金色の眸に映る世界

作者 秋保千代子

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★★★ Excellent!!!

「次の王は、我が秘術を得た者とする」先代の王の遺言によって、王族たちが争う。強大な魔力と金の眸をもつ王族たちによって、国は荒れ、人心は荒廃していた。
金の眸を持たない桂雅は、王族が求める『鍵』をもつ娘を捕らえる。娘を凛と名付け、囲いこむ桂雅。血で血を洗う内乱の結末はーー

金の眸を持ち、魔力をもつことが王族の条件。それに対し、王の在り方を問う桂雅が印象的でした。冒頭、凛に対する態度が酷かった桂雅と、凛の気持ちが、次第に近づいていくところも。
鮮血王の治世と、この国の未来に思いを馳せる、余韻のある結末が好きです。

★★★ Excellent!!!


王位継承を巡るゴタゴタで荒れ果てた国。人々は疲弊し、平和を何よりも待ち望んでいた。
多くの者の思惑が入り乱れる中、果たして国を統一し戦乱を終わらせる者は誰か?

ファンタジーにおいて王位継承戦や、それに付け入ろうとする悪党どもは、すっかりお約束ですが。この作品は一風かわっています。
誰が主人公かを暫くの間ふせているのです。継承者とその部下たちが己の主義主張を訴えるものの、誰に感情移入するかは読者の自由。
一見主人公のように振る舞っているものが、まったく王の器でなかったり…術に長けていないはずの者が、実は優れた術者だったり。二転三転する物語は、貴方を瞬く間に異世界へと引き込む事でしょう。

その構成ゆえに三日目ぐらいまでは混乱する場面もあるかもしれませんが、なに、構わず読み進めましょう。答えは先にしっかりと用意されています。

人を意のままに動かす「王族の術」戦争に巻き込まれて悲惨な運命を辿る無辜の民。
書くべき所を一切にげずに描き切った所も素晴らしい。

理想や綺麗事だけで築ける平和などありません。血の流れない戦など有りはしません。
そうまでして王を継ぐべきは覚悟と信念を抱いた者のみ。
戦乱の時代…その意味する現実を知りたい貴方に、オススメです!

★★★ Excellent!!!

次期王位を巡って国を荒らした内乱に終結の時が近付いている。
王族は強大な魔力と金色の眸を持つものだが、桂雅の眸は青い。
また彼は、王族の血の為せる術を王の御前で披露しなかったが、
それも過去のこと。桂雅は今や玉座に手を伸ばさんとしている。

思誠は、気性の激しく力の強い桂雅が心を許す数少ない友人。
思誠のまた別の友人、羅英には最近、不審な言動が見られる。
どうやら何者かと通じているようだと思誠は感じているものの、
微妙なバランスを保ったまま友人同士の付き合いは続いている。

緊迫した情勢の中、王族が躍起になって探す『鍵』を持つ娘が
桂雅の領内に飛び込んできた。桂雅は娘を捕らえ、囲い込む。
そこへ畳み掛けるように、自ら王族を嫌悪する王子とその軍勢、
残忍で強力な王位継承権者とその軍勢が桂雅へ攻勢を掛ける。

内乱最後の10日間で繰り広げられる人間ドラマ。
登場人物のそれぞれが事情と信念を抱えながら、
死と隣り合わせで、懸命に足掻いて生きている。
王とは、人とは、如何にあるべきかを考えさせられる。

次第に本心を見せていく桂雅の弱さと人間臭さが魅力的だった。
鮮血王のその後をすっきりと魅せる終わり方が美しくて好き。


(欲を言えば、倍のサイズで描くにも耐えられるボリュームのシナリオだったと思うので、もっとたくさん読みたかったです)