「漂う」を含む小説

サンタとなった彼女は、笑顔で「メリークリスマス」と言った。僕はその笑顔だけで、一日分のクリスマスプレゼントをもらった気がした――。クリスマスイブであることをすっかり忘れていた僕は…

NASAが2006年に打ち上げたニュー・ホライズンズ。人類初となる冥王星の観測という偉業を成し遂げ、さらにその先である深宇宙の探索に向かっていた。新たな目標として選ばれたのは、カ…

少年は、街の外れで不思議な扉を見つける。 その扉を潜ると、夜の街が広がっていた。 見たことあるような、ないような、どこか懐かしいけど胸が締め付けられる街並み。 しかし、そこで生活…

「ちょっと、先輩。ゆるふわって何ですか」 「要するに、オチがユルいってイミやな」 「ああ、ヤマもオチもイミもないっていう」 「そら男二人メインのヤツで、絶対いうたらあかん言葉や」…

昭和23年3月初め、新宿歌舞伎町で探偵事務所を営む横山愼也の元に、一本の電話が入る。 相手は元同僚にして、現在は横須賀に隠遁する便利屋だった。 彼から不可解な依頼を受け、横山は…

日常から逃避行する先は、エメラルドグリーンの澄んだ海と、緑濃い熱帯雨林の森を育む沖縄諸島。水底に沈んだり、丘陵に佇んだり。ただそれだけで、心が息を吹き返す場所。 「南国の青い海…

夫から愛を失って自死を遂げ、しかしあの世にはいけず霊魂として漂う女が、夫に向ける愛憎と呪いの言葉。

深夜になると強制的に異世界転移してしまう男子高校生、希下月啓吾（きげつき けいご）は舞踏会襲撃事件の調査を依頼された『平穏』の二つ名を持つ美しき女魔術師、マルレラと共に事件の謎を…

だだっ広く何も見えない宇宙空間に浮いている私は想像の他人に教えるようにふざけた様相を保った独り言を想う。 感情も思考も意味を製する為には他人と出会わなければならない。そんなことを…

パン屋に通う青年の、本当に淡い恋（？）のお話です。 かなり短い短編小説なので、お気軽にどうぞ。 あ、初投稿小説です。

自分の体に戻れなくなったお姫様と、そのお姫様の体に宿ってしまった男のお話です。 エブリスタ様に載せているものをちょびちょび修正しながらちょびちょび載せていこうと思います。

妄執と断じて良かったのだろうか。 ある女性の語る、黴の匂いが漂う話。 曰く付きの能面、河童の腕、小鬼の木乃伊。 父親の趣味が引き寄せた最後の物品は、彼女に何をもたらしたのか。 …

僕はいつものように公園のベンチで読書をしていた。それは鏡の世界に入り込んだように、静けさ漂う場所だった。そうして読書をしていると、本当に時が止まって、中から物語の風が吹き込んでき…

私は誰もいなくなった喫茶店のテラスで、ある人を待ち続けていた。そこに漂う寒気が私の肌を突き刺し、心を切りつけてくる。そんな時、店員の女性が現れ、こう言った。「コーヒーでもいかがで…

深海へ、空に散った同志たちの遺物を集めるために―――。 西暦2700年代。地球はもはや死の星となり、人々は新たな星を求めて宇宙へ旅立った。はじめ人類は地球を出て広い宇宙を旅するこ…

病んでる私は闇に漂う

「ユーリの心臓　Lost heart for the world」に漂う、重苦しい雰囲気に耐え兼ねた作者が、どうにかそれを解決しようと捻りだした策は、そのパロディや小ネタを乗せた…

４００文字小説を数作まとめています。 【紹介】 人物描写でフワリとかすかに漂う物語を。 ※自主企画「４００字からの人物描写コンテスト」参加作品 ※この作品は「うつろ偽譚～短編…

古いお屋敷を漂うという「人魂」の正体を突き止めようとした俺は……？

「大事な話があるんだけど、明日あたり会えない？」 彼女からそんな連絡がきたのは、昨晩のことだった。 煙草から漂う、チャイを思わせる独特の甘い匂いに包まれた部屋で、彼女は僕に告げる…