「煙 短編」を含む小説

5分で読めるショートショートです。

　『源氏物語』の女三宮の視点で書いた短編です。一般的に彼女のような女性は、六条御息所同様あまり肯定的に捉えられることがありません。しかし、六条御息所の嫉妬心がまだ共感できるところ…

別れた彼が置いていった、バニラの匂いのする煙草。彼を思い出して、煙草の煙を眺める日々。 私が見つけた新しい心の拠り所は、やっぱりバニラの匂いがした。

「ハイライトは略奪者の香りなんだ。だから僕はこれを吸っている」 　セックスにトラウマを抱える高校生、僕こと沢田佑樹。僕が恋をしていたのは、前の席に座るクラスメート四ツ谷七星。…

未来のSNSとホモ・サピエンス。

千鶴は、夫を突然の事故で失った親友の沙織に頼まれて、娘の美咲を預かることになる。美咲は大人しく、不平も不満も言わずに、じっと千鶴の部屋で沙織の帰りを待っている。 大切なものを失う…

煙草と、あの人と、紺青のライター。 曇天に溶ける煙草の煙が、涙の雨を降らせるまでの、少しのお話。

「私の初恋の相手は、隠れ不良な同級生だった。名前は、緑川翔太。整った顔立ちに華奢な体つきだが、教室では寝てばかりで目立たない青年。つまり、世に言う陰キャという奴。そんな彼に私が恋…

　文芸フリーマーケット、通称文フリ。そこに狐系VTuberの「本山らの」が出ると聞き、都内某所に住む楠木は張り切って文フリへ赴いた。そして、宴もたけなわ、史上最多来場数を記念した…

終戦してもなお棚引く煙。戦争で使用された化学兵器の影響によってこの地、影沼村はとある疫病が蔓延していた。発生の頻度は高くないこの疫病の症状は『一番思い入れが強いものに殺意を抱く』…

喫煙所で知り合った森野佳代子は突然、訊いてきた。 「和美さん。今まで何人の女の子を抱きましたか？」 質問自体には慣れている和美だが相手が佳代子だったため意外に思うが 「一人や二人…

「一服ですか？」 　頭上から降ってきた声音に、男は街に落としていた眼を坂の上へと移した。 　大きな紙袋を抱えた人の影が、音も無く、滑るように石段を下りてくる。影の持ち主は小柄で華…

短編です。 ああいう煙の正体っていったい何なんでしょうね。

　道を歩いていて、ふと感じる街の香りに、昔の記憶が蘇ることはありませんか？ 焚き火の煙の匂いに彼女との出会いを思い出す。クラスでも目立たない、地味な彼女。なんの特徴もない僕は、彼…

貴方を好きになってよかったことなんて一つもなかった。 キスもしない。SEXもしない。なんもしない。 男女の友情なんてない。だからこれは友情でもない。 この関係に名前を付けるなら…

死のうとして車を走らせる僕は、ある記憶を頼りに煙草を買う。生と死の中で揺れ動く、その心に一抹の火を灯すのは、一箱500円の希望。

世界は終わった、だけど、ここに二人がいるんだから終わってない。 吹かした煙草の煙が二人を優しく包み込んでいく退廃的ハートフルコメディ。 タバコはエアプというかタバコに憧れるイ…

吐いた唾は呑めぬというものの、吐いた煙が食えない女になるとは。 電子アロマに駆逐された紙巻煙草をやめ損なった男の元に現れた美女。 特に何が起こるでもない、彼らの出会いと、そのち…