「幻想 短編」を含む小説

八月三十一日の夜九時、ど平日の夜遅く。 「明日夏祭りに行かない？」 俺はつい昨日のチャットを見ながら天を仰いだ。 明日になったら、空の向こうに彩花はいるのだろうか。 そんな、…

【10分あれば読み切れる幻想掌編小説】 #呟怖 を元に掌編を書きました 高い板塀に囲まれた狭い土地 周りは繁華街 なのに喧噪も届かない 静寂 傾いた墓碑が散乱する 長らく捨てら…

崩れていくクジラの体を、小さな魚たちが喜んで食んでいく。僕はそれをただ無力に見つめているしかない。クジラが真っ白な骨になるまで。

ある夏休み、ぼくはパンツを履いた。けれどそれは普段僕が履いているパンツよりひとまわり小さくて苦しかった。 そもそもなぜぼくはパンツを履いていなかったんだろう。服を着ていなかったん…

「今晩あたり、狐が降るかとおもって」 工場に勤めて漫然と日常を過ごす《僕》は、寂れた峠にひとりたたずむ女を見掛けて、おもわず声を掛ける。 彼女はひとつに結わえた髪を揺らし、振りか…

　里中希（さとなかのぞみ）の順風満帆な人生は、中学二年生の夏に終わりを迎えた。 　動かぬ左腕、失った野球の夢。 　未来の夢も希望も、人望も、家族の絆も失った彼は、一年の時を経て…

ちょっとした待ち時間でも読めるミニミニ小話。

白縫(しらぬい)ユキは、あらゆる世界線に同一の姿・連続した記憶を持って転生し続ける「永遠の転校生」。 　 ときに現代の学園に、ときに陰謀が渦巻く中世の王国に、ときにシンギュラリテ…

異世界地元民モノです。 登場人物は、主に現地の人です。地元の人です。短編・中編集で、群像劇ですので各章どこからでも読めますよ。 世界観は、TRPGっぽいファンタジーになります。 …

　夏休み。 　田舎の島から学校へ毎日通うわけにも行かない俺は、学校の近くへと下宿していた。そして夏休みは、一年間で唯一ともいえる実家に帰ることができる期間だ。 　家族に友人、そし…

包括惑星の管轄者は話し合う。伝聞する『群青圏』とはなんであるのか、それはどのようなものであるのかと。 ※幻想小説風味の掌編です。内容というよりか読後感重視のものとなっておりま…

少女、カエデは海の見える電車に乗っていた。行先は不明である。 誰もいない、何も持っていない車内。ふと気になって、彼女は車窓を覗いてみた。 甘く狂えるその窓々は、少女に何を与え、何…

生贄の少女、香月は逃亡を図るが神の怒りを買い、呪いを受ける。それは、魂を廻らせ、何度も生まれ変わっては生贄となる死よりも重いものだった。 三〇〇年後、彼女は琳香月として生まれ変わ…

　羽が生える奇病。その治療のための塔。戻ってきた人はいない。

僕は家から帰ったあとに散歩に出かけるのだが、彼女はいつも散歩先にいる。 「なんで飛んで餌を取りに行かないの」 　と僕が言うと硝子はつん、と済まして言う。「私の翼は虫けらを啄むため…

目薬をさしたいのに身体が植物になって失敗する話。

　男は今日も街を行く。彼を見る者はなく、何かをして咎める者もいない。彼はこの街に存在していないのだ。街や住人に一方的に干渉はできるが、誰しもその干渉に気づけない。傷つけられようが…

この街では一年に数度「死者」が降る。それを窓辺で眺めつづける曾祖母が「私」にかたった、幼き日の彼女と親友の物語。企画「死体が降ってきたところから始まる短編」に寄せた作品。

　メタリックに輝く青い羽を持つ熱帯の美しい蝶、モルフォ。ギリシャ語で『形態』『美』を意味し、その美しさゆえに好事家の蒐集対象になっています。その美しい蝶をモチーフとした短編小説を…

全ての男は逞しく、全ての女は美しい。 剣と魔法の異世界イリシアを舞台に偉大なる男を目指すカブリ、鉄弓のブレト。 二人の英雄が数々の脅威と怪異に立ち向かう。 基本的に一話完結型と…