概要
それは煙に紛れた希望の火
死のうとして車を走らせる僕は、ある記憶を頼りに煙草を買う。生と死の中で揺れ動く、その心に一抹の火を灯すのは、一箱500円の希望。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!埃だらけの抽斗から出てきたのは、煙草の記憶。
死に場所を求めて、車を走らせる男性が主人公。日常世界で、主人公は車を運転することが救いだった。しかし今夜は違う。自殺のために車をあてもなく走らせる。そんな主人公は、ふと、自分が何故自殺を考えるまでになったのかと思い始める。どう考えても、主人公の両親の離婚が原因に思えてくる。
主人公が幼い頃、離別した両親。よく顔も覚えていなかった。一方で、父が煙草を吸っていた記憶が、鮮明に呼び起こされる。煙草を吸う父に駆け寄る幼い自分の頭を、父がそっと撫でてくれた。
自殺に向けて、生前整理もしたし、心残りもなくしてきた。しかしここで、心残りが一つだけあることに気付く。それは――。
コンビニで父と同じ銘…続きを読む