外にも何か理由がありますか」
「八年間も放っておかれれば、十分に離縁の理由になるかと思いますが」
「なるほど。ですが、戦時中という特例ですし、よその夫婦も同じようなものなのでは? しかも終戦直後にこのような話を持ち出すのは、戦場にいた夫を少しも労ろうという気がないんでしょう」
 もちろんお疲れ様だなとは思うが、別に自分が慰めなくても噂の美貌の夫なのだから引く手数多だろう。実際、薄暗い視界ですら彼の容貌が整っていることはわかる。彼の妻になりたい者など両手の指の数以上に存在するだろう。おかげでバイレッタは嫉妬と羨望を受け社交界で散々陰口を叩かれているのだから。希望者が他にいるのに、そちらに任せたいと考えてはいけないのだろうか。
 なぜ、自分に執着するのかわからない。「旦那様こそ、顔を見たことのない妻など不必要でございましょう」
「俺の立場上、妻帯者というのはとても都合のいいものなのですよ。これから軍の行事に参加しますが、同伴者が妻だと無用な争いは生まれませんからね」
 なるほどこれが本音か、とバイレッタは内心でため息をついた。

 つまりお飾りの妻がいたほうが、彼にとっては仕事がしやすい環境なのだろう。そんなものやりたい人がやればいいのだ。自分が付き合う義理はない。
 妻という立場を押し付けられると考えたからこそ彼が戻ってくる前に逃げる算段をつけていた。彼はバイレッタには興味がないと決め付けていたので離縁にあっさり応じて、新しい妻を娶ってくれると考えていたのだ。しかし突き付けられた現実は予想外のものだった。
 自分の迂闊さに腹が立つ。
 つまり彼は新しい妻を探す手間すら惜しいと告げているのだ。そんな面倒くさがりだという情報は得ていなかった。
「ですが手紙の一つも書かず、八年間一度も顔を見せに戻ってこなかったのも事実です。なので、貴女の離縁したいという申し出を無下にはできません。ですから、ここは一つ賭けをしませんか?」
 彼は自分が離縁状を送り付けたことを当てこすったが、彼が言っている話も十分に突飛な内容ではないか、とバイレッタはすかさず思ったのだった。
「賭け、ですか?」
 戸惑いつつ尋ねれば、アナルドは小さく頷いた。
「ええ。貴女が勝てば離婚に応じましょう。ただし、俺が勝てば一生妻でいてもらいます」
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • あっという間に、読み終わってしまったぁ(T_T) ヒロインが特に魅力的でした。
    ───@kaosan
  • とっても面白いので私的にはオススメです!
    1話から一気に全話読んでしまいました。
    ─── @ashbel。
  • 物語の骨子はある意味で「王道」なのですが、脇を固める魅力的なキャラクタたちの造形が秀抜で、王道ゆえに目が離せない。そしてどこかハードボイルドな空気が漂う筆致が、物語に深みを与えています。
    色々書いてしまいましたが、伝えたいことはひとつだけ。
    文句なしに面白い!
    ─── 薮坂

ラブコメ部門大賞ラブコメ部門大賞

ラブコメ部門大賞:陰キャだった俺の青春リベンジ  天使すぎるあの娘と歩むReライフ

この社畜力でやり直す、彼女と一緒の2度目の青春!

陰キャだった俺の青春リベンジ 天使すぎるあの娘と歩むReライフ

著者:慶野由志 イラスト:たん旦

発売日:2月1日(火)

PV 作品紹介動画PV 作品紹介動画
STORY あらすじSTORY あらすじ

ブラック企業で社畜生活の末倒れた新浜は、目覚めると高校二年生にタイムリープしていた。死ぬ前に頭をよぎったのは高校時代の憧れの少女。2度目の人生は後悔したくない。彼女と一緒に最高の青春をリベンジする!

RECOMMEND SCENE オススメのワンシーンRECOMMEND SCENE オススメのワンシーン
「綺麗だな……まるで若さの光だ……」
 ついそんな、おっさんくさい言葉が口から漏れた。
 このクラスの生徒たちはこのクオリティを得るために相当努力しただろう。
 その大人になると発揮できなくなる高校生ならではのバイタリティをまざまざと見せつけられて、少々眩しい。
 この見事な星の光一つ一つが、若さという反則的なエネルギーの輝きに見える。
「もう、何を言ってるんですか新浜君!」
 星空の輝きに興奮しているせいか、紫条院さんはすぐ隣にいる俺へさらに身体を近づけて言う。
「たまにそうやっておじさんみたいな言い方をしますけど……新浜君も私もまだ高校生なんです。これから何にだってなれますし、どこにだって行けるんですよ?」
「それは……そうなのかな……」
 本当にそうなんだろうか。
 知識と経験は前世そのままで肉体と心の若さだけが高校生となった俺は、今世において今のところある程度上手くやれていると思う。
 けど、たまに不安になる。
 俺がもう一度進む未来は……本当に変えることができるんだろうか?
「……そんな顔をしないでください」
 気付けば、紫条院さんの顔が俺の瞳を覗き込むように近づいていた。
 「手を伸ばせば未来は変わることを、実際に見せてくれたのは新浜君じゃないですか」
「え、俺が……?」
「私たちのクラスの出し物は……あの迷走していた会議のままだときっと良いものにならないで、クラスのみんなも今みたいに頑張ろうって気持ちは生まれなかったと思います。けど……そんな流れを新浜君が変えてくれました」
 息がかかってしまいそうな距離で、紫条院さんは続けた。
「私は本当に感動したんです。流れがどうなるのかをただ見ているだけじゃなくて、新浜君は無理矢理にでも流れを変えることに挑戦して成功させた。大げさかもしれませんけど……頑張って未来を変える実例を見せてくれたんです」
「俺が、未来を変えた……」
「そうです! そんな未来を変えるほどのパワーがあるのが新浜君なんです! だから……何を不安に思っているのかわかりませんけど元気出してください! 私でよければいつだって力になりますから!」
「紫条院さん……」
 不思議だった。
 ただ一人の少女から言葉を受け取っただけで、さっきまで抱いていた不安が溶けるように消えていく。
「それに……未来が変わったのは、ウチのクラスの出し物だけじゃないのも忘れないでくださいね」
「え……?」
「私は今、とっても楽しいです。けど自分のクラスが団結も熱意もない状態だったら、私はこんなに浮き立った気持ちで文化祭を迎えることはできませんでした。だから……改めてお礼を言わせてください」
 お互いの視線がごく近くで絡み合う中、紫条院さんはそっと言葉を紡ぐ。
「ありがとう新浜君――私にこんなにも楽しい文化祭をくれて」
 言って、薄紅色の浴衣を着た少女は人工の星空の下で花咲くように微笑んだ。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • ヒロインが天使
    アラフォー、アラサーが何かに疲れた時に思い浮かべる妄想が物凄く丁寧にテンポよく文章化されてます。もうね、主人公の心情がわが身のごとく感じる。ある意味理想的10代です。
    ───@147q
  • 社畜を舐めるな!!これがこの作品の一つの魅力だと思います。社畜だった時のスキルをフルに利用して良い結果に導く、タイプリープ系ならではの良さ際立って素晴らしい
    ─── @nayu0000
  • 過ぎ去りし青春時代。後悔しかない暗い色だったそれをやり直せる。何と甘美な事だろう。特に青春を過去に置いてきてしまった、おっさん世代には刺さると思います
    ─── @pleiades-flow

キャラクター文芸部門大賞キャラクター文芸部門大賞

キャラクター文芸部門大賞:	
無駄に幸せになるのをやめて、こたつでアイス食べます

一緒に泣いてくれる友達がいるから、明日も大丈夫。

無駄に幸せになるのをやめて、こたつでアイス食べます

著者:コイル

発売日:1月25日(火)

STORY あらすじSTORY あらすじ

お仕事女子×停滞中主婦の人生を変える二人暮らし。じぶんサイズのハッピーストーリー 仕事ばかりして、生活も恋も後回しにしてきた映像プロデューサーの莉恵子。旦那の裏切りから、幸せだと思っていた結婚生活を、住む場所と共に失った専業主婦の芽依。  「一緒に暮らすなら、一番近くて一番遠い他人になろう。末永く友達でいたいから」そんな誓いを交わして始めた同居生活は、憧れの人との恋、若手シンガーとの交流等とともに色つき始め……。そして、見失った将来に光が差し込む。 これは、頑張りすぎる女子と、頑張るのをやめた女子が、自分らしく生きていく物語。 【本書だけで読める、番外編「十六歳の神代と、ネズミの姫」を収録】!

RECOMMEND SCENE オススメのワンシーンRECOMMEND SCENE オススメのワンシーン
「……ねえちょっとまって。まさか芽依さん出て行くとかないよね?」
「そうだ。離婚した。今出て行くところだ」
「はあ⁈ おじさん、本気で言ってる⁈ この家芽依さんがいないと回らないよ?!」
 結桜は玄関に通学カバンを投げ捨てて叫ぶ。
拓司は自信満々で続ける。
「家政婦を雇うから大丈夫だ」
「家政婦さんって高いんだよ?! おじさんその金使いでお金あるの?! バカだと思ってたけど本物のバカだわ!」
「バカはお前だ!」
 言い争う声から逃げるように芽依はボストンバッグを掴んで外に出た。
 家から一歩でも離れたくて、走って走って、走り続けた。
 この場所からほんの少しでも遠ざかりたい。その一心で走り続けた。
 すると、握りしめて走っていたスマホのストラップがチリンと呼ぶように鳴った。
 それは親友の大場莉恵子がくれたものだった。
 会いたい。会って、泣きたい、全部吐き出したい。もう今この瞬間、吐き出したい。
 芽依はLINEを立ち上げて打った。
『旦那に離婚してくれって言われて放り出された。莉恵子、泊めて』
 それはすぐに既読になった。そして、
『はあ?! なにそれ! うちにおいでよ。部屋あまってるし。荷物まとめて家に来て。今日は早く帰るから』
 と返ってきた。
 芽依は嬉しくて嬉しくて、その場で膝を抱えて丸くなった。
何にもなくなったけど、友達がいる。
 そして続いてLINEがポンと入った。
『ちなみに私も今日、六年一緒に仕事した仲間に裏切られた』
「莉恵子は相変わらず仕事三昧ね……てか、なにそれ……つら……」
 芽依は膝を抱えたまま声を絞り出した。
 そして、やけくそになってカバンからお札の束を出して地面に置いて、写真に撮り、LINEで送った。
『慰謝料二百万、即金でもらったわ、溶かそう』
『ちょっと地面にお金置かないで! 美味しいもの買おう! よし仕事してくる!』
 芽依はお金の束とスマホを抱えて、ただただ泣いた。
 あふれ出す涙を抑えきれなくて、ただ泣いた。
 普通の家族が欲しくて、ずっと頑張って生きてきた。
 幸せになりたくて、ずっとずっと、頑張ってきたんだけどなあ……。
 何をどう間違えたんだろう。
 まったくわからなかった。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • 読んでいくごとにじわじわと面白くなっていくスルメ的な魅力を持つ作品です。この作者様の作品をみていつも思うのはキャラクター、特に女性をとても魅力的に書かれるなと言うことです。自由でマイペースな莉恵子と真面目で面倒見の良い芽依、そして莉恵子の家族や仕事の関係者達の心情や掛け合いもわかりやすく時にコミカルに、時にシリアスに描かれていると思います。
    ───今井 湊
  • 主人公の莉恵子と芽依をはじめとした人間関係がなんとも読んでて良い。結婚や家族の在り方とかに悩む様すら愛おしい。
    ─── @jin_nagumo
  • 地に足ついた楽しさです。
    まあまあボロボロになりながら働いている自分と重ねたりしながら一気に読みました。読みやすくて、楽しいです。続きをとても楽しみにしています。
    ─── @ahs5811
特別賞受賞作品特別賞受賞作品
死亡退場するはずの“設定上最強キャラ”に転生した俺は、すべての死亡フラグを叩き折ることにした

鍛え上げた“最強”の力業で、死亡フラグだろうが叩き折る!?

死亡退場するはずの“設定上最強キャラ”に転生した俺は、すべての死亡フラグを叩き折ることにした

著者:としぞう イラスト:motto

発売日:4月20日(木)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

 前世で好きだった『ヴァリアブレイド』というゲームの世界に転生した主人公。
 問題なのは、転生したキャラが本編開始前に死亡している“設定上は最強”と呼ばれる謎多き戦士、ジル・ハーストだったこと。
 ゲームの世界については知り尽くしているのに「自分がいつ、なぜ死ぬのか」だけ、わからない。
 前世のゲーム知識を基に何とか死を回避しようと試みるも、“生前、彼が護衛をしていた”王女・セレインと、設定通りに出会ってしまったジルは、ついにその最強の力をもって、すべての死亡フラグを迎え討つことに決めるのだが――!?
 新時代の運命改変×学園無双ファンタジーが、幕を開ける!

壁役など不要と追放されたS級冒険者、≪奴隷解放≫スキルを駆使して史上最強の国造り

S級冒険者の人生リスタートは、未開の地で美少女とともに。

壁役など不要と追放されたS級冒険者、≪奴隷解放≫スキルを駆使して史上最強の国造り

著者:向原 行人 イラスト:珈琲猫

発売日:10月7日(金)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

勇者の策略によってパーティから追放され、未開の地を一人で開拓することになった聖騎士・アレックス。

しかし、現地で新たに手に入れた《奴隷解放》のスキルで仲間を増やせることが判明!

呼び出されるのはなぜかエルフやドワーフといった様々な種族の美少女ばかり。おまけに彼女たちが持つ有能スキルのおかげで、過酷なはずの開拓は楽勝ムード。何もなかった荒野は、アレックスたちの手によって、やがて国へと育ってゆくことに……!?

RECOMMEND SCENE オススメのワンシーンRECOMMEND SCENE オススメのワンシーン
「出来ましたーっ! パンケーキですっ!」
 リディアが満面の笑みを浮かべながら、お皿に乗ったパンケーキを見せてくれた。
「いただきます……おぉっ! 旨いっ! この付け合わせの焼きリンゴも、パンケーキに合うなっ!」
「ありがとうございますっ! んー、卵があれば、もっと美味しく出来たんですけど……でも、久しぶりの料理は楽しかったですし、アレックスさんに食べていただけたので満足ですっ!」
 リディアは本当に料理が好きなんだな。
 フォークを片手に、ニコニコと嬉しそうに微笑み、パンケーキを食べる俺を見つめてくる。
「しかし、リディアが居てくれて、本当に助かったよ。俺一人だったら、とりあえず小麦粉に水と塩を混ぜて焼く……くらしいか思いつかないな」
「それはそれで、ちゃんと寝かせれば美味しく出来そうな気がしますよ? 今度一緒に作ってみます?」
 材料は限られているけど、リディアのお陰で美味しい食事にありつけた俺たちは、どういう風に周辺を開拓していくか、意見を出し合う事にした。
「とりあえず、小麦は必須ですね。あと、栄養の事を考えて、葉物野菜なんかも。アレックスさんは好きな食べ物や料理ってありますか?」
「そうだな。ポテトは割と好きで、よく食べていたな。それに日持ちもするし、時間のかかる冒険に出る時なんかは、必ずと言って良い程、持って行っていたよ」
「ポテトがお好きなんですね! わかりました! 早速作りましょう!」
「いや、俺の好きな食べ物ばかりでなく、リディアの好物も……」
「私は、野菜全般が好きなので大丈夫です! そうと決まれば、早速参りましょう!」
 リディアに連れられ、小屋の裏へ行くと、先ずはキャベツ畑の横を俺がクワを使って耕し、そこへリディアが木の精霊の力を使って植物を生み出す。
次に土の精霊の力を使って成長させるんだけど、魔力の消費が激しそうで、すぐに魔力枯渇が起こってしまう。
「≪シェア・マジック≫」
「ありがとうございます、アレックスさん」
「いや、それはお互い様だからさ」
「では、ポテトを成長させますね。……≪大地の力≫」
 リディアが精霊魔法を使い、魔力枯渇が起こる度に俺がスキルで魔力を分け与え……という事を繰り返して居ると、改善案が提示された。
「アレックスさん。作業を効率化するために、幼馴染の方にされていたという、おんぶしながら魔力の回復というのをしていただけませんか?」
「あー、俺は構わないが、リディアの方が良いのか?」
「勿論です! むしろ嬉し……こほん。アレックスさんさえ宜しければ、早速お願い致します」
 リディアが背中に乗ると、白い肌が俺の肌に触れているので、
「≪シェア・マジック≫」
「≪大地の息吹≫」
「≪大地の力≫」
 一度魔力を分けるスキルを発動させると、俺がクワを振るっていても、リディアが精霊魔法を使って更に減った分まで補充出来るようだ。
 エリーは魔力を分けながら魔法を使った事なんて無かったから知らなかったけど、これはかなりの効率化が期待出来る。
パラダイム・パラサイト 01

肉も、骨も、 魂さえもすべて喰らう。

パラダイム・パラサイト 01

著者:kawa.kei イラスト:こぞう

発売日:6月30日(木)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

すべてに疲れ、絶望した青年は自ら首を括り死んだーーはずだった。
気がつけば見慣れない異国の地。ミミズのような虫になった自分。目の前にある死体。
本能のまま、その死体へ寄生することができた元青年は新たな体を得て荒野を歩きだす。
ここがどこかはわからない。しかし、もう自分には死ぬ理由がない。ならば旅に出よう。
邪魔する奴はすべて、排除(け)してしまえばいいーー。

RECOMMEND SCENE オススメのワンシーンRECOMMEND SCENE オススメのワンシーン
  緩やかな風と日差し、体に感じるひんやりとした土の感触で俺は意識を取り戻した。
 視界には抜けるような青い空。穏やかな気候に少しの間、ぼんやりと過ごしていたがや やあって自らの置かれた状況を思い出して身を起こす。
 ……ここはどこだ?
 意識を失う直前の記憶を掘り起こす。どうやら俺はうっかり首を吊ってそのまま落ちた らしい。
 死んでいない事に若干の失望を覚えつつ小さく溜め息を吐く。正直、あのまま死んでいた 方が良かったと思っていたからだ。
 いい加減に生きている事も苦痛になってきていたので、本気ではなかったとはいえ結果 的に自殺を実行できたのは好都合だったからだ。
 失敗した以上、死に損なった間抜けでしかないがな。さっさと家に戻って―そこでよ うやく俺は自身の体に対する違和感に気が付いた。
 手足の感覚がない。いや、それ以前に今まで使っていた体と明らかに勝手が違う。そも そも周囲の見え方もおかしい。
 視界が以前よりもやや広くなっている。どういう事だと上手く動かせない体に若干のも どかしさを感じつつ体をくねらせて自身の状態を確認しようとする。
 ……驚いた。
 正直、それ以上の感想が出て来ない。俺の体は人の形をしていなかったのだ。
黒い紐状の線虫―要はミミズっぽい何かになっている。見た感じ表面の感触は滑らか だが明らかに普通ではなかった。
 本物のミミズみたいに水分が豊富には見えないが、硬そうにも見えない。なんとも現実 感のない光景だが、自由になる体を見る限り受け入れるしかないな。
 はぁと小さく溜息を吐く。どうやら死に損なったわけではなく、死んだ結果こうなった と考えた方が自然か。
 真っ先に浮かぶワードは「転生」だ。最近、巷でよく聞く異世界かどうかまでは不明だ が、転生するならもうちょっとマシな生き物はなかったのだろうか?
 そんな苦情じみた考えが浮かぶが、親切に案内してくれる存在もいないので再度溜息を 吐く事しかできなかった。
 現状の把握はある程度ではあるができた。だが、この状況でどうしろというのだろう か? ミミズとして新たな人生を謳歌しろと?
 冗談じゃない。こんな不自由な体で彷徨うのは御免被りたいので、さっさともう一度死んで楽になるべきだ。
 そう考えたのだが、この体で首を吊るのはかなり難易度が高い。どの程度の生命力を 持った体なのかも不明なので、どうやればさっさと楽になれるのかの判断すらつかないの が今の俺の状態である—-そこまで考えて、まぁいいかと思考を投げ捨てた。
王立魔術学院の鬼畜講師

教え子には手を出すな? 言い分は理解した。だが断る!

王立魔術学院の鬼畜講師

著者:急川回レ イラスト:zunta

発売日:5月30日(月)

購入する
STORY あらすじSTORY あらすじ

魔術を発動できない変態講師セツナ。
王立魔術学院の非常勤講師として教壇に立つ彼は教え子の特待生たちに自習を言い渡し続けていた。
期待を胸に入学してきた新入生はセツナに失望、無能だと判断して決闘を申し込む。
「私が勝ったら退職してもらえるかしら?」
「私? 私たちの間違いだろ? 面倒くせえから全員まとめてかかって来い。その代わり負けたらどうなるか――分かっているだろうな?」
セツナは常識ではありえない変態的かつ驚愕の魔法で百年に一人の逸材である特待生たちを翻弄する!
だが、その鬼畜の裏には真の目的が――!?

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  「高等沸魔術【溶融解剖】!」
 セラが発動した魔術は名前からしてヤバそうだった。
「指一本でも触れたら一瞬で肉が溶けるわよ。なんなら骨一つ残さず葬ってあげるわ」
「なるほど。それで【溶融解剖】ね。いいネーミングセンスしてるぜ」
「どうも」
 そう言ってセラは口から濃い霧を吹き出し、爆はぜるように向かってくる。
『私のことは気にせず魔術を放ってもらえるかしら』
 さすが不死身の吸血鬼。
 自分もろとも援護射撃歓迎とは。
 だが、悪くない判断だ。せっかく数で勝っているんだ。
 近接戦と狙撃魔術の組み合わせはオーソドックスだが、やられた方はたまったもんじゃない。それも連携が上手ければ上手いほど厄介になる。
『セラさんだけに負担はかけませんわ』
 続いて金髪エルフが紫電を迸らせながら急接近!
【雷闘拳】だ。
 俺は魔眼【奇跡不逃】によりひらひらと揺れるスカートを目で追い続ける。
【奇跡不逃】は書いた漢字の通り奇跡を逃さず。すなわちパンチラを逃さない眼である。
 魔眼と聞けば希少な魔宝具だと思いがちだが、効果や価値はピンからキリまであり、パンチラを逃さない、なんてふざけたものまである。
 だが物は使いようとはよく言ったもので、【仮装自在】と【奇跡不逃】の相性は抜群。
 そんなわけで強化された動体視力、反射神経、さらに彼女たちの思考と感情を読み取りながら、迫ってくる手を目と鼻の先で躱していく。
大気を蒸発させる『じゅううう』という音と空気を弾く『バチバチ』という音が憎い。
 当然のように高等魔術を発動しやがって。
 ギョロギョロと忙せわしなく両目を上下左右しつつ、盗聴もしながら相手の出方を待つ。  そうこうしているうちに針がⅠを示す。
 時間だ。
 最初の〝鬼畜〟をお見舞いさせてもらう。
 四人の胸中が丸聞こえな俺はタイミングを見計らってセラと乳デカの視界から消えるように腰を落とす。
 手の矛先を見失った二人に一瞬の隙ができる。
 俺は両手で二人のミニスカをめくる。
「なっ──!」「ちょっ──!」
 二人は男に肌を許したことのない生娘だったのか。
 頬を紅潮させてすぐにミニスカを押さえようとした刹那、
「「うぐっ……!」」
 勢いよく決闘場の壁に吹き飛ばされるセラとルナ。
 なっ、何が──。
 四人全員、心の声が一致する。
 どうやら何が起きたのか誰も理解していないようだ。説明タイムといきますか。
「つーわけで、針がⅠを示した。鬼畜度が増したぞ。言い忘れていたが、この領域内でパンチラしたら風魔術【風刃】が発動する。もちろん無キャンセル効化も不可。一瞬で壁行きだ。気つけろよー」
 四人の瞳から余裕が消えた。
職業は鑑定士ですが【神眼】ってなんですか? ~世界最高の初級職で自由にいきたい~ 1

あらゆる情報や確率をその手の中に。特級の【神眼】で自由を切り拓け!

職業は鑑定士ですが【神眼】ってなんですか? ~世界最高の初級職で自由にいきたい~ 1

著者:渡 琉兎 イラスト:ゆのひと

発売日:3月25日(木)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

「名前、真広桃李。十八歳の男。それで職業が鑑定士……ここまではいいんだよ」
平凡な高校生だったトウリは、授業中に在籍するクラス全員と共に異世界へ転移させられてしまう。
スキルの基礎となる“職業”が、初級の『鑑定士』でしかないことが判明したトウリは、勇者を求めて召喚した人々に、テンプレのような流れで追放されて途方に暮れ――なかった!
そんな彼の職業『鑑定士』は、万物の情報を知ることだけでなく、あらゆる解決策や確率すらも推し量れる、特級の【神眼】だったのだ。
「それにしても鑑定士【神眼】、めっちゃ役に立つけど本当に初級職なのか?」
トウリは自身の能力を上げるアイテム発見&活用しながら、辿り着いた城塞都市の領主アリーシャの協力を得て、この世界で自由に生きていくことを決意し――。
規格外の鑑定スキルで自由を切り拓く、王道異世界ファンタジー、ここに開幕!!

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 ——そして翌朝、俺は作戦を実行することにした。
 早いと思う者もいるかもしれないが、良いタイミングなんて俺にわかるはずもない。
 善は急げという言葉もあるくらいなのだから、動けるならすぐに行動あるのみだ。
 俺は念のためにもう一度鑑定を行う。
「鑑定、人里」
 ……やはり、示される方向は変わらない。
「鑑定、魔獣」
 ……おぉ、これも変わらず森の中全域に案内がたくさんあるよ。
 俺はポケットにぶどうを詰め込み、シャツをズボンにインすると内側にもぶどうを入れていく。
 汗に濡ぬ れて食べるのを躊躇うかもしれないが、一大事なので気にしないことにしよう。
 なるべく多くのぶどうを詰められるだけ詰めると、俺はその場でぶどうを大量に食べる。
 一粒……五粒……一〇粒……お腹が膨れるまで食べた俺はステータスを開いた。
「……うぷっ! ……ふぅ、速さの能力値は……おぉっ! 100までいってるじゃん!」
 100ってことは、一九粒食べたことになるのか。
 普段の俺ならまだ食べられそうだが、不思議とこのぶどうはすぐにお腹が膨れてしまう。
 食べられる制限があるのかと考えたが、今は一秒でも時間が惜しい。
 俺は目的地の方角に足を向けると——周囲を気にすることなく一気に駆け出した。
 シャツが出ないように押さえながらではあったが、いつもの何倍もの速さで走っている自分に驚きと共に感動を覚えていた。
「うっひょー! これが俺かよ! これが——異世界かよ!」
 ただ走っているだけなのだが、それだけでこんなに楽しいとは思わなかった。
 人里に出て装備を整えることができれば魔獣とも戦えるだろう。そうなればレベルも上がって、もっとこの世界を堪能することができるはずだ。
 ラノベの中でしか繰り広げられていなかったことが、今は目の前まで近づいてきている
「俺は——自由だああああああああぁぁどわあっ!?」
 あ、あっぶねええええぇぇっ!
 テンションが上がりすぎて魔獣の存在を忘れていたぞ!
 突然振り下ろされた拳を避けられたのは奇跡だからね! かすりでもしたら即死確定だからな!
 俺は振り返ることをせず、ただひたすら前を向いて走り続けた。
 魔獣が姿を現したらさらに加速して、一気に通り過ぎていく。
 時折時計に目をやり、制限時間だとわかれば走りながらぶどうを食べる。
 最初に食べた分が消えるまではより速くなるのだが、100になった分がなくなると途端に遅くなるので慌てて食べ進める。
 そんな感じで走り続けて三〇分が経とうとした時だった——
「あれは、森が、途切れている!」
 呼吸が苦しくなり、そろそろ限界が近づいてきた時に見つけた森の切れ目は、最後の力を振り絞る原動力になってくれた。
 これがなければ、最後に待ち受けていた魔獣の餌食になっていたかもしれない。
 ぶどうを食べられるだけ食べて一気に加速した俺は森を抜けた途端——巨大なドラゴンにブレスを浴びせ掛けられたのだ。
「どわああああああああっ!!」
 ブレスは俺が森を抜けた直後、その後方を横切っていった。
 一粒でも食べそびれていれば、少しでも気を抜いて足を止めていたら、俺は一瞬で灰になっていたかもしれない。
 またしても振り返ることなく、全力疾走で森を抜けたあとの丘を駆け下りていく。
 感動していたよ、ブレスを浴びせ掛けられるまでは。
 叫びたかったよ、ブレスを浴びせ掛けられるまでは!
 泣きたかったよ、ブレスを浴びせ掛けられるまでは!!
「俺の感動を! 返せバカやろおおおおおおぉぉっ!」
 そんな叫び声しか、今の俺には出すことができなかった。
元ギルド職員、孤児院を開く スキル【覚醒鑑定】で生徒たちの才能開花、ついでに自分もレベルアップ!?

先生は子どもたちを支え、導き、やがて伝説の勇者に……て、なんで!?

元ギルド職員、孤児院を開く スキル【覚醒鑑定】で生徒たちの才能開花、ついでに自分もレベルアップ!?

著者:和成 ソウイチ イラスト:タムラ ヨウ

発売日:3月3日(木)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

真面目が取り柄のギルド職員イストは、「レベルが低い」という理由で職を失い、縁あって孤児院の先生となる。
そして、対象者の隠れたスキルを解放させる【覚醒鑑定】で生徒の才能を伸ばし、導いていこうと決意するのだが……なんと解放したスキルは自身にコピー可能だった。
生徒を守るため、借り物スキルでピンチを乗り越えるたびレベルアップ!
才能あふれる生徒たちに背中を押され、最強の冒険者への道を歩み始める。
追放から始まる元ギルド職員の孤児院再建&不本意成り上がり冒険譚、はじまります!

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「……迷っているのかい」
 俺はたずねる。
 アルモアは答えなかった。首を縦に振ることも、横に振ることもなかった。
 俺は腰に手を当てる。
「ドミルドさんから、孤児院だけじゃなく冒険者ギルドも開いてはどうかと言われたよ」
「そうなの?」
「俺は孤児院の先生でありたい。子どもたちを導くのが俺の役目だと思うから」
「イストらしい」
 じゃりっ、と靴底が土を擦る音がした。銀髪少女が俺に向き直る。
「冒険者ギルド、やったらいいんじゃない」
「アルモア?」
「もし、イストがギルドを開くのなら……私、そこで働いてみたい」
 まっすぐな――いつか見たフィロエそっくりのまっすぐな視線が俺を貫く。
 俺の言葉を待っているのだと直感した。
 頭をガシガシとかく。
 安全な住居、飢えない生活、適度な学び。それだけでも十分だと思うし、それだけそろえるのも大変だと考えている。
 俺の理想は、皆でひっそり穏やかに過ごすことだ。
 だが。
 レーデリアにしろフィロエにしろ、もちろん他の子どもたちも、俺の理想では収まらない器が集まっているんだよな。
 目の前の少女だってそうだ。
目の前の少女だってそうだ。
 俺がギルドを開くなら、そこで働きたい――か。この娘が俺の返事を待っているなら、やはり、答えはひとつだろうな。
「アルモア。一緒に来ないか。ギルドを開くかどうかは抜きにしても、さ」
 彼女はキュッと唇を引き締めた。俺は重ねて言った。
「一緒にいろんな人たちを見ていこう。皆と一緒に成長していこう。俺にはお前の力が必要だ」
「その言葉、待ってた」
 アルモアは泣き始めた。彼女の顔にモヤモヤは見えない。今の、朝の光のように輝いている。
 まったくずるいぞ。悩みの解消に、俺を使うなんて。
 ま、いいように使ってくれ。これからもな。
 涙を拭ったアルモアは、両親の墓に報告した。
「父さん、母さん。私、この人と一緒になる。そしてこの人の隣で恥じない女になる」 なんだか別の意味の報告になっていないかと思ったが、黙っておいた。
 ロドがアルモアに寄り添い、鼻先を彼女の手に当てた。別れの言葉を告げる。
『アルモア。お前には無限の可能性がある。その道を示したのはイスト殿だ。彼を信じて、どこまでも進むといい』
「うん。ありがとう、ロド」
『主たちのことは私に任せよ。おい、アヴリルとやら。これからは私の役目をお前が担え。しっかり頼むぞ』
『きゅー』
 どうやら、まだ人の言葉に慣れていないらしいアヴリルはかわいらしく鳴いた。
 アルモアが満面の笑みで振り返った。
「アルモア・サヴァンス。今日このときから、あなたの許で戦います。よろしくね」
「ああ。こちらこそ、よろしく」
手を差し出す。
 するとアルモアは、握手の代わりにその小さな身体を俺に預けてきた。
「どんな世界が待っているんだろう。こんなに楽しみでドキドキするのは初めて」
「頑張ろうぜ。そして、両親に恥じないほど立派になったら、またここへ報告に来よう」
「うん」
 アルモアはうなずいた。
俺の召喚獣、死んでる

俺の召喚獣は神をも殺す伝説の大魔獣――の死体!?

俺の召喚獣、死んでる

著者:楽山 イラスト: 深遊

発売日:2月19日(土)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

召喚術師養成学校――通称・学院に通う苦学生のフェイル・フォナフが喚び出した『片割れ』の召喚獣は、神話にその名を刻む“終界の魔獣・パンドラ”だった!
  身の丈三百メートル以上。数多の神々を殺しまくった最強の召喚獣を相棒にしたフェイルだが、ひとつだけ大きな問題があり――
「間違いない。俺のパンドラ、完全に死んでる」
学院トップで王女のサーシャ・シド・ゼウルタニアに勝つため、チームメイトと共にまったく動かない“パンドラの死体”を動かす方法を模索することに。
やがて世界を救う召喚術師のサモンバトルファンタジー!

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「普通の召喚術師は、『片割れ』にそっぽ向かれたりなんかしねぇさ」
 軽い気持ちで口にした言葉なのだが、チームメイト二人は笑ってくれず、ずいぶん真面目な顔で俺を見るのである。哀れみを隠そうとしたら、自然その顔になったのかもしれない。
「ちょっと聞いてくれるか、二人とも」
 前屈み気味にあぐらを組んでシリルとミフィーラと相対した俺。ため息混じりにこう続けた。
「間違いない。俺のパンドラ、完全に死んでる」
 返ってきたのは真摯な視線、そして仲間思いの沈黙だ。
 コーヒータイムの雑談という雰囲気にはならず、俺も一言一句発するのに力がいる。
「こんな近くにいるのに――あんなすぐそばで俺が死にかけたのに、パンドラの鼓動も何も感じなかった。さすがに認めにゃあならんだろう。……俺の『片割れ』は、“終界の魔獣・パンドラ”じゃなくて、“パンドラの死体”だ。前代未聞だぜ、死体が相棒だなんて」
 当然だ。一人の召喚術師の前途に陰りが落ちた瞬間である。生半(なまなか)な慰めなんて言えるわけがない。俺だって言えない。二人と同じように深刻な顔をするばかりだろう。
 だからこそ、俺が、「ま、あれこれ嘆いてもしょうがねえ」と強がるしかないのだった。
「入学から半年かかったが、『片割れ』の正体がわかった。成果といえば成果だろ。なんで意識のない死体が俺の召喚に応えたのか――それよりまず、こいつの使い道を考えにゃなるまい」
 そこまで言うと、さすがにシリルの唇も曲がる。感心というか、苦笑というか、なんとも微妙な笑い。
「強いなフェイル」
「単に貧乏性なだけだ。ただで転んでたまるかよ」
 次いで、ミフィーラがポツリと妙なことを言った。
「パンドラは死んでたって最強」
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • タイトルのせいでギャグ寄りのお話かと思って読み始めたらものすごく熱い!
    始まって間もないのに、主人公含め主要人物のキャラが立っているだけでなく、主人公との関係性も良く描写できている。 とても力強くていい作品に出会えました。
    ─── @Kahunshow
  • 本当に面白いです。戦闘シーンの描写は素晴らしく、どの件でもワクワクしながら読めました。
    キャラクターも素晴らしいです。個性的な友人や、多種多様な召喚獣など、この設定だけでも面白いです。 また、主人公の生い立ちや、ひた向きに努力していく姿勢に何回も心打たれました。 ヒロインとの、本屋さんでの絡みは必読です。最高でした。。
    ─── @jake26s
氷結系こそ最強です!1 小さくて可愛い師匠と結婚するために最強の魔術師を目指します

イチャイチャ度MAXにして爽快。師匠と結婚するために最弱から世界最強へ

氷結系こそ最強です! 1 小さくて可愛い師匠と結婚するために最強の魔術師を目指します

著者:日之影ソラ イラスト:田所哲平

発売日:1月31日(月)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

優秀な魔術師を輩出してきたヘルメス家。
しかし、三男フレイだけが現代では不人気な氷属性にしか適正がないことがわかった。
ゆえにフレイは周囲からは蔑まれ、ヘルメス家を追放されてしまう。
「見返してやる……強くなってやる」
そう決意したフレイが出会ったのは一人の可憐な少女。
しかし彼女こそ、世界を救った7賢者の一人・氷の賢者アルセリアだった。
氷属性で世界最強の魔術師になるべくアルセリアを師匠と慕うフレイだが、やがてそれは恋心に変化。
ついにはプロポーズを!?

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 僕は雪崩に呑み込まれて死を悟った。だから本当に、運が良かったのだろう。不運続きだったこともあって、心の底からそう思った。
「ぅ……う……え?」
 気が付くと僕は、氷の結晶で覆われた洞窟にいた。雪崩に巻き込まれ、どこかにあった洞窟の入り口に落ちたようだ。おかげで窒息することなく、何とか生きている。外よりも風がない分、洞窟内のほうが暖かく感じた。
 僕は洞窟内を歩いた。体は痛くて苦しいけど、何かに導かれるように足を進めた。そして、辿り着いた先には──
 氷の中に眠る綺麗な女の子がいた。女の子は裸で、目を瞑っている。薄い水色の髪に、白くて綺麗な肌。まるで人形みたいで、僕は思わず見(み)惚(と)れていた。
「綺麗……」
「そうでしょ? 私もそう思う!」
「え?」
 声がする方を向くと、女の子が隣にいた。半透明だし、氷の中にいる子と同じ、こっちは服を着ている。
「え、えぇ?」
「こんにちはー! ここに人が来るなんて何百年ぶりかな~」
「……だ、誰ですか? 何でここに……氷の中に?」
 混乱して言葉がまとまらない。そんな僕に彼女は言う。
「まぁまぁ落ち着いて。私の名前はアルセリア、氷の賢者って呼ばれてる……とーってもすごいお姉さんだよ!」
「氷の……賢者様?」
「そう!」
 この人が?
 七人の賢者の一人?
「こんな子供が……」
「こ、子供って言うなよ! 私はこれでも成人しているんだぞ!」
「え、えぇ!?」
 それが一番の驚きだったかもしれない。
 成人?
 身長は僕と変わらないし、どう見ても子供にしか見えないのに?
 あ……いや、でも子供にしてはおっぱ……。
「っんぅ!」
「え、な、何?」
 氷の中にいる彼女は裸で、体の隅々までよく見える。幼く見える体にもちゃんと女性らしさがあって、僕には刺激が強かった。
 ううん、違う。
 それよりどうして生きているの?
 本当に賢者様なら、千年以上前の人だよ?
「はっはーん。その顔、何で生きてるのって思ってるでしょ?」
「え、あ、はい……」
「えーっとね。今の私って透けて見えるよね?」
 僕はうんと頷うなずく。
「これは私の意識だけ魔力で投影してるからなんだよ。そーれで、本当の私はそっちで眠ってるの。ちょっと実験に失敗しちゃってね~」
「……え?」
「いやー困っちゃうよね。私の力が強すぎて、誰も氷を解除できないんだ〜。炎の賢者って呼ばれてた彼ならいけると思うけど、もうさすがに死んじゃっていないし。あーそれに触れないでね? 触れると魔力を勝手に吸って君まで凍っちゃうから」
 魔力を吸う?
 それに炎の賢者様しか溶かせない氷?
「あ、あの! 氷の賢者様!」
「え、何?」
「氷の賢者様は賢者様なんですよね? 他の賢者様みたいに、すごく強かったんですよね!」
「それはもちろん。魔神とだって戦えるくらいね? まぁいっつもいい所は皆にもっていかれちゃってたけどさぁ~」
 彼女は軽く笑顔で話しているが、魔神を倒せる強さなんて普通じゃない。賢者様でなければありえないことだ。
「どうすれば強くなれますか? 僕、どうしても強くなりたくてここに来たんです!」
いずれ最強に至る転生魔法使い

「せっかくの異世界なんだから、最強を目指すしかないでしょ!」

いずれ最強に至る転生魔法使い

著者:飯田栄静 イラスト:冬ゆき

発売日:12月25日(土)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

前世の記憶を持ったまま異世界に転生し貴族のもとに生まれた少年サム。彼は剣士の家系でありながら剣の才能がないという理由で実家から追放されてしまう。だがサムには、この世界では稀少な魔法使いとしての才能があったのだ!「剣がダメなら魔法で世界最強になってやろう!」と決意し冒険の旅にでたサムはその道中で、自称「天才魔法使い」ウル・シャイトと運命的な出会いを果たす。ウルはサムの中に眠る魔法の才能に気づき「私が君を育ててやろう」と弟子に取る。過酷だが楽しい日々を送るサムとウルだったが、二人の冒険はある日突然終わりを迎えてしまい――!? WEBで話題沸騰の最強魔法バトルファンタジー、ついに書籍化!

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「少年! いや、サム!」
「は、はい?」
ウルに、突然両肩を掴まれて、油断すれば唇が触れそうなほど至近距離に彼女の顔が迫る。
「君には、私には劣るが、ずば抜けた魔力と魔法の才能があるぞ!」
「――っ、本当ですか!?」
「もちろんだ。私はつまらない嘘をついたりしない。そして、才能ある君に、さらなる朗報がある!」
「朗報?」
「喜べ! このウル・シャイトがサムを弟子にしてやろう!」
「はい?」
「よろしい。いい返事だ」
「ちょ、待って、今のは返事じゃなくて、困惑して聞き返しただけで」
急に弟子入りと言われて慌てるサムを置いてきぼりにして、ウルはどんどん話を進めてく。
その勢いは凄まじく、サムには止めようがなかった。
「今日から、サミュエル・シャイトと名乗るといい!」
「待って、ウルさん! 待って、お願いだから待って!」
「私はずっと自分の後継者になることのできる人間を探していた。私の学んだ魔術を全て継承するこのできる、才能ある人材を、だ」
「ま、まさか、それって」
「そうだ。それが、サム、お前だ!」
整った顔がこれでもかと近づいているのに、ときめいている余裕さえない。
鼓動が早くなる。
だが、それはウルの顔が近いからではない。
「俺にそんな才能が?」
震える声で吐き出したのは、期待に満ちた問いかけだった。
ウルは力強く頷く。
「ある! 約束しよう! サムはいずれ最強の魔法使いへと至るだろう! いや、私がしてみせよう!」
「俺が、最強の魔法使いに?」
なれるのか、と考えてしまう。
異世界に転生して一年、剣の才能がなく魔法に縋るしかなかった、自分に、そんな才能があるのかと疑問だった。
しかし、ウルの瞳はどこまでも真っ直ぐで、サムの才能を疑っている素振りさえなかった。
(――信じたい)
「これは運命だよ、サム。こんな辺境の森の中で、偶然出会った私とお前が、お互いに求めているものを持っている。私は後継者を、サムは優れた師を」
ごくり、とサムは唾を飲み込んだ。
緊張に体が震え、心臓の鼓動が煩くなる。
そんなサムから一歩離れ、ウルは再び手を伸ばした。
(これは、きっと運命の出会いだ)
ウルの言う通り、お互いに欲していたものを持っている。
これが運命でなければ、なんだというのだろうか。
自称天才魔法使いのウルがどれほどの実力なのか、サムにはわからない。
だが、堂々とした自信に満ち溢れる彼女の言動に、賭けたくなった。
サムはおもむろにウルの手を取る。
彼女の手は、意外と小さく、指は細くしなやかだ。
彼女の手が、サムの手を力強く握り返した。
「よろしくお願いします。ウルさん」
「私のことは師匠と呼ぶといい。今日からサムは――私のものだ」
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • この作品における悪役って奴は、どれも反吐が出そうなほど見事なクズばかり。
    それが主人公と戦い惨めな末路をたどって行くのは、ある意味定番なんでしょうけど、本当にスカッとします。
    ─── @Metabocchan
  • 悲しみ、笑い、泣き、心が温かく包まれる。
    タイトルでありきたりな転生ものと勘違いされそうだが、
    主人公の人との関わりによる心の成長、優しさや強さに
    異世界転生、チートというキーワードを見事に組み合わせた
    チート系ヒューマン小説。
    ─── @taiyakikundeth

現代の知識と製品で異世界で成り上がる! 異世界商人物語開幕!

無敵商人の異世界成り上がり物語
~現代の製品を自在に取り寄せるスキルがあるので異世界では楽勝です~

著者:青山 有 イラスト:ぷきゅのすけ

発売日:12月24日(金)

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COMIC コミック連載COMIC コミック連載
STORY あらすじSTORY あらすじ

愛猫のニケとともに異世界に迷い込んだ天涯孤独の大学生・朝倉大地。半ば絶望にかられた大地だったが、異世界と現代社会のどちらの製品も自由に取り寄せることができる「トレード」スキルが発覚し――。

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眼前に現れた半透明のボードを中止すると、そこには俺の名前が書かれていた。
名前:大地
家名:朝倉
魔法:無属性魔法
特殊スキル:トレーダー 鑑定
「違う、俺のステータスボードだ」
胸の奥底から不思議な高揚感が込み上げ、先ほどまで渦巻いていた不安と恐怖が急速に薄らぐ。 「よし! 俺にもチートスキルがある! トレーダーというのはよく分からないけど、鑑定はチートスキルの定番だ!」
状況が厳しいことに変わりはないが、それでも不思議と安堵の気持ちが湧き上がった。
「ミャー」
俺は自分の周りをフワフワと飛び回るニケに意識を集中した。
名前:ニケ
家名:朝倉
魔法:無属性魔法
精霊魔法:土魔法 水魔法 火魔法 風魔法
「ニケ……。お前、俺よりも凄くないか?」
「ミャー?」
どちらもチート能力を持っていたことは行幸だ。お互い単独でいるよりも協力し合うことで生存確率が伸びるのは間違いない。どうせ日本に帰っても天涯孤独の身。それどころかあと半年もすればニートの可能性だってある。それならお前と協力し合ってこの世界で生きていく手段を探す方が賢明だ。
そうと決まれば最優先すべきはスキルの検証である。
「先ずは、鑑定スキルの続きだ」
俺はニケを抱いたまま、周囲に自生している草に意識を集中した。ステータスボードが空中に現れ、そこに雑草の名前や特性などの情報が浮かび上がると想像していたのだが、実際には違った。頭のなかに雑草の名前が流れ込む。さらに意識を集中するとそれぞれの雑草の特性や効能などが流れ込んできた。
「概ね予想通りの能力だ」
鑑定スキルの結果に満足した俺は、緩んだ口元を引き締めて半透明のボードに書かれた『トレーダー』の文字に意識を傾ける。途端、トレーダースキルの詳細が頭の中に流れ込んできた。
「うわ! 何だよ、これ! これが……、トレーダーの能力、なのか……?」
一気に流れ込んでくる膨大な情報。
心臓が大きく跳ねる。自分でも心拍数が上がっているのが分かる。
「凄いぞ、トレーダースキル」
それは異世界転生の漫画でよく出てくるチート能力の一つである異空間収納の上位互換ともいえるスキルだった。異空間収納内に取り込んだ物品や資源を『トレードポイント』に変換。そのトレードポイントでこの世界だけでなく、元の世界からも物品や資源を取り寄せられるというスキルだった。 思わず拳を握りしめた。先ほどとは比べものにならない高揚感に襲われる。
「このスキル、大当たりじゃないか!」
退屈でくだらない日常が俺の中で音を立てて崩れていく。異世界、何て刺激的な響きだ。
「ミャッ! ミャー!」
興奮して強く抱きしめてしまったらしく、俺の腕のなかでニケが抗議の鳴き声を上げた。
「ごめん、ごめん」
慌てて力を緩めると腕から抜けだしたニケが地面へと飛び降りる。
「ミャー?」
「すまないな。少しそこで大人しくしていてくれよ」
足元で鎮座するニケに向けてそう言うと、はやる気持ちを抑えてトレーダースキルの検証に移ることにした。
「さて、手始めはこのあたりかな」
足元に自生している雑草を無造作にむしり取って異空間収納へと収納する。
「ミャ?」
俺の右手を不思議そうに見つめるニケの仕種に自然と口元が綻ぶ。
「驚いているのか?」
「ミャー」
「そうだろ、そうだろ。驚くよなー」
俺は上機嫌でニケに話しかけると再び雑草に手を伸ばした。
「ニケ、よーく見てろよ」
ニケが興味深そうに手の動きを追っているのを確認すると、先ほどよりもゆっくりと雑草を引き抜き異空間収納へと収納した。
「ミャ!」
驚いて飛び退ったニケだったが、すぐに引き抜かれた雑草があるはずの手に近寄るとフンフンと匂いを嗅ぎだした。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • 爽快感があり読みやすく面白い作品です。
    ─── ファイト中山田船長
  • 考えて考えてどうにか格好良く立ち回れるけど、どこか抜けてしまう。
    普段は逸般人で肝心な時は一般人。
    そんなちょっと俗っぽいけどよく考えたら普通な思考を持った「妙にリアルな主人公」のアサクラさん。
    良いですよ〜ホント(笑)
    ─── 山狗
何と言われようとも、僕はただの宮廷司書です。

世界の叡智が集う魔法図書館と規格外な宮廷司書のビブリア・ファンタジー。

何と言われようとも、僕はただの宮廷司書です。

著者:安居院 晃 イラスト:あんべよしろう

発売日:12月1日(水)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

スネイエルス王国にある魔法図書館の司書業務と第三王女で幼馴染のフィオナの遊び相手をする少年セレル。慌ただしくも楽しい日々を送っていると、ベルナール公爵家から愛娘シオンの病を治す方法を探してくれと頼まれ引き受けることに。
彼女の身体を調べたところ、呪詛魔法に侵されていることが分かり、すぐに治療法を探しはじめるセレル。そんな中、彼女の容態が急変したと報せが届く。治療法を見つけられていないセレルは雷系統魔法で相殺・消滅しようと試みるのだが、異変に気付いた呪詛刻印がセレルの身体に乗り移ってきて……。
大図書館の書物を巡るビブリア・ファンタジー、開幕。

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柔らかな感触に、微かに鼻腔を擽る香水のいい匂い。
こうして僕が疲れている時、フィオナはよく膝枕をしてくれる。本当に、心の優しい王女様だ。
「ありがとう。ちょっと休ませてもらうよ」
「どういたしまして。でも、本当に疲れた顔してるわよ? 今日は図書館閉めて、休んだら?」
「そういうわけにもいかないよ。勉強したい子たちだっているだろうし、何よりあんまり時間がないんだ」
シオン様の体調は、現段階では問題ない。昨日の処置で魔力も十分に発散させたので、しばらくは蓄積障害を起こすこともないだろう。
だけど、悠長にしている暇もない。刻一刻と、あの病はシオン様の身体を蝕んでいるのだから。
フィオナは僕の頭を撫でつけながら、なるほど、と相槌を打った。
「シオンのことね」
「うん。ちょっと厄介な病にかかっていてさ。文献を片っ端から漁っているところなんだよ」
「病? あぁ、だからベルナール公爵はあんなにも焦った様子で私に相談してきたのね。そりゃあ、娘の一大事ともなれば取り乱しもするか」
「君は詳細を知らされないまま僕を紹介したんだろう? なんて相談を受けたんだい?」
「誰か、博識で常人では太刀打ちできない知識を持つ賢人は知らないかって」
「その問いで僕の名前を出したの!?」
賢人って……そんなの遥か昔の歴史に消えただろう。
人知を超越したような存在に、僕みたいなまだまだ未熟者の名前を出さないでほしい。公爵様が過度な期待をしていたのは、そういう理由もあるのか……。おのれ。
「フィオナ。前から思っていたんだけど、あまり過剰に僕の評価を上げるのはやめてくれないか。力不足にも程があるよ」
「あら? そんなことないでしょ。王都で唯一の宮廷司書にして、この図書館に所蔵されている書物を全て網羅し身に着けた知識を有し、尚且つ能天書と位階の低い魔導書を持ちながら常識離れした雷と風魔法を操る。私のセレルに対する評価は全く過大ではないわよ」
「……どう思いますか? ルーナさん」
僕はフィオナから視線を外し、先ほどから本棚の陰に隠れてこちらを見ている──正確には、王女であるフィオナを護衛している女性に声をかけた。
「気配は完璧に消していたはずなのですが……」
ふてくされながら姿を現したのは、動きやすさを重視した軽装に身を包んだ騎士──フィオナの専属護衛を務めている、ルーナさん。
鋭い眼光を持つ赤い瞳と、後ろで一つに束ねられた赤い髪が特徴的な美女であり、近衛の中でも実力派トップクラスだと聞いている。
そして、初めて王族の専属護衛になった、竜人族の亜人でもある。
僕はムスッと口をすぼめる彼女に笑みを浮かべた。
「ここを何処だと思っているんですか? 図書館にいる人が気配を消そうと、僕には容易に感知できますからね」
「御見それしました。それと私としては、フィオナ様のセレル様への評価は全く過大ではないと思います。寧ろ、過小評価に過ぎる程とも言えるでしょう」
「貴女までフィオナの肩を持つんですか? はぁ、ただの司書に賢人を名乗るのは些か無理が過ぎると思うんですけど」
「「ただの司書とは言えないわよ(です)」」
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • 司書という立場と本の虫という特性から柔軟な発想と闘いをするジャイアントキリングのような話だと思ったら…意外や意外
    ─── @lovemovies
  • 久々に出会ったバランス感覚に優れた作品。ざまあ、オレツエー、ハーレムなどの欲望を叶える系に飽きたあなたへ。草食系ヒーローが、クールに暴れます。
    ─── @m440
いずれ水帝と呼ばれる少年

水魔法が劣等だと?この世界の常識なんて俺が根源から覆してやる――。

いずれ水帝と呼ばれる少年
~水魔法が最弱? お前たちはまだ本当の水魔法を知らない!~

著者:かたなかじ イラスト:カラスロ

発売日:12月1日(水)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

魔法適性が劣等属性の水魔法だったミズキは、我流で水魔法を研鑽し続け、そしていつしかそれは全く別次元のものへと進化を遂げていた――。劣等属性のはずの水魔法で最強の座"水帝"を目指し成り上がっていく!!

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「さらば、我が家。住み心地は……まあ、あんまりよくなかったけど八年間お世話になりました」
そう呟くと、今度は視線をおろして八年間住んだ部屋に小さく別れを告げた。
塔の内部と外部をつなぐ唯一の大きな扉は外からかんぬきがかけられており、その上に金属製の錠前をかけることによって完全に施錠されていた。
それに向かって右の手のひらを向ける。
「まずはこいつを……〝水竜〞 」
魔力を込めて、魔法名を口にすると、水魔法特有の青い光が淡く光りだす。 
そしてその名のとおり水でできた美しい和竜が出現し、威嚇するように大きく口を開けて身体をうねらせながら扉に向かって突撃していく。
これはミズキが生み出したオリジナル魔法であり、誰も真似することはできない。
『GAAAAAAAAAA!』
けたたましいおたけびをあげた水竜は、分厚い扉をぶち破って外に飛び出すと、そのまま天へと昇っていった。
「な、何事だ⁉」
「か、怪物!」
魔法によって作り出されているため、生物ではない。
それでもまるで生きている竜のように見えるので、夜間の警備兵たちは慌てふためいている。
「あぁ、これがこの世界の外なのか……」
外に出られたのはこの世界に生まれ落ちてすぐ、それこそ赤ん坊の頃以来であった。
夜特有のひんやりとした澄み切った空気がミズキの肌を撫でる。
星が瞬く夜空が大きく広がっており、改めて外に出たことを実感する。
大きく呼吸をすると、埃っぽさのない新鮮な空気で肺が満たされる。
「お、おい! お前、脱走したのか!」
「早く旦那様に報告しろ!」
「武器を持て!」
食事は小さな扉から出し入れされており、ミズキが閉じ込められてから一度として開放されることのなかった塔の扉が破られて、脱出を許してしまった。
ミズキの存在はこの家の最大の禁忌で、外に漏れることは決して許されない事態だった。
ミズキが脱走したという情報は次々に伝播し、あっという間に家中に知れ渡っていく。
「なにごとだ!」
「夜中に騒がしいぞ!」
その騒ぎを聞き、苛立ちに声を荒らげながら駆けつけて来たのはウィリアム家の長男タークスと、次男のダルクの二人だった。
二人とも、もちろん火魔法の使い手で、未来の火の大魔法使いと期待されている。
そんな二人はミズキのことを見て怪訝な表情になっていた。
見たことがない何者かが暴れている。
しかも、手練れ揃いのウィリアム家の兵士がろくに抵抗もできず、動揺して相手に飲み込まれてしまっていた。
「……あれ? もしかして兄さんたち? 多分そうだったはず……」
ミズキはぼんやりとした記憶をたどり、自分へと杖を向ける二人を見ている。
彼らの顔を見たのはミズキがまだ赤ん坊の頃で、当然二人も幼い頃だった。
二人の髪色は火魔法の家系の中でも特に魔力が強い者であることを示す赤。
上の兄は濃い赤色の長髪をなびかせ、二番目の兄はオレンジに近い赤色の髪を短く切りそろえている。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • 追放モノなのにほとんどストレス感じさせず、適度に無双を加えて上手く読み手さんの心を物語に繋ぎ止めた手法に脱帽です。
    「魔法は想像力」
    この言葉にピンと来る方、楽しく読める事受け合い!
    ─── @hyperclockup
  • 文章も読みやすく、すっと入ってくる文章。
    ストーリーも順を踏んで進んでいく構成。
    読み手としても面白いですし、
    書き手としても勉強になる作品です。
    ─── 西東友一
絶対無敵の解錠士

全てを奪われ捨てられた少年冒険者の成り上がりファンタジー!

絶対無敵の解錠士

著者:鈴木竜一 イラスト:UGUME

発売日:10月29日(金)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

パーティー仲間にモンスターの囮に使われた冒険者見習いのフォルト。モンスターから逃げるため崖から飛び降りたフォルトは、薄れゆく意識の中で王宮解錠士クラスの女神の鍵を手に入れ、さらに神クラス装備である三種の神器も入手する。
その後、イルナに出会ったフォルトは彼女が所属する《霧の旅団》に加入し、共に草原のダンジョン――グリーン・ガーデン、灼熱のダンジョン――バーニング・バレーで着実に冒険者レベルを上げていく。そんな中、街の地下で違法に栽培され巨大化した聖樹の討伐依頼を受けることになるのだが……。
新米冒険者の成り上がりファンタジー冒険譚、開幕!!

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「て、てめぇ! なんのつもりだ!」
偽聖樹がガルトンを捕らえたのだ。
となると、必然的に、
「ぐおっ! お、俺の服が! 服がぁ!」
その樹液で服が溶け始める。
徐々にあらわとなっていく中年男性の肌……おっさんのフルヌードなんて見たくないので、とっとと終わらせてもらおう。
その前に、まずはイルナの救出からだ。
「くらえ!」
龍声剣に炎をまとわせて、思いっきり焼き斬る。
「きゃあっ!?」
偽聖樹はダメージを食らうと同時にイルナを放す。俺は一旦龍声剣を鞘におさめると、両腕でしっかりとイルナを抱きとめる。
「大丈夫か!?」
「え、えぇ、ありがとう……」
お礼を言い終えてすぐにそっぽを向くイルナ。それもそのはず。服は諸々隠すくらいの面積はキープできているが、それでも半分近く溶けており、いつも以上に肌があらわとなっているのだ。恥ずかしがらない方がおかしい。
「うぅ……ひ、ひどい目に遭ったわ……」
俺の手を離れ、ぐったりしているイルナ。
あとで共同浴場に行こうと約束してから、俺は偽聖樹へ向き直る。
「ひいぃ!」
ガルトンは触手に絡まれ、なんというか……大変お見苦しい状態になっていた。
女子であるイルナには目に毒な光景なので、早々にご退場いただこう。
「次は風属性だ!」
龍声剣の力で、俺は魔法属性を火から風に変える。
こんなお手軽に属性変更できるところが、★10アイテムたる所以だろうな。
魔力で生み出した風。
こいつにはちょっとした追加効果がある。
「いけっ!」
俺は魔法を放つ。
ただの風――だが、それを受けた偽聖樹の根はズタズタに引き裂かれた。
「ぬおっ!?」
その衝撃で解放されたガルトンは尻から地面に着地。
全身に大ダメージを負った偽聖樹は根をめちゃくちゃに振り回し、苦しがっていたが、しばらくすると動かなくなった。
「終わったか」
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • ピンチになっても彼なら何とかしてくれる!基本底抜けに明るい世界観。
    ドキドキよりもワクワク多めなライトノベルの王道を突き進む物語で良質なアメリカンムービーを見てるようです。
    ─── @masakimi
  • とにかく文章が読み易い!
    そしてサクサク進む。
    主人公は隠れた才能を持っていて、温かい仲間ができていきます。強いアイテムもバンバンドロップ! 可愛いヒロインともロマンスが……。
    全てがノンストレス。
    読者の疲れた心をワクワクの冒険ストーリーが癒してくれるますよ\(//∇//)\
    ─── @天太
スキルが見えた二度目の人生が超余裕、初恋の人と楽しく過ごしています

鍛えに鍛えて今度こそ青春を謳歌する!

スキルが見えた二度目の人生が超余裕、初恋の人と楽しく過ごしています

著者:破滅 イラスト:TYONE

発売日:6月1日(水)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

超絶ブラック労働の末倒れ絶命した佐島靖は気づくとステータスが見えるようになって幼少期にタイムリープしていた。新たに手にした能力と再び出会った初恋の人と共に今度こそ幸せをつかみ二度目の人生を謳歌する!

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「うぐっ……」
 唐突に訪れた金属バットで殴られたような痛みに、十二時間ほど座ってデスクワークを熟していた俺は、椅子から転げ落ちるように倒れる。
 直感的に解る。これは間違いなく死に直結する痛み。
 「(救急車を……)」
 呼ばないと! ――助からないと解っているのに。
 しかし、そんな俺の思いも虚しく、身体が思い通りに動かない。携帯電話を取り出せないし、俺以外の人はみんな帰ってしまったから、会社には俺のために助けを呼んでくれる人もいなかった。
 そんな折に、ふと俺の耳に、男のものとも女のものとも――何なら音であるとも確証の持てない声が響いた。
――やり直したいか? 佐島靖よ、貴様は人生をやり直したいと希うか?
「(あぁ、やり直したい!)」
――そうか。やり直したいか。では、佐島靖よ。貴様は何故やり直したいと希うのか。
 男とも女とも知れない、何なら音とすら言いきれない声で問いかけられた、姿も見えない何かしらの存在からの質問。
 なぜやり直したいか? つまり、生への動機を聞かれた俺は、珍しく考えてしまったのだ。
 理由はあげればいくらでも思いつく。だが、それでもどれもしっくりとこない。
 俺は確かに後悔している。感情は確かに無念を感じているし、やり残したことがたくさんあるのだと叫んでいる。じゃあ、具体的に、何が? と問われると、やはり答えられない。
 俺は思った。俺に声をかけてきた存在は、間違いなく悪魔であると。
 だってそうだ。自分自身が後悔していることすら気づかずに、過労のままにひっそりと死んでいく予定だった人間の前に現れては、僅かな希望をちらつかせ、「なんで君は後悔してるの? 生きる理由なんてないのに? 後悔できるほど何もしてこなかったのに?」と、意地悪く残酷な現実を突きつけてくるのだ。
 この所業を悪魔と言わずになんという? 人間か? 正体は趣味の悪い人間なのか?
――断じて言うが、我は決して悪魔などという存在でも、ましては悪趣味な人などでもない。 それに我は貴様の人生の虚無や後悔を思い知らせ、絶望させる意図もない!
「(……じゃあなんだ? 俺を絶望させにきた悪魔じゃないってんなら、なんだっていうんだ?)」
――我がどんな存在か。答えるのはいささか難しい質問である。だが、我が貴様に語り掛けた目的なら話せる。それは先ほども言うたが、佐島靖よ。我は貴様に人生をやり直すチャンスを与えようと思っている。
「(……やり直しても、何をやりたいか明確じゃないのに?)」
――ああ、別にそんなの構わぬ。我は人がどのような信念を持ち、何のために生きてるかなど一切の興味を持たぬ。聞いたのは単に、佐島靖という人間の性質を知る必要があったからである。
「(……それは、やり直させる人間の適正的な意味でか?)」
――うむ。その通りである。性格次第ではやり直しの機会を与えられぬからな。だが、特に目的がないのならそれはそれで適性があると言えよう。
 適正……それを図るってことは――
「(やり直させて、俺にやってほしいことでもあるのか?)」
――うむ、その通りである。
「(それで、具体的には何をしてほしいんだ?)」
――済まぬが、制約の都合上詳しいことは教えられぬ。だが『来るべき日』が来た時の為に備えてほしい。
「(『来るべき日』ってなんだ? 何が起こる?)」
――済まぬ。それも言えぬ。
「(……じゃあ、どうしてそれを俺に頼むんだ?)」
――それは、貴様がどの人間よりも努力家だからである。とは言え、闇雲に努力をしてもただの人間が『来るべき日』の戦力になるとは思っておらぬ。故に、貴様の努力をよりよくする手助けをしよう。
 俺が努力家だから。
 その一言は『来るべき日』や『努力の手助け』という疑念の残る言葉を忘れて俺を納得させるのに、十分な理由だった。
「(わかった。俺、やり直してみるよ。今度こそ)」
――うむ。我は、佐島靖の生き方に期待している。
 姿の見えないその存在のエールとともに、
 バッドエンドのその先の、俺の二度目の人生は幕を開けた。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • これが読みたかった
    異世界転生せずに、無双する系は読んでいて新鮮で気持ちいい。そして、何より面白い!
    ─── @rimurutenpesuto1030
  • タイトルの通り引くほど無双してくれます
    数値の桁が面白いように増えていく
    ニヤニヤしてました
    ─── とと
鴉と令嬢 ー異能学院最強の問題児バディー

“最強”の異能と“最高”の相棒とともに――裏社会の闇を打破れ!

鴉と令嬢 ー異能学院最強の問題児バディー

著者:海月 くらげ イラスト:火ノ

発売日:4月20日(水)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

 夜闇に紛れ異能犯罪者を狩る精鋭集団――【異特】。
 妹と平穏を愛する佐藤京介は、高校生ながら異特に属し、凶悪犯すらも恐れる最強異能者『暁鴉』として日夜暗躍していた。
 そんな京介に与えられた新たな指令。それは、異能に欠陥を抱える同僚・有栖川アリサと、その克服のためにバディを組むことで!?
 しかし、彼女の問題は異能だけではなく……。

「私のような美少女と組めること、泣いて喜ぶべきです」
「……普通、自分で“美少女”とか言うか?」

 性格に少々難有りなアリサに振り回される京介。だが、二人の相性は意外と悪くなく……!? 
 問題ばかりの凸凹高校生バディ――だが、二人ならば無敵!

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  「アリサさんって、お兄ちゃんのことをどう思っているんですか?」
 疑問と、多少の興味からの質問。兄の京介とアリサの関係性は、美桜としても気になるところではあった。京介から話は聞くものの、アリサ側の認識も知りたかったのだ。
「……本当に言わなければダメ、ですか」
 アリサはぽつりとそう返す。普段の気の強さなど欠片もない、年相応な一人の少女としての言葉。自分でその声に驚きながらも、そうなった理由に辿り着いてしまい顔が熱くなるのを感じた。
「……なんですかね、この罪悪感」
「アリサさんもこんな顔するんだ……」
 瑞葉はバツが悪そうに頰を指先で掻いて、美桜もアリサの意外な一面に見蕩れていた。
 瑞葉はともかく、美桜から見てアリサは完璧で、数歳上とは考えられないほど大人びた存在。そんなアリサでもこんな表情を浮かべることを知って、急に親近感がわいていた。
 そもそも、アリサが表情を大きく動かすのは珍しい。普段は凜とした、ともすれば冷たい雰囲気を漂わせているのに、今のアリサは頰をほんのりと赤く染めている。
 いじらしさすら滲ませるアリサの表情は、瑞葉も揶揄うことを躊躇してしまうものだった。
「……いえ、負けた私に選択肢はありませんね。私が彼を――佐藤京介をどう思っているか、ですか」
 顎に手を当てながらアリサは思考し、自分の中にある感情を正確に推量する。その末に、アリサは言葉を選んで続けた。
「佐藤京介は美桜ちゃんの兄で、学校の同学年で、仕事の同僚で……きっと、友人のようなものでしょうね」
 仕事のパートナーとは言わない。京介とは対等ではないと、表に出さないだけで気後れのようなものがあった。レベルⅨと『異極者』……たった一の差が、果てしなく遠い。
 けれど、友人ではありたい。対等でありたいと願っている。そうあろうとしてくれる京介に応えたい。そんな思いも、噓じゃない。
 それに――胸の内に秘めておくべき想いも、多少なり自覚していた。恋と呼ぶには淡いながらも、小さな灯として宿っている。
 だからこそ、友人のようなもの。曖昧な境界線の向こう側から、アリサは京介を見ていた。
「友人のようなものって……素直に友達だって言えばいいじゃないですか」
「誰もが貴女のようにお気楽な思考をしていないんですよ」
「それにしてもアリサさんは考え過ぎだと思うけどなあ。お兄ちゃん、そんな細かいこと気にするように見えます?」
「……私が勝手に気にしているだけです」
 目を逸らしながらアリサが答えると、美桜と瑞葉は顔を見合わせて笑った。対外的な評価ほど、素のアリサは器用でも万能でもない。
 特に誰かのこととなれば、明確な答えなんて出せるはずがなかった。
「ですが、ええ。私は彼のことは人として信用も、信頼もしていますよ。だからこそ、私は隣にいられるようになりたい……そう思います。今はまだ、与えられる方が多いですけど」
スクール下克上 超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました

チート能力に目覚めて人生逆転!? 異能サクセスアクション開幕!

スクール下克上 超能力に目覚めたボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました

著者:鏡銀鉢 イラスト:PAN:D

発売日:3月1日(火)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

 2040年、財政破綻で国家消滅の危機に瀕した日本が掲げた再建プロジェクト。それは超能力者の力を活用して、国内に眠っている資源を手に入れるというものだった。
 無能力の渡会錬徒には関係ない話のはずだったが、超能力者への説明会に何故か招集されて……!?
「もしかして君、自分が超能力者なの知らないんじゃない?」
 15年間全く気付きもしなかった、あらゆる物体を自由に動かせるチート級の能力『テレポーテーション』が突如発覚!
 冴えない無能力者だった日々はこの日から一転、それどころか国家再建にすら大貢献!?
 超能力サクセスアクション開幕!

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「私は総務省異能部部長、龍崎早百合24歳だ。今日は、さる国家プロジェクトの為ため、能力者の招集に来た!」
 クラス中の視線が、坂東に集まった。
 坂東は、口角を上げて、待ちわびていたかのように笑った。
 まるで、売れっ子役者が、ハリウッド映画の主演オファーを受けたかのような態度だ。
 けど、龍崎さんは坂東を一瞥もせず、クラス全体へ語り掛けるように、話を続けた。
「既に異能部では何人もの能力者に協力を要請し、念写、探知、サイコメトリー能力者の力を借りて、日本中の能力者を特定し、招集している」
 龍崎さんが廊下へ目配せをすると、坂東以外では一年生唯一の能力者、朝倉美稲が、綺麗な黒髪を揺らしながら、やわらかい足取りで入ってきた。
 やや小柄で、栗毛のショートカットをワンサイドアップにした、可愛らしい女の子だ。
 その後ろには、見慣れない美少女が歩いている。
 朝倉と同じ優しそうなタレ目だけど、朝倉のような大人びた感じはない。初々しくて、年下の印象を受けた。
――うちの高校の制服じゃないよな? 小柄だし、まだ中学生か? どっちにしろ、なんで他校の生徒がいるんだ?
 二人の美少女と美女の登場に、クラスの男子たちは色めき立ち、全員、謎のキメ顔を作っている。なんてあさましい光景だろう。まぁ、気持ちはわかるけどな。
「彼女は我妻舞恋。昨年度より協力してもらっている、サイコメトリー能力者だ」
 つまり、彼女もスカウトマンの一人、ということらしい。
 【サイコメトリー】は、確か触れた対象の情報や過去を読み取る能力だったな。
「彼女は優秀な能力者でね。触れなくても、視界に入れるだけで、相手が能力者かどうか判別できる。我妻舞恋、事前の念写調査によると、このクラスに能力者がいるらしいんだが、誰かわかるか?」
「そんな必要はないですよ」
 やや食い気味に、坂東が悠々と立ち上がった。
 気取った笑みで前髪をかきあげ、思い切りカッコをつけてから、坂東は芝居がかった口調で言った。
「オレがこの学園最強の能力者、坂東亮悟です。もっとも、みんなは氷帝って呼びますけどね」
 ――誰も呼んでいない。いつもお前が自称しているだけだ。
 俺は心の中でささやかにツッコんだ。
「まっ、オレは学生の身分ですけど、国のためなら力を貸しますよ。朝倉、これからはこの学校を代表して、一緒に頑張ろうぜ」
 ナンパ師のようにわざとらしい笑みで、坂東は早くも朝倉に媚びを売り始めた。
 その光景に、俺は嫌な気分になった。
 別に、朝倉のことが好きで嫉妬した、というわけではない。
 流行りに流されない例に漏れず、俺は他の男子たちとは違い、朝倉に恋愛感情は抱いていない。
 魅力的な女子だとは思う。
 他の、頭の軽そうな女子とは違い、朝倉は大人びていて、知的で品がある。
 でも、それだけだ。
 俺は朝倉のことを詳しくは知らない。話したこともない。
 俺の持つ朝倉への好感は、アイドルの女の子を見て『ふーん、綺麗な子だな』というのと変わらない。
 男女の仲になってお付き合いをしてデートをしたいとか、そういう感情は無い。
 俺が嫌だと思ったのは、坂東にとって都合よく世界が回る現状にだ。
 世の中が不平等なのは知っている。
 今更そんなことに文句を言うほど子供じゃない。
 でも、悪人に幸運が転がり込むと、やっぱり嫌な気持ちになってしまう。
「あ、龍崎さん、あの人はアイスキネシスの持ち主なんですけど……」
 我妻と呼ばれた、栗毛をワンサイドアップにした女子が、ためらいがちにこちらへ歩いてきた。
 俺の背後の席に立つ坂東が、何かを期待する顔で待ち構えた。
そして、我妻は俺の横を通り過ぎ……ずに踵を返した。
「ん?」
 俺を見下ろす彼女と目が合った。
 近くで見ると、ますます可愛らしい。
 人畜無害そうというか、思わず守ってあげたくなってしまうような、そんなタイプの女の子だ。
 初対面なのに、家庭的とか、子供に好かれそうとか、色々と想像が膨らんでしまう。
「この人も、能力者です。テレポーターです」
「へ?」
 それは俺と、そして教室中の口から出た疑問符だろう。
 虫の足音でさえも聞こえそうな静寂を、坂東が破った。
「おいおいお前何言っているんだよ。こいつは能力者なんかじゃない。ただの凡人、むしろ低能だぜ?」
「ううん、能力者だよ。えっと、渡会錬徒くん? もしかして、自分が能力者なの知らないんじゃない?」
 あっさり坂東を否定して、我妻は俺と向き合いそう言った。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • 異能者のおかげで助かったのに、危険視して追い出そうとする輩。 でも早百合次官やハニー、その仲間たちによって こっぴどく成敗されるのがとってもすがすがしいです!
    せまりくる危険を異能でなく討論で倒していく! その回がくるたびに更新が楽しみになります。
    ─── 月出 四季
  • エロありギャグあり戦闘ありでシリアスもあってバランスが良い。 ギャグパートだとテンション高くなってくどくなりがちだけど、この作品はバランスが良くて読みやすい。ヒロインも個性的で魅力的ですばらしい作品。経済の話や能力の使い方や発想は脱帽物。
    ─── れん
学校に内緒でダンジョンマスターになりました。

実家の裏山に潜ったら、ダンジョンと子猫がついてきました。

学校に内緒でダンジョンマスターになりました。

著者:琳太 イラスト:くろでこ

発売日:1月28日(金)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

ダンジョン探索者を目指し養成学校に通う17歳の少年・鹿納大和。彼はある事件をきっかけに同級生にいじめられ、落ちこぼれとなってしまう。探索者になる夢を諦めかけていた大和だったが、なんとある日実家の裏山でダンジョンを発見する。秘密裏に実力をつけるべく来る日も来る日も一人でダンジョンに潜っていた大和は、ついに単独攻略という偉業を成し遂げる! さらには特典として裏山ダンジョンの「ダンジョンマスター」になってしまって――!? 学年最弱探索者が挑む大逆転ダンジョンアタックファンタジー、開幕!

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 俺は目の前にあるダンジョンコアにそっと手を触れた。すると頭の中にアナウンスが響いた。
『モフィ=リータイ・ダンジョンが単独制覇されました』
 どこから発せられているのかよくわからない。いや耳から聞こえているわけではないので、発せられているというのも違う? 
 このアナウンスはダンジョン内にいる人間全員に聞こえる。ダンジョンのどこにいても聞こえるらしい。
 ただ、ここから先の内容はダンジョンコアに触れている者限定なのだとか。
『制覇者は次の選択肢から選んでください』
 そしてアナウンスは続く。
『一つ、存続を選択。ダンジョンは現階層数で固定、以降成長することはありません』
 これは学校のある大三校ダンジョンや、JDDSの各種施設が作られているダンジョンがそうだ。存続ダンジョンはそれ以上成長しないし、モンスターの出現傾向の変化がなくなり、ドロップ率が低下する。だが、間引きを行わなくてもスタンピードを起こさない。
『一つ、消失を選択。開放中のダンジョンゲートが消失します』
消失を選べばダンジョンはなくなる。
『一つ――』
 あれ、三つ目? 選択肢が存続と消失以外にもあるのか? そんなの習ってないぞ。
『――運営を選択。ダンジョンマスターとなり、このダンジョンの主としてダンジョンを運営します』
「はあ? 運営? ダンジョンマスター? なんだそれ!」
 三つ目の選択肢なんて聞いたことがない上、ダンジョンマスターってなに? 思わず大きな声で突っ込んでしまった俺は悪くないと思うんだ。
『選択を確認しました。私はモフィ=リータイのダンジョンコア。マスター、以後よろしく』
「……え、あ、俺選んじゃったの? エエェぇ? どうしよう……」
 俺、ここのダンジョンマスターになっちゃったかも。
『かもではありません。あなたは正真正銘、モフィ=リータイ・ダンジョンのマスターです』
 あ、やっぱり俺、ダンジョンマスターになってました。
わたしの処女をもらってもらったその後。

思いがけないワンナイトからはじまる、“初めて”のハッピーラブコメディ!

わたしの処女をもらってもらったその後。

著者:高岡未来

発売日:1月25日(火)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

 真野美咲、年齢イコール彼氏いない歴更新中のもうすぐ29歳。処女を拗らせた結果、全く覚えがないまま酔った勢いで会社一のイケメン忽那さんと一夜を共にしてしまう!?
「このまま付き合おう」と言われたものの、何もかもが初めてだらけで戸惑いを隠せない。真剣に迫ってくる忽那さんにだんだんほだされてきたけれど、“初めて”はやっぱり一筋縄ではいかなくて!?
 第6回カクヨムWeb小説コンテスト恋愛部門《特別賞》受賞の笑って泣けるハッピーラブコメディ!

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「ほんとう? いいの、俺で?」
「うん」
 夢の中で、わたしは何度も頷いていた。
 自分に都合のいいシチュエーションも、夢ならば納得だ。今日はお酒をたくさん飲んだからいつもよりいい感じに見たい夢を見ることができているのかもしれない。
 明け方、うっすら覚醒したわたしは少しだけ肌寒さを感じた。
 冷房の設定温度が低すぎたのかもしれない。何か掛けるものが欲しいと思っていると、すぐ隣に温かいものを感じて、それにきゅっとしがみついた。
 そうすると何かがわたしの髪の毛を優しく梳いた。
 まだ夢を見ているのかもしれない。ええと、さっき見ていた夢は……そうそう、忽那さんが出てきたんだった。じゃあ今わたしの髪の毛に触れているのも忽那さん?
 今日の夢は大胆だ。でも、まあいいか。夢だし。
 髪の毛を梳く感触が気持ちよくて、眠りが深くなっていく。
「ふふっ……」
 最後に笑ったのは夢の中でなのか、はたまた現実でなのか。
 とにもかくにも幸せな気持ちで温かいものにすり寄った。
 そして次に完全に覚醒したわたしは「ううーん」とくぐもった声を出して、掛け布団の中から這い出した。
 なんだろう、体がスースーする。
 その理由は即座に判明した。しかし、頭が現実についていけなくて、二度見した。さらにもう一度。
「えっ……ちょっ……えっ……?」
 何度見てもわたしは素っ裸だ。上も下も、何も身につけていない。
「え、え、えぇぇ? ちょっと待って。なんで? なんでわたし裸で寝ていたの!?」
 もう何が何やらさっぱり分からない。頭の中が盛大にパニックになった。
 もちろん眠気など瞬時に吹き飛んだ。そして冷や汗が出てきた。
 今起きたベッドも真正面に見えるユニットシェルフも、まったく見覚えがない。しかもそこにはスーツやジャケットやらがハンガーにかかっている。まごうことなき男物だ。
 一体ここはどこ? どうしてわたしは素っ裸で見知らぬ部屋のベッドで眠っているの?
 これではまるで……まるで……。
 わたしの頭の中で、さまざまな知識がざぁっと流れていく。そう、このシチュエーションはまさに、アレではないか。恋愛ドラマや漫画のお約束……。
 なんとなく、下半身に違和感がある。普段下着で隠している部分が、ずきりとする。
 経験はなくても、情報はすぐに入るのが現代社会だ。
 脳内にたくさんの情報が溢れていき、線と線になって繫がっていく。その先に出た答えは。
 ……要するに、わたし、やっちゃった……?
 初めてのあとは異物を体内に受け入れたせいで違和感が残ると聞いたのか読んだことがあるのか、知識として知っていた。
 では一体誰と?
 わたしは必死になって昨日の記憶を思い出そうとした。
 幸いにも二日酔いはないようで、気分が悪いとか頭が痛いことはないのだけれど、別の意味で頭痛がしてきた。
 だって……。
「一次会の途中から……記憶がない」
 これは大問題だ。わたしは文字通り頭を抱えた。
黒狼王と白銀の贄姫 辺境の地で最愛を得る

激動の運命に翻弄されるシンデレラロマンス!

黒狼王と白銀の贄姫 辺境の地で最愛を得る

著者:高岡未来 イラスト:vient

発売日:12月22日(水)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

愛妾腹ということで王妃らに虐げられて育ってきたゼルスの王女エデルは、戦に負けた代償として義姉の身代わりで戦勝国へ嫁ぐことに。相手は「黒狼王(こくろうおう)」と徒名されるオルティウス。野獣のような体で闘うことしか能がないと噂の蛮族の長だ。しかし結婚の儀の日にエデルが対面したのは、瞳に理知的な光を宿す黒髪長身の美しい青年で――。
やがて、二人の邂逅は、王国の存続を揺るがす事態に発展するのだった……。
激動のシンデレラロマンス!
【書籍版では、番外編「移ろう風の音を子守歌とともに」を収録】
≪登場人物紹介≫
エデル:西の国の王女。幼い頃、母親と生き別れる。甘いお菓子に弱い。
オルティウス:東の国オストロムの青年王。「黒狼王」と恐れられている。

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「あ、あの……。毎日陛下の寝台にお邪魔をしていては……その……」
エデルはこの数日間疑問に思っていた言葉を唇に乗せた。
「おまえは、俺と一緒にいるのは嫌か?」
「い、いえ……」
いつもより低い声が返ってきてエデルは身を震わせた。なにか、怒らせてしまったのだろうか。 エデルは頭を少し動かして、隣に横たわるオルティウスの顔色を窺った。明かりを落とした室内は暗く、彼の表情を読み取ることはできない。
緊張するけれど、エデルはオルティウスの温もりが嫌いではなかった。じっと観察するようにこちらを見つめてはくるその視線の中には悪意の欠片もない。
静かな青い瞳に捕らわれると吸い込まれそうになって、エデルは先ほど感じた胸の騒がしさを思い出し、一人鼓動を速くした。
「ならここにいろ」
「はい」
囁くような声が耳に届いて、エデルは素直に頷いた。
誰かが隣にいることを不思議に思う。ゼルスではいつも一人ぼっちだった。傅く女官も侍女も、皆イースウィアの顔色を窺ってばかりだった。
「眠れないのか?」
一向に眠る気配のないエデルを見かねたのか、そんなことを問われた。
「……分かりません」
「そういうものなのか」
そっと呟くとオルティウスは体勢を変えて、やおらエデルに腕を伸ばし、銀糸の髪に触れた。散らばった絹糸のように細い髪の毛を彼が梳いていく。
最初こそ、鼓動が速くなったが何度も同じ行為を繰り返されると、やがてそれもするすると解けていった。
オルティウスの手つきは優しくて、何の色も乗せていない。
もしかしたら、彼も眠れないのかもしれない。
「父上が昔言っていた。こうすると俺の妹はすぐに眠るそうだ」
どこか懐かしむような声音だった。今ここにいるのはオストロムの王ではないのかもしれない。父を思い出すその声はどこにでもいる普通の青年と同じようにも思えた。そのように考えることは不敬だろうか。けれども同時に、素の彼を知れたことに、胸の奥がざわめいた。
優しくエデルの髪の毛を撫でる手つき。それがエデルの古い記憶を呼び起こす。
瞼を閉じて、隣に横たわる夫の体温を感じる。すぐ近くで人の温かさを感じることがどこか懐かしい。昔もこうして大好きな人の腕の中で眠っていた。
「お……かあ……さま……」
寂しがるエデルを抱きかかえて眠ってくれたのは母だった。エデルが眠るまで優しく頭を撫でてくれた大きな手。耳元でエデルと囁いてくれた声。
幸せだったあの頃の記憶が、どうして今になって浮かぶのだろう。エデルは大きな温もりに包まれながら夢の中へ旅立った。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • 丁寧に作り込まれた世界の展開が、読みすすめるうちに脳内に広がり、主人公を取り巻く人々の関係・感情・愛情を感じるとても素敵なお話しでした。
    ─── @URI-ko-HIME
  • 主人公の虐げられた環境。そこから姉姫の身代わりとして隣国に嫁ぐ。
    けれどもそこには、虐げの黒幕王妃の片腕侍女が付いてきた。
    さぁ、ここからどう挽回していくのか??
    黒狼王と身代り花嫁の恋模様は如何に動いていくのか、必見です!!
    ─── モカコ ナイト
寛皇国ひきこもり瑞兆妃伝 日々後宮を抜け出し、有能官吏やってます。

引きこもりの妃と有能官吏、二つの顔を使い分ける男装官吏の出世物語!

璃寛皇国ひきこもり瑞兆妃伝
日々後宮を抜け出し、有能官吏やってます。

著者:しののめすぴこ イラスト:toi8

発売日:12月10日(金)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

黒色が平和をもたらす『瑞兆(ずいちょう)』の証とされる中華風の異世界に迷い込み、璃寛皇国(りかんこうこく)の皇帝に拾われ後宮の妃になってしまった紗耶(さや)。
しかし退屈すぎる生活に限界を迎え、こっそり抜け出し男装して官吏として働き始め……気付けば大出世!
「黒髪ってバレても女ってバレても大問題だよね……」
滅多に姿を見せない『ひきこもり妃』とたった五年で尚書省次席まで登りつめた有能官吏。日々2つの顔を使い分け、次々やってくる国の危難を解決します!

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『瑞兆』とは、この璃寛皇国(りかんこうこく)において、富と平和の象徴だ。永くの安寧を支え、その存在は絶対不可侵のものだとする、よく分からない信仰がある。
数十年から数百年の間に1人、皇族からしか生まれない貴重な色彩の持ち主で、『日輪の君』と呼ばれ神にも等しい存在なのだとか。
故に黒は禁色。もちろん染髪、騙りは重罪だ。過去にはそれで極刑になった者までいるというのだから恐ろしい。
気が付いた時にはこの世界に紛れ込んでいた沙耶にとっては、迷惑甚だしい迷信だ。
純日本人として、黒髪黒目を持っているというだけで勘違いされるなんて……面倒な事態に巻き込まれるに決まっている。避けて通るべきフラグだ。
というわけで、大学デビューの為に都合よく脱色していた金髪を有効活用して今に至る。
そして。
そんなこの国で数百年ぶりの『日輪の君』だと騒がれている、唯一の黒髪黒目を持つ男は、避けられてムスッとした表情で反論を口にした。
「……ただの世間話だろうが。苔臭い方が悪い」
「だからって、突然なんの断りもなく人の髪を嗅ぐだなんて……変態ですか」
「っへ、へん…………!?」
「――あはははははっ」
愕然と言葉を詰まらせる男に被せるように、朗らかな笑い声が割り込んだ。
中央の一番大きな机に座る、戸部尚書・佐伯踏青(さえき・とうせい)だ。
「いやぁー、女官方は元より、官吏にも絶大な人気を誇る貴方といえど、『氷華』と名高いうちの戸部侍郎にかかれば、ただの悪戯小僧ですねぇ」
そう言って丸メガネを押し上げた戸部尚書は、穏やかながら切れ者で、戸部をまとめあげて推進させる、この執務室の中心人物だ。その超人的な仕事っぷりには、沙耶のみならず戸部の全員が憧れと尊敬の念を抱いている。
そんな戸部尚書の言葉に、男は更にムッとしたように唇を尖らせた。
「踏青……笑い事じゃ無い。お前の部下のくせに、何でこんなに態度がでかいんだ」
「すみませんが、戸部尚書を呼び捨てにしないでください」
「〜〜お前っ、俺と踏青じゃ、態度に差がありすぎないか!?」
「……尊敬度の差、ですかね……」
「あははははっ」
澄ました顔で答える沙耶に、爆笑の戸部尚書。
この男が戸部に遊びに来た時には、恒例にもなっている茶番だ。
室内の官吏たちは、また始まったとばかりに無言で聞き流し、己の作業に没頭している。
……唯一、この春から戸部に採用されたばかりの新人が1人、真っ青な顔で固まっているが、半年もすれば気にも留めなくなるだろう。
「くそっ、お前なんて忙殺されてろ」
「貴方は暇そうで何よりです」
「暇だと? 俺だって山のように積み上がった面倒な懸案をだなー……」
「私たちに手伝わそうとしてるんですよね」
「……ぐっ…………」
容赦無く切り捨てられた男は、眉間にしわを寄せながらも、このくだらない応酬を楽しんでいるようだった。本気で怒っていないことが分かる程度には、長く親しい付き合いをしている自負がある。 溜まったストレスや鬱憤を、気を使わない相手で発散しているのだから、お互い様なのだ。
「あはははっ! ひー面白い……冷静沈着で辣腕家の貴方の、そんな姿が見れるのは戸部だけですねぇ」
笑いすぎて滲んだ涙を拭う戸部尚書。
その穏やかな視線が沙耶に向いた。
「ふふふ……いやいや、しかし沙耶くん。面白いけれど、一応、そのぐらいに。書面の仕事以上に多忙であらせられるんだからね……――我らが皇帝陛下は」
そう。
この人こそが、この国の統治者・皇帝陛下なのだ。
皇族から生まれた『瑞兆』として、国民の期待を一身に受ける、璃寛皇国の皇帝・玄暁雅(げん・ぎょうが)。
つまりは、後宮の主人……私の形式上の旦那様、ということになる。
ま、とはいえ、そう認知しているのは私だけだろう。
この男は、京終沙耶という人間が後宮にいることなんて、全く覚えてもいないに違いない。
何故なら今までの5年間、後宮の妃として召されたことも、出会ったことも、同じ空間に居たことすら無いのだから。
「……で、陛下。今日は何の面倒事をご相談ですか?」
不満げな顔の男が口を開くのを待ちつつ、確かに言われた通り若干臭う、湿った金髪に手を伸ばした。
派手に水を被ったのは、今朝の話だ――。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • とってもいい!!
    主人公のさっぱり具合と仕事の出来る姿がとてもカッコいいです。
    ─── @mokoeru
  • 男装官吏が奔走してます。面白いです!
    主人公の行動力が高く、官吏として働く姿が好きです。女性読者に好かれる主人公だと感じました。陛下を始めとすると男性陣も良き。
    ─── 活動停止
うしろの席のぎゃるに好かれてしまった。 もう俺はダメかもしれない。

何の接点も無い彼女に好かれた…だけで、俺の学園生活が激変!?

うしろの席のぎゃるに好かれてしまった。 もう俺はダメかもしれない。

著者:陸奥 こはる イラスト:緋月 ひぐれ

発売日:6月17日(金)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

 うしろの席の同級生で、学校有数の美少女ギャル・結崎志乃。

勉強ばかりで、友達が一人もいない日々を過ごす俺が、彼女を助けたのは、ほんの気まぐれにすぎなかった。

そのはずが――

「放課後が待ち遠しかった! ……ね、ちゅーして?」
 その出来事をきっかけに、俺は志乃と付き合うことになった。
学校が終われば一緒に過ごして、お互いの趣味に付き合って、頻繁にお泊まりして……
彼女は優しく、いつも俺にべったり。

 さらにクラスメイトに注目されるようになって、俺の見た目を改造してくれたり、俺の周りも騒がしく。
一人の時より、落ち着かないんだが……ま、こんな学校生活も悪くはないか。

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   三代が玄関で正座して待っているとドアホンが鳴った。志乃だった。そわそわしながら三代はエントランスへ向かった。
「やっほー」
「待ってたぞ」
「あたしも待ち遠しかったー! えいっ!」
 三代は飛びついてきた志乃をぎゅっと抱きしめると、お姫さま抱っこで自宅へと入る。
「……ちゅーして」
 玄関口で志乃からそう言われて、三代は照れながらもゆっくりと唇を重ねた。まだまだぎこちないが、それでも好意を伝える為に気持ちを込めた。
 志乃の唇は爽やかな柑橘系の味がした。いつもとは少し違う味ではあったが、志乃は時たまにリップを変えるのでそのせいだ。
「味変わってるの気づいた?」
「んー……みかん?」
「そそ。この前が苺でその前がバニラだったんだけど、どれがいい? 三代はどういうのが好きなのかなーって試してるんだよね」
「志乃が好きなのでいいよ」
「彼氏が好きな味を好きになりたいの!」
「俺も志乃が好きな味を好きになりたいんだが……これを言い出すといつまで経っても平行線になりそうだな。……それじゃあリップは俺に合わせて貰うか。苺」
 苺はキスをしているという実感をくれるような味わいと匂いで、それがなんだか三代は好きだった。
「おっけーい」
 志乃は笑顔でそう言って、ごそごそとポーチの中身を漁り出した。もう塗りなおす気のようだ。
自炊男子と女子高生

ふたりで作れば、ふたりで食べれば。きっともっと、あったかい。

自炊男子と女子高生

著者:茜 ジュン イラスト:あるみっく

発売日:4月20日(水)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

 両親からの仕送りで一人暮らし中の大学生・夜森夕(やもり ゆう)は、 食費節約のため面倒くさがりつつも自炊を勉強中。
 料理が趣味とか特技とか、そういったわけでもないのだけど、
ある日お隣に住む女子高生・旭日真昼(あさひ まひる)に、成り行きで
手料理を振る舞ってあげたところ、「お兄さん」と呼ばれ妙に懐かれることに。
 しかも 「私、あんなに“あったかいごはん”を食べたの、久し振りでした」と語る少女は、
普段スーパーの惣菜やコンビニ飯ばかりの何やら訳アリ食生活らしく……?

 時々、ただ一緒にごはんを作って、一緒に食べるだけ。
ほんの少しの日常の変化がゆっくり二人を変えていく
――このラブコメは、等身大の優しい味。

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「(しかし、どうしたもんかな……)」
 俺は眉間を揉みながら己の伝達能力の低さに辟易する。包丁に限らず、道具の扱い方を口頭で説明するのって難しいんだよな。口で教えるものじゃないというか、感覚的に覚えていくものというか……ぶっちゃけ、実際にやってみて慣れるのが一番てっとり早い。
「あー……あのさ、ちょっと触っても大丈夫かな?」
「え? い、いいですけど、どこをですか?」
「すみません、手のつもりで言いました」
 ちょっぴり頰を赤らめてモジモジしながら言った女子高生に、遅蒔きながら言葉足らずだったと猛省する。女の子と二人きりの時に今の発言は良くなかった。冗談抜きでセクハラになりかねない。
「ご、ごめんね。口で教えるより、実際に包丁を動かしながらの方が分かりやすいかなと思って」
「ああ、そういうことですか! えへへ、ちょっとびっくりしちゃいました。お兄さんにならどこを触られても大丈夫ですよ! ばっちこいです!」
「あ、ありがとう」
 男前な少女に苦笑しつつ返す俺。お兄さん的には、男相手にそういうこと言わない方がいいと思うなあ……。無邪気で天真爛漫なのはこの子の美点だが、同時に無防備すぎて心配になる。
「そ、それじゃあ失礼して……」」
 とりあえずの許可は得られたので、俺は包丁を握る旭日さんの両手を自分の両手で遠慮がちに包み込んだ。必然的に触れ合う二人の身体。
「い、いいか? 左手でこうやって食材を押さえるだろ? そのまま、右手だけを小さく上下に動かすイメージで―――」
丁寧に説明する俺の身体に、少女の体温が染み込むようにじんわりと伝わってくる。ふわりと鼻腔をくすぐるお日様のいい匂いは彼女の制服か、それとも髪の香りだろうか。
 俺はこれまでの人生において、異性との物理的距離がここまで近づいたことは一度もない。幼少の頃を除けば、母や妹とさえこれほど密着することはなかっただろう。女の子って、みんなこんないい匂いがするものなのか……?
「……」
「……? ど、どうかした?」
 内心ド緊張しながらもどうにか解説を続けていた俺は、腕の中の女子高生がまな板ではなく、こちらをじっと見つめていることに気付いた。もしや不快感を抱かせてしまっただろうかと焦燥感に駆られていると、少女はふにゃりと嬉しそうにはにかむ。
「えへへ……お兄さんの手、大きくてあったかいですね」
「そ、そうか?」
「はい。あったかくて、優しい感じがします」
 そう言うと少女は、ほんの少しだけ頭を俺の胸側へ倒してきた。ちょうど、仔犬が親に甘えるような仕草だ。それだけのことに俺の動揺は倍加し、心拍数が跳ね上がる。あ、旭日さんに聞こえていないだろうな……?
サークルで一番可愛い大学の後輩 1.消極先輩と、積極的な新入生

春、目立たない僕をなぜか慕ってくれる清楚美少女が、大学の後輩になった。

サークルで一番可愛い大学の後輩 1.消極先輩と、積極的な新入生

著者:水棲虫 イラスト:maruma(まるま)

発売日:4月20日(水)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

春の大学構内。
『文化祭実行委員』の新入生歓迎会に居たのは、
その場全員が注目する可愛さの清楚美人・君岡美園だった。
まぁ、同じサークルの先輩とはいえ、
目立たない僕は関係ないだろう。

「先輩。お隣、失礼しますね」
「また、お話できますか?」
「帰り道、ご一緒してもよろしいですか?」

なのに、美園は素っ気ない僕の懐に入ってきて、慕ってくれた。

その後も新居に招かれたり、
美味しい手料理を振る舞われたり、
ついには、合鍵を渡すことになったり。

美園の積極的な態度が、
消極的な僕の心を溶かしていって――。

先輩と後輩の関係が、その先へと変わっていく。
ちょっと大人なサークル内恋愛小説。

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 そろそろ約束の時間になる。それに伴って、冗談だとはわかっていても「お泊まり」という単語を意識してしまい、落ち着かない。換気でもしようと思い窓を開けると、大学とは反対側の交差点から、遠目からでもわかるとびきり可愛い女の子が歩いて来ている。水色の大きなキャリーバッグを転がしながら。
「まさか本気なのか」
 一瞬思考が飛びかけたが、すぐに冷静になって部屋を飛び出した。僕がアパートの階段を下りるのと、美園がそこまで辿り着いたのはほぼ同時だった。
「こんにちは。牧村先輩」
「こんにちは、美園。取りあえずそれ貸して」
 美園はちらりと僕の後ろ、アパートの階段に視線をやって嬉しそうに笑った。
「ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいますね」
「このくらいなら任せてくれ」
「部屋から出て階段を下りた時はまだ良かったんですけど、上りはどうしようかなって思っていたので、助かりました」
「遠慮せずに呼んでくれればいいよ」
「次からはそうしますね」
 そう言ってふふっと笑う美園から受け取った荷物は意外と重かったが、男としての意地もあり、こんなの何ともないですよという雰囲気を出しながら片手で運びきった。結果、左手の握力が大幅に低下した。
「本当に泊まる気なのか?」
「そう言ったじゃないですか。お風呂も済ませてきましたよ」
 それはさっきから僕の嗅覚がしつこいくらいに教えてくれている。微笑む美園に言葉が返せない。どうして? 帰れる距離だろ? なんて言葉は思いついていたのに。多分、言いたくなかったのだと思う。
「荷物置いたらそのまま買い物に行く? それともちょっとゆっくりする?」
「時間もかかりそうなので、出来ればすぐにお買い物に行きたいです。あ、また冷蔵庫をお借りしてもいいですか?」
「ああ、どうぞ」
 会話をしながらドアを開け、美園を中に通して荷物を部屋の中まで運ぶと、彼女は冷蔵庫に何やら白い箱をしまっていた。この間のプリンの事を考えるのなら、美園が用意してくれたデザートだろう。
「楽しみが一つ増えたな」
「あんまり期待し過ぎないでくださいね」
 冷蔵庫の扉をそっと閉めた美園が、少し眉尻を下げてはにかむ。謙遜こそしているが、僕が褒めた意図は伝わっているようで嬉しそうにしてくれている。
「無理な相談だなあ」
「もう」
 困ったように笑いながらもやはり美園は嬉しそうで、「期待してるから」と言った僕に、「ありがとうございます」と優しく目を細めた。
冴えない僕が君の部屋でシている事をクラスメイトは誰も知らない

このカンケイは、まだ僕たちだけの秘密――

冴えない僕が君の部屋でシている事をクラスメイトは誰も知らない

著者:ヤマモトタケシ イラスト:アサヒナヒカゲ

発売日:4月1日(金)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

「いまから家に来ない? ……君とセックスしたいの」クラスの日陰者、遠山佑希には誰にもいっていない秘密がある。
それは同級生、高井柚実と『セフレ』だということ。互いに心までは求めず、都合がいい身体だけの関係と割り切って接していた。
そんなある日、遠山はコンドームを買う瞬間をクラスの人気者、上原麻里花に目撃されてしまう。意外に思った彼女は遠山に興味を持ち、昼休みや放課後に何かと絡んでくるようになる。
戸惑いつつも満更でない様子の遠山に、抱いていた恋心を自覚し始めた柚実はついに、学校でも抑えきれなくなってしまい!?
生々しくも甘酸っぱい青春ラブコメ開幕――。

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 「あ、ゴムがもう無いや」
遠山は空になっているコンドームの箱を眺め、無くなったなら捨てとけよ、と最後に使った自分のことを棚に上げ心の中で悪態をついた。
「別にコンドーム無くても外に出してくれれば私はいいよ」
 遠山にとって、いや……男にとって夢のような提案をしてきたのは、ベッドの上で裸のまま横になり、先ほどまで遠山に責められ肩で息をしているクラスメイトの高井柚実だ。
「そうはいかないだろ。僕たちまだ高校生なんだし子供できたらマズいでしょ? 今日は諦める?」
「私は……続きをして欲しいな」
 すでに盛り上がっている高井にしてみれば、今更止めるなということだろう。
「そう……コンビニかなんかで買ってくる」
 これからという時にコンドームが無いことに気付いた遠山だが、わざわざ買いに行ってまでというのも正直なところ面倒だった。
「私も行こうか?」
「いや、僕ひとりで行くよ。着替えるのも面倒だろ?」
 裸だった遠山は服を着て家を出た。
 といってもこの家は遠山の家ではなく高井の家だ。彼女の家庭は母子家庭で家族には姉がいる。母親が仕事をして生計を立てているようだが、あまり家に帰って来ないらしい。
 そして姉も彼氏の家に半同棲状態らしく、ほとんど家に帰ってこないと言っていた。
 他人の家の家庭事情に興味が無い遠山は、深く知ろうとは思わなかったのでそれ以上のことは知らなかった。
「とは言ったもののコンビニで買うのはなぁ……確か少し離れたところにコンドームの自販機があったような……」
 アテにならない記憶を頼りにコンドームを求め夜の街を彷徨う遠山。
「お、あった!」
 迷うことなくコンドームの自販機を発見できたのは僥倖だった。人通りも少なく人目を気にせず買うことができそうだ。
「あれ? 遠山?」
 無事コンドームを入手し帰ろうとした矢先、遠山は背後から声を掛けられた。
 振り返り声の主を確認すると、見覚えのあるクラスメイトの女子の姿がそこにあった。
 遠山は慌ててコンドームを上着のポケットにしまう。クラスメイトに見られていると説明するのが面倒だからだ。
「上原さん?」
 緩いパーマをかけ明るい髪色に染め、その華やかな見た目と人気でクラスの上位カーストに所属する上原麻里花だった。
 美人と可愛さを兼ね備え、スタイルも良く圧倒的なバストは洋服に大きな膨らみを作りその存在感を示している。
 そして人気はクラスでもナンバーワンの女子だ。
 他のクラスの男子にも人気があるという噂を遠山は聞いている。
「遠山、こんなとこで何やってんの? ていうか、さっきポケットに隠したのってアレだよね?」
 上原は暗闇の中で煌々と光を放つコンドームの自販機を指さす。
 どうやら一部始終を見られていたようで、高井と二人で来なくてよかったと遠山は胸を撫でおろした。
「うん、まあそうかな」
「ふーん……それって遠山が使うの?」
 遠山のようなクラスで地味な陰キャが、そんな物を買っていたのが上原は気になったのだろう。
 しかし上原は揶揄うでもなく、真剣な表情で遠山の顔を覗き込んできた。
「ああ、これは兄貴に頼まれて買ったんだよ。小遣いやるからって」
 遠山は適当な嘘で誤魔化す。本当は兄などいないが、そのことを上原が知る由もない。
「そっか……でもさ、遠山の家ってこの辺じゃないよね?」
 上原が遠山の家がこの辺りでは無いことを、なぜ知っているのかは分からない。しかし彼女が何かを疑っているように遠山は感じた。
「引き受けたのはいいんだけどコンビニじゃ買い難くてさ、自販機を探してたら結構遠くまで来ちゃったんだよ」
 遠山は何となくそれっぽい感じの嘘で誤魔化す。
「ふーん……まあ、いいけど。遠山はそういうの必要なさそうだもんね」
 先ほどまでの真剣な表情だった上原は一転、ぱあっと表情を明るくした。
「そうそう、僕には無用なものだよ。……それじゃあ兄貴が待ってるからそろそろ帰るよ」
 待っているのは兄貴じゃ無いけどね。
 話を長引かせると色々と聞かれボロが出そうだったので、遠山は早々に話を打ち切った。
「うん、じゃあまた明日学校でね」
「ああ、また明日」
陽キャなカノジョは距離感がバグっている 出会って即お持ち帰りしちゃダメなの?

大胆すぎるカノジョに翻弄される、青春スクールカーストラブコメ!

陽キャなカノジョは距離感がバグっている 出会って即お持ち帰りしちゃダメなの?

著者:枩 葉松 イラスト:ハム

発売日:3月19日(土)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

クラスの高嶺の花・佐々川綾乃。そんな彼女を偶然ナンパから助けたら――
「ありがとう、藤村」
って、日陰者な僕の名前をまさかの認知! その上、妙に懐かれるようになり……!?
以来、休日には家に連れ込まれ、子どものように「褒めて?」と迫ってきたり、お泊りしたり。
陰キャぼっち生活を謳歌していたはずなのに、気付けば彼女の存在が日常になっていて……。

「今日も家来るでしょ?」
「ぼっち? じゃあ私がひとり占めできるね!」
「……キミのこと、特別だと思っちゃダメなの?」
遠い世界の人だと思っていた彼女が、今となってはゼロ距離に。
大胆すぎる彼女に翻弄される、青春カーストラブコメ!

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 脱衣所を出てリビングの扉を開けると、綾乃はソファの上で三角座りをしていた。
 十畳余りの空間には、一般的な家電と家具が並ぶ。可愛らしい雑貨がささやかに部屋を彩り、嗅いだことのないいい匂いが緊張を誘う。
「ぶかぶかだね」
「うるさい」
 袖と裾を捲って歩く京介に、綾乃はニヤリと笑った。すかさず毒づくと、彼女は更に頬を綻ばせる。
「何で立ってるの。座りなよ」
 ぽんぽんと、綾乃は自分の隣を叩いた。
 目のやり場に困りながら、その誘導に従う。
 彼女は制服を脱ぎ、白いTシャツとデニムのショートパンツを着ていた。特徴のある服装ではないが、健康的な白い肌がLEDのもとに晒され、その存在感を際立たせる。
「痛い? 家まで歩けそう?」
「大丈夫、だと思う。そんなに遠くないし」
 膝に貼った絆創膏を撫でながら言うと、綾乃は安堵の息を漏らした。
 続く言葉はない。こちらから何か話題を出すべきか迷ったが、今日の天気とか、明日の天気とか、空模様ネタ以外に何も出ないため口を噤む。
「ありがと」
 沈黙を破ったその声を追うように、右隣りへ視線を流した。
 深い青の瞳がこちらを覗いている。細い指で横髪を耳の後ろにかけて、へにゃりと溶けるように口元を緩める。
「傘のことなら別にいい。カバンにたまたま入ってただけだし」
「だからって、わざわざ学校まで戻って来ないでしょ」
「……いいやつになりたい気分だったんだよ」
「藤村って強情だよね。恩着せがましくしたら、私に色々要求できるかもしれないのに」
 色々要求。その言葉が耳を通過するのと同時に、京介の脳内を様々な妄想が駆け巡った。
 いかんいかん、と首を横に振る。別にそんなことは望んでいない。彼女もそのような意図で言ったわけではないだろう。
「もったいないよ。もっとみんなと仲良くした方がいいって」
「僕がどう過ごすかなんて、佐々川さんには関係ないだろ」
「みんなで買い物行ったり、カラオケ行ったり、たぶん楽しいよ?」
「いいって。本当に要らないから、そういうの」
「そっか」
 綾乃はそう呟くと、間髪入れずに上半身をこちらに寄せてきた。
 視線と視線が至近距離で絡み合う。手と手が、肩と肩が、太ももと太ももが、触れ合って熱を持つ。

「じゃあ、私が藤村をひとりじめできるね」

 冗談っぽく言いながらも、蠱惑的な光を帯びた双眼は、京介をしっとりと見据えていた。
ラブコメ漫画に入ってしまったので、推しの負けヒロインを全力で幸せにする

この子が負けヒロイン? なら俺が誰よりも幸せにする!!

ラブコメ漫画に入ってしまったので、推しの負けヒロインを全力で幸せにする

著者:shiryu イラスト:バラ

発売日:2月1日(火)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

ある日俺はトラックに轢かれて、気がつくとラブコメ漫画の主人公の親友になっていた。
ああ、これは夢なんだな、目の前には最推しの負けヒロイン嶋田聖――「好きだ」愛を伝えられてもう満足なのに夢は覚めず……!?

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 ああ、俺は……君のその笑顔を見て、好きになったんだ。
 友達を思う素敵な笑顔、だけど自分の想いを押し殺している、寂しい笑顔。
 その二つが相まった笑みを見て、俺は聖ちゃん推しになったのだ――。
 ――だけど、好きになったきっかけの笑顔だけど、そんな笑顔をして欲しくない。
 そんな悲しい笑顔を、君にして欲しくない。
 推しの幸せは、ヲタクの幸せだ。
 君が幸せになれない物語を――俺は変えたい。

「好きだ」
「……はっ?」

 初めて、この夢の中で俺は自分の意思で、喋ることが出来た。
「君の友達を想う心が、その優しい心が大好きだ」
「なっ!? な、何を言っている、久村!?」
 どうやら俺は久村司のまま聖ちゃんに話しかけているようだ。
 しかも聖ちゃんが俺の言葉に反応してくれている。
 漫画の推しキャラに直接好きと伝えることが出来る、そしてその反応が見れるなんて、最高すぎるだろこの夢。
「聖ちゃんの凜とした表情が大好きだ、カッコいい。銀髪ショートもカッコよくて、とても綺麗で最高だ」
「せ、聖ちゃん!? お、お前、なんでいきなりそんな呼び方を……そ、それに、なんて恥ずかしいことを……!」
 俺の言葉に聖ちゃんが顔を真っ赤にしてくれている。
 めちゃくちゃ可愛い、尊い……!
「藤瀬のことを心配して勇一のことを調べる聖ちゃんがとても優しくて好きだ、調べて接しているうちに勇一のことを好きになっちゃうチョロい聖ちゃんも可愛くて大好きだ」
「くっ……! お、お前、私を怒らせたいのか……!?」
 顔が真っ赤なまま涙目になっている聖ちゃんもとても可愛い。
「親友を想って自分の気持ちを押し殺す聖ちゃんは、大好きだけど、嫌いだ」
「っ……本当にお前は、いきなり何を……」
 俺が読んでいる「おじょじゃま」という物語は、まだ終わっていない。
 先程、聖ちゃんが藤瀬の背中を押して、藤瀬は頑張って告白をしようとするんだけど、それも幼馴染の東條院歌織に邪魔をされて、告白出来ずに物語は続いていく。
 邪魔をされて告白出来なかったということを藤瀬から聞いた聖ちゃんは、少しだけホッとしてしまうんだ。
 まだ重本勇一は付き合ってないから、自分にもチャンスが来るんじゃないか、って。
 そう思ってしまって自己嫌悪に陥る聖ちゃんだけど、人間としてそんな感情が出てしまうのはしょうがない。
 だけど……物語は続いていくけど、聖ちゃんは重本勇一と付き合うことはないだろう。
 二人の本ヒロインがいるから、聖ちゃんは負けヒロインが確定しているのだから。
 つまり聖ちゃんは、このまま物語が続いても、幸せになれない。
「聖ちゃんはこの先、多分幸せになれない」
「な、なんでお前にそんなことを言われないといけないんだ!」
 そう、別に久村司は、物語の恋愛関係に全く絡まない。
 だけど、俺は――。

「だから聖ちゃん、俺が君を幸せにする」
「……はっ?」
「聖ちゃん、俺は君が好きだ。絶対に幸せにするから、俺と付き合ってほしい」
「なぁ!?」
コンビニ強盗から助けた地味店員が、同じクラスのうぶで可愛いギャルだった

ただ、君と居たい。それだけで、いい。ひとりぼっち同士の恋物語

コンビニ強盗から助けた地味店員が、同じクラスのうぶで可愛いギャルだった

著者:あボーン イラスト:なかむら

発売日:1月20日(木)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

「今日から、あたしの家に……泊まる?」

 高校二年生の黒峰リクは、幼馴染に振られて自暴自棄になったところ偶然入ったコンビニで強盗に襲われていた店員を助ける。
 その店員は学校でいちばんモテる美人ギャル・星宮彩奈だった。
 この件をきっかけに星宮からストーカー被害を相談され、一人暮らしの彼女を守る名目でふたりは同棲することに。

「黒峰くんがいると安心できそう」
「起きてー、朝ご飯作ってあるよ」
「よかったら一緒に食べない?」
「すごいね黒峰くん、本当に、頑張って…生きてきたんだね」

 星宮と一緒に暮らす中で、リクは生きる気力を取り戻していく。
 涙が出るほど切実なひとりぼっち同士の、甘くて眩しい恋物語。

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「いきなりだけどさ、星宮って好きな人……いる?」
「うぇ!? ほんとにいきなりだね!? 」
「……いる?」
「え、えと……それは…………」
「彼氏がいるか聞いたことはあったけど、好きな人について聞いたことがなかっただろ? 今の生活を続けていくことを考えると、星宮に好きな人がいるのかどうか、割と重要な問題になると思うんだ」
「あ、あー……そう、かも……?」
「い、いるのか……?」
 オレは半端なく緊張していた。おそらく人生で一番緊張している。手汗もすごい。
 陽乃に告白したときは成功間違いなしと思っていたから緊張することは一切なかった。
 でも、今は――――。
「……い、いるかも……」
 と、ポッと頰を赤くさせた星宮が躊躇いがちに言った。
「かもってどういうこと?」
「……まだわからない、かな。初めての感情っていうか……その……。これが好きって、ことなのかなーって」
「…………」
「まだ、ね……自分の中で、答えが出せてない……のかなぁ?」
 なんだそれー。小学生じゃないんだから自分の中にある恋愛感情くらいわかるだろー。
「相手は……誰?」
「え?」
「相手が、知りたい」
 思わずオレは食い気味に尋ねてしまう。
「そ、その…………わわっ」
 焦った星宮がオレから距離を取ろうと後ろに下がり――段差にかかとを引っかけてバランスを崩す。そのまま後ろに倒れそうになるが、咄嗟にオレが星宮の腕を摑んで支えた。
「大丈夫?」
「う。うん……」
 星宮の腕を離す。すると星宮はオレから少しだけ離れて不満をぶつけてきた。
「黒峰くん、デリカシーがない」
「――うっ」
「そういうの、しつこく聞いたらダメだよ」
「いや……気になってさ」
「気持ちはわかるけどね……。でも聞き過ぎると、人から嫌われちゃうよ?」
 ――嫌われる。
「…………ごめん」
 オレは少し暴走気味だったかもしれない。
 なによりも恋愛に関する話の運び方を知らなかった。
「そんなにしょんぼりしないで。あたしが黒峰くんを嫌うって意味じゃないから」
「……別にしょんぼりしてない」
「ほんと? 𠮟られた後の子犬みたいな顔になっているよ?」
「どんな顔だよ……」
 不満げに言ってみせると、星宮はオレを励ますような明るい笑みを浮かべた。
 そして「ん――」と必死に背伸びをしてオレの頭をなでてくる。
「よしよーし」
「犬扱いだ」
「お手」
「わん」
 星宮が手を出してきたので、すかさずお手をしてやる。
 ……もはやオレにプライドはないのでしょうか?
「あはは、意外にノッてくれるね。じゃ行こっか、忠犬リクくん」
「わん」
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • マジで読め。超良作。
    感情を文章にするのはとても難しいはずなのに‥‥‥伝わってくる。「すっ」と、入ってくる。あと、キャラの個性がたってる。
    ───カルシウム
  • 情景描写が丁寧
    家族を失った主人公を支え始めるヒロイン、それぞれが成長していく過程が垣間見えて良作。
    ─── @chukkichukichuki58
クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった

「私は脇役だからさ」と言って笑う、そんなキミが1番かわいい。

クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった

著者:たかた イラスト:日向 あずり 口絵・本文イラスト:長部 トム

発売日:12月24日(金)

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COMIC コミック連載COMIC コミック連載
STORY あらすじSTORY あらすじ

『クラスで二番目に可愛い』と噂の朝凪さん。No.1人気の天海さんにも頼られるしっかり者の彼女は……金曜日の放課後だけ、俺の家に遊びに来る。本当は無邪気で甘えたがり。素顔で過ごす、二人だけの時間。

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「……なに? どしたん? 私のことじっと見て」
俺の視線に気づいた朝凪が俺のほうを見て小首を傾げている。右手にフライドポテト、左手にコントローラーというだらしない状態だが、元が美人なので、なんだかんだ画になってしまうのが小憎らしい。
「あ、わかった。この私が可愛いから見惚とれちゃったんでしょ? じゃあ、そのついでってことでちょっと手加減を――」
「いや、それはならん」
「んぎゃっ。こ、このヤロ、またハメやがったな! 物陰に隠れてないで、姿を見せていざ尋常に勝負しろ!」
「お前はもう少し戦い方を覚えて……って、そうじゃなくて、ちょっと心配してたんだよ」
「何の心配? 私はアンタと違って太ってはないけど」
「……俺の体重増はどうでもいいの」
一人で考えてもしょうがないので、朝凪に俺の心配について話すことに。
結局俺の言いたいことは、『もっと他の人とも遊んだほうがいいのでは?』ということなので、それを聞いた直後、朝凪は不機嫌そうな顔を見せた。
「なに? 私と遊ぶのがそんなに嫌? 飽きたから私は用済み?」
「用済みなわけないだろ。朝凪がいてくれて俺は……」
「……俺は、なに?」
「ぅ……」
つい隠している本音が出そうになって俺は口をつぐむが、そういうところは目ざとい朝凪が、途端にニマニマとしだした。
「へえ~ふ~ん?」
「なんだよ」
「ん? 別にぃ? 前原、今何を言おうとしたのかな~って思ってさ。……朝凪が? いてくれて? はい、前原君、その先をどーぞ」
「……俺は、」
「うん。俺は?」
「……隙あり」
朝凪が俺のほうに気をとられている間に、俺はゲーム画面の朝凪の可愛いアバターをサブマシンガンでハチの巣にする。
「あ、こら! 私が見てない間に、卑怯者!」
「戦場に卑怯もクソもないぞ」
なんとか強引に話をはぐらかして、俺たちは再びゲーム画面に戻った。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • 最高の尊さを凝縮した作品
    とにかく二人の関係性が良い!!
    一つの秘密を共有してる二人の関係が少しずつ少しずつ深まっていく感じがとてもキュンキュンします!
    ─── @Lumipas
  • 砂糖吐きたくなる甘さとそれを中和するシリアスがあって良き。
    今まで付き合ってなくてあの甘さなのでこれからどうなるのやら…(期待)
    ブラックコーヒー用意しましょう。
    ─── @Ak-oz
彼女が先輩にNTRれたので、先輩の彼女をNTRます

一緒に浮気《しかえし》しましょう?

彼女が先輩にNTRれたので、先輩の彼女をNTRます

著者:震電みひろ イラスト:加川壱互

発売日:12月1日(水)

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COMIC コミック連載COMIC コミック連載
STORY あらすじSTORY あらすじ

「燈子先輩! 俺と浮気してください!」「落ち着いて一色君……浮気した二人には地獄のような目に遭わせなきゃダメよ!」一色優は彼女の浮気のショックからNTR男の彼女、憧れの先輩だった桜島燈子に浮気を持ちかける。計画的で、強烈な『仕返し』を提案する燈子はなぜか優を女子ウケの良い男に仕立て上げ始め!? 服のチョイス、トークテーマなど……周りの女の子の評価が爆上がりな優だったが、逆に燈子への気持ちは高まるばかり。計画が進む中、二人の関係は急接近して――。恋人に裏切られた二人が聖夜に行う『仕返し』とは!? そして二人が迎える結末は!? リベンジ×ラブコメ開幕!

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俺、一色優は、それを見た時、手が震えていた。
……ウソだ……ウソだろ……?

だがスマホの画面に現れたソレは、残酷なほどに二人の関係を伝えてきた
(鴨倉先輩)カレン、もう帰った?
(カレン)うん、いま家に着いたところ
(鴨倉先輩)俺もさっき家に帰ってきた。でももうカレンに会いたくなったよ
(カレン)カレンもまだ先輩の感じが残ってる。
(鴨倉先輩)カレン、マジで良かった。もう俺の専属になっちゃえば?
(カレン)え?、だって先輩は彼女がいるじゃん。燈子先輩。
(鴨倉先輩)でもさぁ、俺とカレンって、マジで身体の相性がイイと思うんだよね
(カレン)カレンもそう思う!
(鴨倉先輩)だろ?だからもっと一緒に居られるようにしようぜ?
(カレン)今でも週イチは会ってるよ?
(鴨倉先輩)俺は毎日でもOK
(カレン)(笑)
(鴨倉先輩)カレンも言っていたじゃん。一色のヤツよりイイって

それ以上先は、さすがに読む気にならなかった。もう十分だ。

俺の彼女であるはずの蜜本カレンは、俺のサークルの先輩である鴨倉哲也と会っていた訳だ。……ラブホテル、その他もろもろの場所で。
偶然みてしまったカレンのスマホを、彼女の着ていたジャケットに戻した。ここはラブホテル。カレンは今、シャワーを浴びている。
俺は脱ぎ捨てた衣服を身につけると、そのまま黙ってホテルを出た。途中で「用事が出来た。先に帰る」とメッセージを送る。
駅には向かわず、アテもなくフラフラと歩いた。あのままホテルにいてカレンの顔を見たら、俺は自分が何をしたか解らない。
激しく問い詰めるのか、取り乱し泣き喚いてしまうのか、それともカレンに暴力を振るってしまうのか?
俺はそれを避けるため、一人でホテルを出たのだ。ショックのあまり、まともな思考が出来なかった。

なんか頭の中がグルグルする。目眩のような夢の中のような感じだ。
……そうだ、いっそこれは悪い夢であってくれれば……だがこれが夢じゃない事は解っている。現実だ。
……鴨倉の野郎。なんだってカレンに手を出しやがったんだ。自分はあんな美人の彼女がいるクセに……
鴨倉の彼女、桜島燈子先輩は大学内で彼女を知らぬ者はいないくらい、有名な美人だ。

……燈子先輩は、鴨倉のヤツがカレンと浮気している事を知っているのだろうか……?
胸の内に、急に悔しさと怒りが込み上げてきた。
「このままにはしておけない」
そんな考えが俺の脳裏を支配する。俺はスマホを取り出した。
記録されている電話帳の中から、『桜島燈子』を選び、通話ボタンを押す。三コールほどで相手が出た。

「はい?」
怒りと悲しみと絶望が渦巻く中で、俺は夢遊病者のように言った。
「燈子先輩。俺と浮気して下さい」
「いったい、何を言ってるの、君は?」

俺の第一声を聞いた燈子先輩は、半分驚き、半分呆れた感じでそう言った。
「意味わかりませんか?俺とSEXして下さい、って言ってるんです!」
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • ジャンルで良く聞くNTRですが、実際この物語は思ったよりドロドロとかしてないライトな話です。
    ─── daime
  • したいけどできないもどかしさ
    でも相手の気持ちも大切にしたい
    登場人物に没入できる気持ちいい作品です。
    ─── chukkichukichuki58
妹の親友? もう俺の女友達? なら、その次は――?

最初は妹の友達だった。でも、そのままじゃいられなくなった

妹の親友? もう俺の女友達? なら、その次は――?

著者:エパンテリアス イラスト:椎名くろ

発売日:11月20日(土)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

糸原斗真は恋愛に興味がない。線引きをした人間関係が心地良く、それはそれで充実しているのは間違いなかった。
「――お兄さん、帰っていないのなら、一緒に帰りましょう」
だけど最近、少し変化が訪れた。間宮凛。妹の親友で、よく家に遊びに来る娘……最初はそれだけの関係だったのに、同じ学校に通うようになって、一緒に帰って、当たり前のように休みの日に遊ぶようになって、みるみる関係が深まっていく。それでもあくまで“異性の友達”として接する斗真だったが、その一方で凛はこの関係に対して思うところがあるようで……?
青春で、そしてラブコメです。

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夕食の後、妹に教えてもらったIDをメッセージアプリの検索欄に入れることにした。 夕食中も散々妹から、きちんと入れて仲良く話をするように何度も釘を刺された。
自慢の友達であることは分かるが、兄にここまで押してくれるやつが世の中に一体どれくらいいるのだろう。
そんなことを思いながら、アルファベットと数字の組み合わさったIDを一文字ずつゆっくりと入力していく。
「お、出た」
検索すると、凛と言う名前のアカウントがすぐに見つかった。
シンプルな名前に、動物写真のアイコン。
タッチして、そのページを開くと「友達追加」のボタンが表れる。
「……」
すぐに追加ボタンをタッチしようと手が動かない。
しかし、ここまで妹にもプッシュされているので、登録しないままで誤魔化すことは出来るはずもない。
ゆっくりと、ボタンの部分にタッチする。
同時に、友達追加追加したことを知らせる通知が同時に届いた。
―追加したよ。よろしくね―
シンプルな挨拶を一言だけ送る。
すると、すぐにあちらも友達追加したことを知らせる通知とともにメッセージが届く。
―追加するか、迷ったんじゃないんですか?―
いきなり核心をつくようなメッセージが届いた。
―さあ、どうかなー
―いやいや、だって散々あの頃から交換の話出したら、はぐらかしてたじゃないですか!―
適当にとぼけたふりで誤魔化そうと思ったが、しっかりバレている。
凛ちゃんからは、何度か連絡先を交換してくれないかと言われたことがある。
その度に、妹にバレたら微妙な感じになるし、何かあれば妹経由で何かなるやろと言って避けてきたが、今回はばかりはどうにもならない。
―今回は早紀公認、高校には私達しかいませんから連絡も直接のほうがいいですもんね?笑―
―……はい。その通りでございます―
しっかり今まで避けるために使っていた口実も覚えているようだ。
―ここでなら何も気にせずに、やりとりも出来ますよね?―
―分からんぞ? うちの妹なら平気で内容見るかもしれない―
―……あながち否定が出来ないですね。でもバレたら時は仕方無しです!―
「すっかり遠慮がなくなったなぁ」
最初の頃は、何をするにしても恥ずかしそうにしていたが、良いのか悪いのか若干妹の性格に影響されつつあるような気がする。
―まぁこうしてせっかく交換したし、仲良くしていこうや―
―もちろん、そのつもりです。お兄さんにそのつもりがなくてもそうします―
彼女の意志は固い。
何度も連絡先交換を避けられても、諦めないところからも分かることではあったが、一度決めたら曲げることがないな。
―そうかい。で、高校生活の滑り出しはどうなんだい?―
―今日、入学テストがありました―
―ほー、手応えはどうだったの?―
―お兄さんにたくさん教えてもらったところが多かったので、間違えるはずがありません―
―たくさんってほどでもないけど―
妹が待ち合わせ遅刻常習犯であることから、凛ちゃんは待っている間に勉強することはそんなに珍しいことじゃなかった。
机に座ってひたすら学習に取り組む姿は、感心させられるものであった。
「頑張るね。はい、飲み物とお菓子」
「お気遣いすいません。少しでも頑張らないと、進みたい高校がありますから」
「そかそか」
そんな話をしながら、彼女の取り組む学習を見て、その丁寧さに驚かされた。
それ以来、物音を立てないように彼女の学習への取り組みを、静かにずっと見させてもらったものだ。
「うーん……」
彼女は、数学の証明問題や国語の文章問題に苦戦していた。
俺はそれなりに診断テストの点数を取るために、塾の先生とも研究を重ねて勉強して来た。
その時の事を、彼女に少しずつ教えた。
「まずは、何をするべきかしっかり考えて。時間が足りないと感じるものほどそれは大事だよ」
「はい」
「証明は部分点マイナスとかもあるから、何を絶対に記載するべきなのかよく見てね。後、ここで引かれても良いように他の問題は必ず取る」
今思えば当たり前のことかもしれないが、こういうことを早くから取り組めばと俺は非常に後悔した。
それもあってか、気がつけば彼女に色んなことを伝えていた。
個人的に早くやっていればという、親が子供にやりがちなことである自分の同じような後悔をさせたくないみたいな感情を、ほとんど関係のない子にぶつけてしまったわけだが。
彼女は嫌がらずに、むしろ信頼して更に勉強の話が広がっていった。
「前回の模試の結果です」
「なるほど。点数はあまり変わってないけど、課題だったところが伸びてきてる。いつも出来てる範囲のところが間違ってるけど、このレベルはみんなきついから特に気にしないで」
「でも……そこは私の得意分野で」
「確かに、得意なとこで上手く行かないことは焦る。でも、弱いところも一定ラインまで伸ばすのが一番点数を伸ばす近道だよ。どんなに得意なところを伸ばしても、一定レベルの公立試験ならあんまり意味無い」
まだ時間があるとは言え、受験生で毎月のように模試をして点数に一喜一憂で不安が倍増するのはよくわかった。
だからこそ、自分の言えることをしっかりと伝えながら模試の解説もする。
基本的に穏やかな時間が多かった中で、少しだけだけど、お互いに真面目に向き合った時間だった。
「……ここに来るのは受験前、今日で最後になりそうです」
「そうか」
「受験前に、あんまり他の人の家とかに行ってインフルエンザとかになってもいけないし、他の人に感染させてもいけないので」
「それはそうだ。これだけ頑張ったのに、体調不良でパフォーマンス不足だなんて一番後悔する」
「はい。これだけ、やってもらったんです。私は結果を必ず出したいです」
そう言った彼女の顔は、一番ある意味らしくない顔をしていたと思う。
「一つだけ訂正しておこう」
「?」
「受験は他人のためにするものじゃない。親のためでもない。塾や学校の先生のためでもない。自分のためだからな。まぁ、受かれば周りが喜ぶのは事実なんだけどな……」
「……もし、私が志望する高校に受かったら、お兄さんは嬉しいですか?」
「当たり前よ。これだけ俺が好き勝手言ったことを聞いてくれた子が受かったら嬉しいに決まってる」
「なら、お兄さんの言うことを今まで全部聞いてきましたけど、最後だけは守れませんね」
「え?」
「私は、お兄さんに高校が受かったことを喜んでもらいたいですからね」
彼女はそう笑顔で言って、受験に向かった。

―お兄さん、私が受かって嬉しいですか?―
―当たり前だ。何だかんだ言って嬉しいに決まってる。頑張った分、楽しく過ごしな―
―そのためには、お兄さんがもっと私にオープンになってくれればいいんですけどね―
―入学テストがいい結果なら、考えてやるよ―
そして、今がある。
Vtuberってめんどくせえ!

初手、大炎上から始まるVtuber生活

Vtuberってめんどくせえ!

著:烏丸 英 イラスト:みこフライ

発売日:3月30日(水)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

高校を卒業したばかりの男子、阿久津 零。
家族から家を追い出され、大学進学も勝手に辞退されてしまい路頭に迷っていた彼は、叔母である星野 薫子にスカウトされ、彼女が経営するVtuber事務所【CRE8】所属の男子Vtuberタレント『蛇道 枢』としてデビューすることとなった。
が、しかし……【CRE8】に所属するVtuberは彼を除いてすべて女性ということもあり、箱推しファンからの反感を買った蛇道枢(零)は、初配信から大炎上という事態に見舞われてしまう。
アンチコメや罵詈雑言に耐えながらも、生きるためにVtuberとしての活動を続ける零。
でも、やっぱり、本当のことを言わせてもらえるのなら――
Vtuberって、めんどくせえ!!

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 現在時刻は午後八時過ぎ、眠るにはまだ早い時間。
 食事も風呂も済ませてしまってやることはないが、まだまだ眠気は自分のもとに訪れてはいない。
 ならば適当なVtuberの配信でも見て、勉強でもしておくか……と考えた彼が配信プラットフォームである動画サイトを開いてみれば、丁度良いタイミングで羊坂芽衣の配信が始まった通知が流れてきた。
「おっ、ナイスタイミングじゃ~ん。これも何かの縁だし、覗いていくか」
 コメントもせず、SNS上で反応を見せたりもしなければ、蛇道枢こと零がこの配信を見ているとは誰も気付かないだろう。
 フォローを外してしまったことや、炎上に巻き込んでしまったことへの罪悪感がある零は、彼女の再生数を一回でも増やすことでその気まずさを振り払おうと、流れてきた通知をクリックして配信ページへと飛ぶ。
 数瞬後に切り替わった画面にはかわいらしい羊が柵を飛ぶアニメーションが流れていて、芽衣が来るまでの待機中であることがわかった。
 運がいい。これなら有栖がどんなふうに配信の入りをこなしているかが見られる、と飲み物の用意をしてからPCの前に座す零。
 配信視聴のお供に烏龍茶とみたらし団子という一風変わった組み合わせの夜食を選択した彼は、羊坂芽衣が登場するまでの数分間をもちゃもちゃと団子を食べながら待機し続けた。
『……え~、みなさん、こんばんめ~、です。【CRE8】所属Vtuber二期生、羊坂芽衣です。今日も私のお喋りに付き合ってくださ~い』
 ややあって、アニメーション画面が切り替わると共に表示された羊坂芽衣の立ち絵が、やや緊張した面持ちを浮かべながらリスナーへの挨拶を行う。
 まだ独自の挨拶を行うことに慣れておらず恥ずかしがる様子や、硬さの残る配信の始まりを見た零は、このぎこちなさが良いというファンの気持ちが理解できるようになっていた。
 自信があまりなさそうな芽衣の雰囲気と表情は、非常にこちらの保護欲をそそる。
 演技とは思えない、芽衣の魂である有栖の緊張や怯えが画面を通じて伝わってくるようなその立ち振る舞いに、零は自然と感心してしまっていた。
「……中身と合わせたキャラ設定って大事なんだな。入江さんをVtuberにするなら、確かにこのキャラクターが一番だ」
 引っ込み思案で、臆病で、そんな自分を変えたいと思っている有栖をそのまま二次元に転化したような羊坂芽衣のキャラクター性に頷きつつ、それを設定した薫子の判断に感服する零。
	
え、神絵師を追い出すんですか?

理不尽に追放されたデザイナー、同期と一緒に神ゲーづくりに挑む!

え、神絵師を追い出すんですか

著者・イラスト:宮城こはく

発売日:1月15日(土)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

理不尽に追放されたデザイナー、同期と一緒に神ゲーづくりに挑む!

「お前はクビだ。出ていけ夜住彩!」
 突然の追放。ゲーム開発会社の新人デザイナー彩は、仕事の遅い残業代泥棒と上司に難癖をつけられ、自主退職を促す『追い出し部屋』へと異動させられる。途方に暮れる彩だったが、誰かを元気づける作品作りが彼女の夢。同期の真宵学と意気投合し、新しいゲーム企画を作ることに! その企画で、自分を追い出した元上司の企画と予算を競うことになり――?
 そう、無能上司は理解していなかった。彼女こそデスマーチを一人で支えた神絵師だということに。夜住彩の快進撃はここから始まる!

RECOMMEND SCENE オススメのワンシーンRECOMMEND SCENE オススメのワンシーン
「ふひゃあぁぁっ!?」
 血みどろの怪獣バトルに巻き込まれて、私は跳び起きた。
 額をぬぐうと汗でじっとりと濡れている。暗闇の中で目を凝らすと、非常灯のかすかな明かりに事務机が照らされていた。
 ああ……ここは私、夜住彩の今の職場。真夜中のキャリア開発室《追い出し部屋》だ。
「はぁっはぁっ……。夢……かぁ……」
 腕時計のバックライトをつけると、時計の針は午前四時を示している。中途半端な時間に起きてしまったみたいだ。
「やけにリアルな夢だったなぁ。怖い悪魔やバトルの絵をよく描いてるからかなぁ……」
 いや、それだけじゃない。目覚めてしまった理由は自分でも分かってる。
 ――不安なんだ。いま描いてる絵が本当に合っているのかと。
 絵を一枚描くのは簡単なことじゃない。アイデアをいくつもひねり出し、ピンとくる形をさぐり、何枚も何枚もスケッチを重ねる。そして膨大な試行錯誤の上に浮かび上がってきたデザインを、今度は魅力的に見せられるよう線を描き、彩《いろどり》を与えていく。
 本来はゆとりをもって行うべき作業。
 しかし今はタイムリミットが迫る中、一枚の失敗も許されない。なるべく冷静でいようとしてるけど、精神は確実に削られているみたいだ。
 真宵くんは私を「凄い」と言ってくれるけど、全然そんなことない。不安だから抱き枕に頼ってるだけだし、夜中に目を覚ますと部長さんのチームの頃を思い出してしまう。
 助けを求めても、ただの一度も手を差し伸べられなかった。来る日も来る日も机の下で寝泊まりして、『お客さんが待ってる』という気持ちだけで動き続ける。だけど頑張った果てには部長さんに追い出されてしまった。
 この真っ暗闇は、きっと私の心そのものなのだ。
「本当に部長さんに勝てるのかな……。もしダメなら、もう……」
「むにゃ……。彩ちゃんは、絶対に勝つ……んにゃ~」
「ふぇ? 真宵くん、起きてるの!?」
「二人なら……むてき……んぐぅ……」
 どうも様子がおかしいので様子を見に行くと、それは真宵くんの寝言だった。
 絶対に勝つ。二人なら無敵。……寝言だとしても嬉しい言葉だ。
「……真宵くん、ありがとう」
 彼を起こさないように、小さくお礼を言った。
 そう、今の私は一人ではないんだ。共に夢を見てくれる彼がいる。その事実を噛みしめると、勇気が湧いてくるようだった。……明日こそ頑張ろう。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • ノーテンキな天才と、それによって奮起される物語。天才と周りが頑張る姿が面白い!
    ───さわちゃん
  • しっかりとした主題。
    クリエイターとして、大事なものは何か? そのテーマが非常に大事にされています。さらにそれに併せて現在のゲーム開発事情も窺える。
    爽快感。
    エンターテインメントとして大事な部分。しっかりと実装されております。
    お薦めです。
    ─── 司弐紘
クエスト:プレイヤーを大虐殺してください VRMMOの運営から俺が特別に依頼されたこと

運営側プレイヤーとして暗躍開始――。

クエスト:プレイヤーを大虐殺してください VRMMOの運営から俺が特別に依頼されたこと

著者:百瀬十河 イラスト: tef

発売日:8月20日(土)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

最新の大人気フルダイヴ型VRMMO:リーエン=オンライン。
自ら選ぶ職業に加え、他人に知られてはならない2つ目の職業をランダムに与えられる【仮面(マスク)システム】が特徴のゲームだ。その運営から俺に突如告げられたのは、予想外の依頼で……
「黒の盟主となって、大虐殺をしていただけませんか?」
特別に3つ目の職業を追加で持つ黒の盟主――闇属性の頂点として、リーエンの世界を混沌に陥れてほしいと。それなら、通常のプレイヤーに紛れて成長しながら世界と運営が隠している秘密を探り、全てを凌駕し踏みにじるような大虐殺を実現することにしよう――! 暗躍VRMMOファンタジー、開幕!

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「大虐殺、というものは、具体的には?」
「どんな方法でも構いません。大魔法で国ごと焼き尽くしても良いし、暗殺を繰り返して疑心暗鬼に陥らせても良い。猛獣に襲撃させるのもありでしょう。最初はおそらく、NPCの仕業だと勘違いされるでしょうね。しかしそれは頃合いを見て、運営側から否定されます。そうすることで、プレイヤー達から『こんな脅威の存在にいつかは辿り着けるのか』と、畏怖と憧憬を同時に抱かれる存在になっていただきたい。一定期間盟主を務めた後には、次期盟主候補を選ぶ権利が与えられます。逆に、自分でその座を守り続けることも可能です」
 アカウントの登録に必要となっていたやけに細かい事前アンケートや生体認証は、大事なファクターとなる【最初の盟主候補】を選ぶ為のものだったらしい。
 ここまで中村さんから説明を受けた時点で、俺は僅かな違和感を覚える。ニコニコしながら分かりやすく大虐殺の趣旨について説明してくれたけれど……改めて考えてみれば、これは不要なことだ。だって目標とされるならば、あえて『敵』になる必要なんて、ない。
 大虐殺。プレイヤーもNPCも区別なく鏖殺し、命と尊厳を踏みにじる行為。
 それは確かに、恐怖を植え付け、団結を導く。
 プレイヤー同士、NPC同士、そしてプレイヤーとNPCとの間にも友誼が芽生え、盟主を倒す為に、彼らは志を一つにするだろう。
 それでもなお、彼らを凌駕する存在の君臨が必要なのであれば、それは――。
「……っ」
 俺は、息を吞む。考えついてしまった、ある予想。
 運営側が真に求めているものが何かを確かめるのは、今の時点では、不可能だ。
でも、この条件を断るような性質なら、最初からこの場に呼び出されたりしない。
 そんな俺の思考を読み取ったかのように、中村さんが、笑顔で言葉を続ける。

「答えは、リーエンの中にあります。どうでしょう……引き受けていただけますね?」

 最終確認の言葉に、俺は大きく頷き返していた。
 
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • 魅力あふれる素晴らしい世界観を十分に活かしてあまりあるほどの文章力は、1ページ目から私達読者を引き込む。奇抜すぎず、それでいてありふれたものではないこの設定に目を輝かせ、高鳴る胸を抑えながら読み進め.......読み終わったときにはあなたも物語の行く末に興奮しゾクゾクする体を抱え、目をギラつかせることだろう。
    ─── 飛噺
  • 斬新な設定に目を引かれ、読み進めてみたらあら不思議。気がつけば全話読破してブックマークまでしている始末。言葉では表せないけど、展開全てが僕の琴線にバッチリ触れてきてた。僕が見たかったのは、こういうVRMMO物なんだよ!
    ─── @kimootakusome
幼馴染だった妻と高二の夏にタイムリープした。17歳の妻がやっぱりかわいい。

知らなかった17歳の君に、また恋をする。

幼馴染だった妻と高二の夏にタイムリープした。17歳の妻がやっぱりかわいい。

著者: kattern イラスト: にゅむ

発売日:5月20日(金)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

幼馴染と結婚し仕事は順調、貯金もそこそこ。平凡なリーマン鈴原篤は目が覚めると高校時代に戻っていた。妻といっしょに。

「見た目はJK、中身はあなたの人妻! 青春、やり直さない?」

そう――自意識をこじらせた陰キャだったせいで妻の千帆とは高校時代、絶交状態だった篤。
早速制服で平日の京都デートを満喫したり、一緒に登下校したり、バレー部のユニフォームを着た千帆と学校でイチャイチャしたり、あの時出来なかった恋人同士の時間を楽しむ二人。
知らなかった、知り得なかった17歳の彼女の素顔が愛おしい。
何度時が巡ろうと、あなたに恋をする。夫婦でやり直す共同タイムリープラブコメ、開幕!

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 ねだるようなその表情に恥をかかせまいと、僕はダメな夫の情けない心臓を高鳴らせて二人の距離をゆっくりと縮める。
 野暮な言葉を吐くより早く僕は唇を塞ぐ。
 軽く。
 優しい。
 はじめてお互いに触れるような、繊細なキスを僕は千帆と交わした。
 妻を強く求めようとは思わなかった。今はその距離を埋めることよりもお互いを信じることの方が大切なように思えた。
 それこそ、僕たちがつきあいはじめた時のように。
「キスの仕方もすっかり高校生に戻っちゃったね」
「かまってあげられなくてごめんね」
「本当よ。もっといっぱいキスしてくれていたら、私こんなに不安にならなかったわ」
「少し、元気になったみたいでよかったよ」
「……バカみたいだね、私たち」
「……それぐらいがカップルはちょうどいいんだよ」
 川上から騒がしい風が吹いた。
 急かされるように唇を離せば、名残惜しく僕らはお互いを見つめ合う。
 それから、どちらからともなく吹き出した。
 このバカみたいな二度目の青春の真実を僕たちは心の底から笑い飛ばした。
「……どうする、あーちゃん。続きする?」
「したいけどしない。まだ、タイムリープは続いているからね」
「長い戦いかもしれないけれどつきあってくれる?」
「いいさ、いくらでもつきあうよ。夫婦じゃないか」
「……もう、かっこつける所かしら」
 黙り込んだ僕に千帆がジト目を浴びせる。
 けれどすぐに、しょうがないわねと微笑んで彼女は――まるで獲物を狙うとんびのような素早さで僕の唇を軽やかに奪った。
「……なんだよもういきなり」
「頑張ったあーちゃんにご褒美」
「君がしたいだけだろう」
「ええ、そうよ」
 本当に僕の千帆は強くてかわいらしい最高の奥さんだ。
 けれど、彼女の中に眠っていてこんな時にひょっこり出てくる、ちょっと不安げで繊細な少女の部分を、僕は愛おしくも思っていた。
 彼女を僕はこれからも守っていきたい。
 祇園祭の賑わいは遠く、鴨川には水の流れる音ばかりが涼やかに響いている。
 比叡山から降りてきた冷たい夜風に妻の髪がゆれた。
 うっすらと京都の街を覆いだした闇の中、月明かりを拾って星のように妻の髪が輝く。
 そのきらめきのなか、ひときわ目につく二つの茶色い星に僕は誓った。
 絶対に、君を幸せにするよ。
 千帆。
 一緒に未来に帰ろう。
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  • 読む度に謎が深まるばかり!タイムリープを起こした黒幕は誰なのか?何故タイムリープを起こしたのか謎だらけ?シリアスも笑いで吹き飛ばす、エロいボディの奥様に翻弄される主人公。毎回推理が外れ、真相に辿り着けない主人公がとても面白い。
    ─── @tropical1972
  • タイトルから内容が想起しやすく、そしていざ開いてあらすじを見た所、とても笑わせていただきました。あとエロいですね。尊い中にエロさがありますね、スルスルッと読み進んでいったら、ほどよいタイミングでエロが入ってくるので、クスりときてしまいました。最高。
    ─── 室星奏

朝読小説賞作品朝読小説賞作品

レコード・トーカー

わたしは、このカードと一緒に強くなる!

レコード・トーカー
初心者カードゲーマーと運命のカード

著者:巴 雪夜 イラスト:じゅせ

発売日:12月9日(木)

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STORY あらすじSTORY あらすじ

カードゲーム「レコード・トーカー」が世界的に流行し、競技や職業として認められ多くのプロも活躍している少し未来の日本――。
中学生の浅井咲夜は、幼少の頃に運命的な出会いをしたカード「ダスク・モナーク」を手にするべく「レコード・トーカー」の世界に足を踏み入れようとしていた。
そんなとき、中学生でありながらプロとしても活躍する九条神威と秘密の契約を結ぶことに。
その契約に提示されたカードが、まさかのあのカードで……!?
今、咲夜と運命の一枚をめぐる“青春カードバトル”が始まる!。

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 春、ショッピングモールの傍の並木道は桜が咲誇って見頃を迎えていた。春休みに入ったからなのか、親子連れの姿が多かった。そんな桜舞う風に長い黒髪を靡かせ、モール専用の駐車場を歩きながら咲夜は振り絞るように声を出した。
「お父さん、私……オルターとレコードスコープが欲しい」
オルターとレコードスコープ、その単語に父親は目を瞬かせる。
それは全世界で流行している次世代ARカードゲーム【レコード・トーカー】をプレイするために必要なものだ。このゲームをするためにはオルターと呼ばれる通信端末と、ホログラムで実体化したモンスターを見るためのレコードスコープが必須となっている。
スマートフォン端末のような機能と形状をしているオルターは携帯情報端末として携帯でき、そのため未成年は親の同意がなくては購入ができないようになっていた。
「その、女の子がカードゲームとかって思うかもしれないけど、私は好きで……」
レコード・トーカーの人気は今や世界規模と化し、競技化もされてプロも活躍していた。カードゲームは男の子向け、そんな風潮が未だにある。けれど、レコード・トーカーはプロとして女性が活躍していることもあるのか、女性プレイヤーも多い。
買い物袋を握にぎりしめて咲夜は父の返事を待った。
「…………そうか」
父は小さくそう返事をする。たったそれだけしか言わなかった。反対するでもなく、黙ったまま停めていた車の鍵を開け乗り込んだ。
ダメだったかと咲夜は俯いて助手席へと乗る。断られるのも無理はない。何せ高いのだ、端末が。最新型のオルター&レコードスコープのセットは最新型スマートフォン端末よりも、下手なパソコンよりも高い。
旧型でもプレイに支障はないし、最新モデルじゃなくてもよかった。あのカード、小学生の時に出会ったあのカードをもう一度、見るためなら性能なんて関係ない。
『携帯電話が必要だろう』
父から中学二年生になったのだからという言葉に、今しか言えるチャンスはないと思った。それよりも欲しいものがあると。
「はぁ……」
咲夜は小さく溜息をついた。我慢するしかないのかと車の窓から景色を眺めるそんな娘の様子を父は考えるように横目で見ていた。
READER’S COMMENT 読者からのコメントREADER’S COMMENT 読者からのコメント
  • 一度でもカードゲームに触れたことのある人なら分かる、だんだんと強くなっていく、成長する過程が楽しい作品。 またキャラクターの個性もしっかりしていて、読みやすいです。
    ─── 三角さんかく
  • 幼い頃に一目ぼれしたカードの正規マスターになるために奮闘する女の子のお話。 主人公が女子という時点でよくあるカードゲーム物と一線を画していますが、その内容はしっかりとしたカードゲームの知識に基づいているであろう読み応えのあるものとなっています。
    主人公を取り巻くキャラクター達も魅力的で、とても面白い作品です!
    ─── 文屋律

ComicWalker漫画賞作品ComicWalker漫画賞作品

	
ラブコメ漫画に入ってしまったので、推しの負けヒロインを全力で幸せにする 1

推しが負けヒロイン!? だったら俺が絶対にハッピーエンドにしてやる!

ラブコメ漫画に入ってしまったので、推しの負けヒロインを全力で幸せにする 1

漫画:しはる 原作:shiryu 原作イラスト:バラ

発売日:10月10日(火)

STORY あらすじSTORY あらすじ

推しが負けヒロイン!? だったら俺が絶対にハッピーエンドにしてやる!
大人気ラブコメ漫画の世界で、主人公の友人キャラになってしまった俺の使命はただ一つ。劇中の負けヒロイン・聖ちゃんを幸せにしてあげることだけだ!カクヨム発・話題のベタ甘ラブコメが、コミカライズで開幕!!

	
俺の召喚獣、死んでる1

俺の召喚獣は神をも殺す伝説の大魔獣――の死体!?

俺の召喚獣、死んでる1

漫画:根菜猫 原作:楽山

発売日:6月27日(火)

STORY あらすじSTORY あらすじ

召喚術師養成学校――通称・学院に通う苦学生のフェイル・フォナフが喚び出した『片割れ』の召喚獣は、神話にその名を刻む“終界の魔獣・パンドラ”だった! 身の丈三百メートル以上。数多の神々を殺しまくった最強の召喚獣を相棒にしたフェイルだが、ひとつだけ大きな問題があり――?

	
国民的アイドルになった幼馴染みが、ボロアパートに住んでる俺の隣に引っ越してきた件(1)

隣に越してきた幼馴染み、実はトップアイドルなんです――!

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漫画:あかりりゅりゅ羽 Original Work:榊原 モンショー 

発売日:6月9日(金)

STORY あらすじSTORY あらすじ

音大に通っている俺が住んでいるボロアパート、その隣の部屋に突然引っ越してきたのは国民的アイドルにして幼馴染みの東城美月! 3年前の約束を支えにトップまで上り詰めた彼女との奇妙なご近所生活が始まる!

	
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すべての魔法を封じられた賢者が繰り広げる撲殺逆転劇!

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漫画:青刃 時雨 原作:ぷらむ 

発売日:6月9日(金)

STORY あらすじSTORY あらすじ

愛する妹のために冒険者稼業に身を投じた賢人。レア職「賢者」を獲得して意気揚々とダンジョンに潜るが、地雷スキルで魔力を封じられてしまう。そんな彼は決意する――すべてを殴り倒していくことを!

	
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社畜サラリーマンがタイムリープ!? 高校時代をやり直し、あの娘を救え!

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漫画:伊勢海老 ボイル 原作:慶野 由志

発売日:5月26日(金)

STORY あらすじSTORY あらすじ

サラリーマン・新浜心一郎は度重なるブラック残業の果てに遂に倒れ、目が覚めると高校生に!? 陰キャだったかつての自分と決別し、憧れだった美少女・紫条院春華を待ち受ける悲劇の未来から救うため奔走する――!

	
黒狼王と白銀の贄姫 1 辺境の地で最愛を得る

嫁した先は敵国の王――。 運命に翻弄される王女のシンデレラロマンス

黒狼王と白銀の贄姫 1 辺境の地で最愛を得る

漫画:白木苺 原作:高岡 未来

発売日:3月17日(金)

STORY あらすじSTORY あらすじ

妾腹ということで王妃らに虐げられて育ってきたゼルス国の王女エデルは、戦に負けた代償として義姉の身代わりで戦勝国オストロムへ嫁ぐことに。相手は「黒狼王(こくろうおう)」と渾名されるオルティウス。野獣のような体で闘うことしか能がないと噂の蛮族の王。しかし結婚の儀の日にエデルが対面したのは、瞳に理知的な光を宿す黒髪長身の美しい青年で――。やがて、二人の邂逅は王国の存続を揺るがす事態に発展するのだった…。激動の運命に翻弄される、波瀾万丈のシンデレラロマンス、待望のコミカライズ版!

	
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年齢=彼氏いない歴アラサー女子、イケメンと×××…!!

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漫画:ぴらにあ。 原作:高岡 未来

発売日:3月9日(木)

STORY あらすじSTORY あらすじ

ワンナイトからはじまる、“初めて”だらけのハッピーラブコメディがPOPにコミカライズ!
真野美咲、年齢イコール彼氏いない歴更新中のもうすぐ29歳。処女を拗らせた結果、全く覚えがないまま酔った勢いで会社一のイケメン忽那さんと一夜を共にしてしまう!?

	
クラスで2番目に可愛い女の子と友だちになった 1

日陰男子と2番目ヒロイン、等身大の“友だち”ラブコメ!

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漫画:尾野 凛 原作:たかた

発売日:3月1日(水)

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「じゃあ、内緒の友達ってことで――」
クラスでぼっちな俺・前原真樹に、初めてできた友だち・朝凪海。いつも輪の中心にいて、他の男子からは『クラスで2番目に可愛い』なんて陰で噂されている。ぼっちの俺なんかと住む世界が違う――と思いきや、まさかのB級映画好き!? ひょんなことから友だちになった朝凪さんは、金曜日の放課後だけこっそり俺の家に遊びに来る。
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二日酔いから始まる、盗賊と少女の「再生」の物語。

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漫画:幾弥 なごみ 原作:新巻 へもん

発売日:3月1日(水)

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二日酔いから始まる、盗賊と少女の「再生」の物語。
疎んじられることの多い斥候職を務める冒険者のハリス。 孤立して酒浸りの生活を送る彼は、ある日酔った勢いで奴隷の少女ティアナを買う。 ティアナは自身を優しく扱ってくれるハリスを慕うようになり──。

	
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魔法の力で成り上がるバトルファンタジー!

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漫画:戯屋 べんべ 原作:飯田 栄静

発売日:2月25日(土)

STORY あらすじSTORY あらすじ

前世の記憶を持って、異世界に転生し貴族のもとに生まれた少年サム。残念なことに、彼は剣士の家系でありながら剣の才能が全くというほどなく、不遇の日々を過ごしていた。
しかしサムは腐ることなく、彼を慕う使用人たちに支えられながら剣以外で身を立てる術を探した結果、自分に魔法を扱う素質があることを発見。身体強化の魔法を練習中にモンスターの急襲に合うも見事撃退し、己の力でこの世界を生きていくことを決意した。
更に修行を重ねギルドの依頼もこなせるようになると、一部の使用人を除き自分を蔑ろにする実家に見切りをつけて、サムは冒険の旅に出る。 その道中、森の中で眠っていたウルと運命的な出会いを果たしたことで、秘められた魔法の才能を開花させていく……!
剣がダメなら魔法で世界最強に!
魔法の力で成り上がるバトルファンタジー、開幕!!

	
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発売日:12月26日(月)

STORY あらすじSTORY あらすじ

とある王立魔法図書館で司書を務める少年・セレル。 あくまでも「ただの司書」であると主張する彼だが、幼馴染の王女・フィオナと談笑し、高度な魔法を操り、 膨大な仕事量を1人でこなすその姿は、どう見ても「ただの司書」ではなく――?

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発売日:11月26日(土)

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元役者が転生し、天才子役として名を馳せる山下マキ。彼女の卓越した才能は、関わるものすべての人生を捻じ曲げる。圧倒的存在が及ぼす世界への影響を堪能せよ!!

	
悪役令嬢のデレは俺だけにバレている(1)

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発売日:11月10日(木)

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前世の記憶を持って、ハマっていた乙女ゲームの世界に転生した主人公。メインキャラである王子・クロードとなった彼は、最推しの悪役令嬢・リーシャのために爆走する! 両想いに気づかない二人の爆笑ラブコメ開幕!

	
無駄に幸せになるのをやめて、こたつでアイス食べます 1

お仕事女子×停滞中主婦の人生を変える二人暮らし。

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一緒に泣いてくれる友達がいるから、明日も大丈夫。
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仕事ばかりして、生活も恋も後回しにしてきた映像プロデューサーの莉恵子。旦那の裏切りから、幸せだと思っていた結婚生活を、住む場所と共に失った専業主婦の芽依。 「一緒に暮らすなら、一番近くて一番遠い他人になろう。末永く友達でいたいから」そんな誓いを交わして始めた同居生活は、憧れの人との恋、若手シンガーとの交流等とともに色つき始め……。そして、見失った将来に光が差し込む。

これは、頑張りすぎる女子と、頑張るのをやめた女子が、自分らしく生きていく物語。

	
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彼女が先輩と浮気してました――絶対に""しかえし""してやる!!!

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発売日:9月26日(月)

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一色優、大学1年生。
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大学生4人の心とカラダの関係を描く衝撃の"リベンジ"ラブコメ、待望のコミカライズ登場!!

	
異世界帰りの英雄曰く

「元」英雄、現世にて魔女と出会う

異世界帰りの英雄曰く

漫画:窪茶 原作:涼暮 皐

発売日:9月9日(金)

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黒須大輝はいたって普通の高校生である。しかし大輝は平穏すぎる日常に違和感を感じていた。ある日、大輝は激しい動悸と共に訪れた街角で一人の少女と出会う。彼女は現世に潜み暮らす魔女だった…!

	
無敵商人の異世界成り上がり物語 ~現代の製品を自在に取り寄せるスキルがあるので異世界では楽勝です~1

現代の知識と製品で異世界で成り上がる! 異世界商人物語開幕!

無敵商人の異世界成り上がり物語 ~現代の製品を自在に取り寄せるスキルがあるので異世界では楽勝です~1

漫画:隆原 ヒロタ 原作:青山 有

発売日:7月27日(水)

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現代の製品を自由に取り寄せられる「トレード」スキルで異世界にて成り上がれ! 異世界商人物語第1巻!!

第7回カクヨムWeb小説コンテスト開催!第7回カクヨムWeb小説コンテスト開催!

開催期間:2020年12月1日~2021年1月31日開催期間:2020年12月1日~2021年1月31日

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