この作品の魅力を上手く説明することは、今の私にはとても出来ません。
稚拙な文章になると思います。が、それでも伝えずにいられませんでした。
大切な人に去られた女性が過去の回想を行う話となりますが、その中で繰り返し「青」と「灰」が登場するのが印象的。
それらは清濁なのか、明暗なのか、ともかく対比の関係にあります。
女性の語り口は淡々としているし、物語も静かに進みます。その中で上記の二つの色が様々に姿を変えて、人生の一片を映し出していきます。
この表現の仕方に加え、心情に合った仕草や風景の描写が秀逸で、読んでいて心地よいのです。
雲はゆっくりと、しかし着実に広がり、そして雨が降ります。
その時に彼女に去来した感情は後悔か、諦めか。
雲のように掴み所のない、しかし確実にそこにある想いを、いよいよ私は上手く表現出来ませんでした。