鬱ゲー転生。 知り尽くしたギャルゲに転生したので、鬱フラグ破壊して自由に生きます【旧題】泣きゲーの世界に転生した俺は、ヒロインを攻略したくないのにモテまくるから困る――鬱展開を金と権力でねじ伏せろ――
穂積潜@12/20 新作発売!
第1話 親が死んでおっさんだと自覚したとある日
「ふう……。これで、引っ越しの整理も大体済んだか」
俺一人で暮らすには広すぎる一軒家のリビングで、そう呟く。
両親が死んでからもう、一年が経った。
証券会社勤めの俺は、それなりに多忙だ。
その忙しさにかまけて、両親の遺品整理やあれやこれやに時間をかけてしまったが、それももうすぐ終わりだ。
俺は、自宅を売って手狭なワンルームに引っ越すのだ。
これで子ども部屋おじさんも卒業という訳だ。
「これで最後だが……。このダンボールには何入れてたっけ――ああ……。こういうの、学生時代によくやったなあ。ギャルゲー」
学生時代、俺は生粋のギャルゲーマーだった。男子校出身で女子との出会いがなかった――というのは言い訳か。たとえ共学だったとしても、陰キャの俺は結局女子とは縁のない学生生活を送っていただろう。
「まとめてどっかに適当に売るか……。それにしても、懐かしい。これとか、好きだったな」
俺は、ダンボールの中から、一本のギャルゲーを拾い上げた。
そのタイトルを『曇りなき青空の下で』、通称『くもソラ』という。
くもソラは、と〇メモタイプのシミュレーションゲーではなく、選択肢を選んでストーリーを読み進める、いわゆる『紙芝居ゲー』である。内容としては、日本の田舎を舞台にした和風伝奇ホラー要素を含む泣きゲーだ。
オタクの間での知名度は今となっては低いが、当時は全くの不人気という訳でもなく、計三シリーズが発売される程度には売れた。総合的な評価としては、名作には遠く及ばず、佳作――程度な感じだろうか。
「そういや、これが初めて買ったギャルゲーだっけ」
最初は中古で安いからと言う理由で買ったゲームだったが、気がつけばはまっていた。
なんとなく懐古的な気分になった俺は、他のダンボールから時代遅れの家庭用ゲーム機を引っ張り出してきて、ギャルゲーのディスクをセットした。メモリーカードも……、よし。まだ生きてる。
俺は、冷蔵庫からビールを取り出して、ゲームを起動した。
============あとがき====================
ファンタジア文庫様に、本作『鬱ゲー転生。 知り尽くしたギャルゲに転生したので、鬱フラグ破壊して自由に生きます』の書籍版の特設ページを作って頂きました!
表紙とか諸々載ってるので、よろしければ覗いてやってください!
https://fantasiabunko.jp/special/202202utsuge/
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