「名付け」を含む小説

ありきたりな毎日に鬱屈を吐き出す、 どこにでも居る高校生だった椎名隼人は、ある日奇妙な男と出会う。 話しているうちに意識が暗転、果てに辿り着いたのは、 知っているはずなのに何処か…

文字に寄生した生物と、彼女を助けるため３時間ごとに文字を書くと約束した小説家をえがく、短編童話。

　これは、ある母親と娘とその父親の、思いをつなぎ合わせたものである。 　ある夜生まれた赤ん坊は女の子だった。 　まだ少女だった白伊颯（さつ）が、まだ少年だった瑠璃流風（るか）との…

　その瞬間、世界はあまりにも唐突に、それまで貫いてきた己の在り方を放棄した。 　高校の入学式の当日、ひねくれ者の少年工和交輪≪くわこうわ≫は、唐突に時間が停止し、周囲にあるもの…

根の国に近い「箱庭」は、夜の世界である。 そこは朝も昼もないが、温かな安寧の闇に満ちている。 野生の椿が生い茂る屋敷に暮らす青年・長夜（ちょうや）は半身を失った日、山で女の赤ん坊…

陸地が文明と共に海底に没した世界。人々は船を住処として海上生活をしていた。 冬海は十一歳の少女。父親の入日、弟の冬馬との三人暮らし。 ある嵐の過ぎ去った夜、冬海は意識の無いまま漂…

宇宙船事業が活発化し、経済がかつてとは比較にならないほどに発展した地球。 貿易の中心地と化したそこは、魔術、超科学、怪人、怪獣となんでもアリの様相を呈していた。 それらの巻き起こ…

　機甲歴世界―そこは私達の知る地球のそれとは大きく異なった別の世界、人は宇宙に進出し、人類は守護者の意味を持つ友人を得ていた。 　だが科学の発展は同時に人類に新たな敵を生み出した…

『今度の日曜日、市街のカフェで会おう』 　小学生時代の友人はそれだけ言って、電話を切った。 　その翌日、私は新しいスマホを買った。白にほんのり黄色が混ざった優しい色合い。私はバニ…

その昔、高度な文明を築き上げ、ある日忽然とその姿を消した島があった。 四方を海に囲まれた絶海の孤島で、自然の他あらゆる物事が独自の進化を遂げた神秘の島だったという。 その名は、バ…

ある日のこと、私のもとへ１通の手紙が届く。 差出人の名前には遠山透子という見知らぬ名前が。 記憶はニューロンの発火によって活性化される。 その発火の一つに場所、状況というものが…

異能力。それはある日唐突に降った雨を浴びたことによって世界中多くの人々が宿すようになった。 今年で高校三年生の青年、植野銘人《うえの・めいと》は四月早々に生徒会長室に呼び出し…

こうして神は、巧妙に自らの足跡を隠したのです―。

戊辰戦争直後、敗者となった会津藩は六分の一以下に減封され本州の最果て、下北半島へと追いやられる。権大参事山川浩らによって斗南藩と名付けられた新たな藩で、倉本辰次郎ら元会津藩士たち…

リョウとサブ。サキとユミは同級生。ある日の下校時、子犬と出会う。彼らについてくる子犬にポスと名付け、廃屋で飼おうとするが、不安になって犬の飼い方の本を借りに図書館に行く。そこで見…

　「我輩は神である。名前はまだない」 　突如現れた全裸の少女は、自らを神だと言う。 　凄腕の傭兵として知られ《剣鬼》の異名を持つ青年と、神を自称する少女との出会いが全ての始まり…

みなみ、北斗、武、きいろ、真の五人は百年に一度の流星群を見終わった後、間近で破裂した星の光を浴びるという不思議な体験をする。 それを奇跡と確信したみなみは、自分と四人をミラク…

　両親の死をきっかけに、田舎に越して生活する万里　凪《ばんり　なぎ》は、仲の良い羽田《はた》夫婦の晩餐に招待された帰り道で、狼のような小型の犬に出会う。 　傷だらけのその犬の治療…