「ダーク 切ない」を含む小説

　文明開化から数年。寂れた花街での物語。 　とある妓楼に明里という名の花魁がいた。ほっそりと華奢な身体と、繊細な美貌。そして今時の遊女には珍しい深い教養を持っていた。その明里の元…

「そこは、本当に不思議な街だった。朝も、昼も、夜もこない。ずっと夕焼けが広がっている……そんな場所に、俺はいたんだ」 アイコはカズトから奇妙な話を聞き、共にその不思議な世界に向…

――朝妃、お前はここにいるべきじゃない。 時折聞こえる声を辿り、訪れたのは古い神社だった。 両親の死の一週間後、父の生まれ故郷である東雲村へやって来た。 そこから全ては始ま…

幸せには必ず終わりが訪れる。 その言葉は僕へ向けて大切な女性が放った言葉だった。 だけど僕は思う。 終わりが訪れてもまた始まることもあると。 僕は人生で二人の女性を愛した。 一人…

心の病を治す為に存在するカイ族のシン。 自然と対話することのできる翔。 他人の病んだ心を治せても、自らを巣食う孤独を治そうともしないシンの力になりたいと翔は願うが、彼の想像以上…

会いたい人に会うための 青い月の奇跡のはずだった 《幾百の年に１度。碧月の約束を叶えたまえ。８つの星の名の元に。さすればどんな願いも届くだろう》 言い伝えには隠された秘密が…

『シノ』は老いることも死ぬこともない。 一体いつから彼女が生きているのかはもう誰にも分らないことだし、いつまで生きていられるのか彼女自身にすらわからない。 これは様々な時を生き、…

私はリンダ。この街の冒険者ギルドの窓口業務三十年のベテランダークエルフ。 今日もカウンターの裏で受付業務に勤しんでるあたしの元には、色々な相談事が押し寄せてくる。主に色恋沙汰だけ…

超常の力を持つ武具「霊刃」を巡る争いが繰り広げられる世界。 霊刃の使い手である少女・緋桐は初めて任務に臨み、様々な技に秀でた仲間と共に、立ち塞がる敵を突破して目的地へと辿り着く。…

「こんな姿に、好きで生まれてきた訳じゃない…」 赤い瞳と赤い髪、そして細く長い耳を持つ男の叫びは誰にも届かない。 長い間、愛されていると信じて疑わなかった両親の愛は、この姿ゆえに…

人に近い造形を持ち、エルフより素早くドワーフよりも力強い、人間とは別の種族として存在する封魔族――あるいは封魔一族。そこで産まれた少年は強大な力を持ったがゆえに、忌まれ、最愛の両…

　人間相手に殺戮と略奪を繰り返す「鬼」のいる世界。 　鬼に故郷を蹂躙されたユニは、売られた先の宿屋で、自警団長のロンと出会う。 　自警団の下働きをすることになったユニは、彼に一…

「次の王は我が秘術を得た者とする」死んだ王はそう言い残した。 それに従い秘術を得ようとする者。無視して、武力で事を成そうとする者。入り乱れた思惑と暴力で、国は荒れていった。 弟…

ふと紡いだ言の葉は、風に吹かれて自由に飛んでいく。 ばらばらになっていたルーズリーフを１つにまとめました。

人間と竜族が共存し合う弱肉強食な世界で。竜狩りのベルハートと竜狩りを狩る少年アニーが出会った時には既に、世の食物連鎖の均衡は崩れていた。憎しみ合い、殺し合う果てに生まれた究極の友…

皇国軍と反乱軍、魔物がひしめく混沌とした世界。 世界の絶対的支配権を握っていた皇国軍との熾烈な戦いにより、傭兵だった父親を喪った青年フィールカは、彼らに唯一対抗できる鋭兵を養成す…

揺蕩うように死を意識したユアの前に 現れたのは赤い瞳の黒き死神ディア。 「私と契約をしないか？」 それは〝月〟をめぐる戦いの、 幕開けだった――……。 ＋＋＋＋＋＋＋＋＋…

　記憶がなかった。何かに触れられる肉体もなかった。 　自分は何者なのか。ただわかるのは、自分は目の前の男から今生まれたばかりの、生霊だかなにかの訳の分からない存在だということだけ…