呪詛
しゃくさんしん
呪詛
あなたはどうしてわたしとともに死んでくれなかったのですか。おかげでいつからとなくいつまでとなく、この世ともあの世ともつかぬところに、たった一人でふわふわ漂ってばかりいます。靄のなかをさまようようなこの曖昧な永遠さえも、あなたと二人きりならば楽しいのでしょうけれど、孤独に過ごしていてはどうしようもありません。もしかしてあなたは死後の世界というのがこういうものと知っていたのではないですか。それでこのような旅をわたしとするが嫌でわたし一人を死なせたのではないですか。そんなはずはないと願いたいですけれど、あなたから受けたいくつもの冷酷な仕打ちが甘い夢も許してくれません。ですのにやはりあなたの愛を祈らずにいられないとはなんとかなしいことでしょう。惚れたが敗けだなんて言葉をいつも、自分には縁遠い激しい感情と少女のように怖れたりあこがれたりしていたわたしですのに。こんな無様な想いに憑かれることが女になるということならば、いっそ男に生まれたかったぐらいです。男で生まれればあなたを愛さずにも済み、友人としてあなたの傍にいられたことですのに。あなたの数々の女との戯れも笑っていられたことですのに。しかし生まれ変わりというのもまた夢だとわたしは知ってしまいました。
わたしの死顔をあなたは覚えてくれていますか。きっとお忘れでしょう。あなたがそういう人でなければわたしもこんな惨めな目には遭わずにいられたのですから。しかしわたしは、わたしの死顔をはじめに見たあなたの顔というのを、はっきりと覚えています。冷然とこちらを見下ろす、ガラスの彫像のようなあなたの眼差しは、わたしの魂にまで焼きついていてふとした折にはっきりとあらわれます。そのたびに、いまや肉体のないわたしですけど、数万本の針で全身の肌を隈なく突き刺されるような痛みを感じるのです。
あなたの記憶に美しく残ろうと、死体の綺麗だと聞く、薬の自死をわたしは選びました。化粧も丁寧にしました。今から死ぬと分かっていて、それでも化粧をする時のくるしみがあなたに分かりますか。流れる涙で化粧は何度も崩れて、涙が枯れてからようやく死の準備が済むともうすっかり夜は更けていした。あなたが帰ってくるのはいつもお昼ですからまだ焦らなくて良いとわたしは安堵しました。あなたがどこかで誰かに寄り添われている、そのことにいつものようにどうしようもなくそわそわしながら、しかしあの夜だけは微かにほっとしてしまいました。
薬は効き目が早いので、朝の予兆が空に訪れてから飲むときめていました。あなたの心が変わる奇跡を、最後の最後まで祈っているのでもありました。
心細い夜でした。眠っている間に汗で化粧が浮かぬように、寝室の暖房は消していましたから、冬の夜の冷え冷えとした空気が身体の芯にまで沁み込むようでした。時折、悪魔の冷笑のように風がひゅうと鳴るのみで、もう死んだのかと疑うほどひっそりとしていました。何度も何度も、自殺などやめてしまおうかと思いました。あの夜、あなたがはやく帰ってきてくれれば、それが偶然の気まぐれでも、わたしは死ななかったでしょう。死なずに済んだというべきか、死ねなかったというべきか……。
空が白みはじめる頃になって、しかしわたしは、すんなりと薬を飲みました。思いがけなかったことに、とても静かな心でした。夜が薄らぐのをぼんやり眺めながらわたしは、その時、あなたがわたしをあの世まで追いかけてくれるという夢をふと浮かべたのです。不意に浮かんだこの夢が、わたしを死へ軽やかに飛び立たせたのでした。わたしは、奇跡は起こらずあなたがやはりあなただったというかなしみより、あなたがわたしの後を追って死んでくれるだろうという幻で明るい気持ちになりました。わたしは新しい希望に、死ぬことが嬉しくなりました。わたしの綺麗に彩った死顔を見て、あなたは慟哭し、悔い改めて、わたしと同じように薬を飲んで死ぬ、そんな物語をわたしは本当に信じたのです。わたしは最期まで、いいえ現世を離れた今でさえ、あなたを諦められませんでした。あなたはお笑いになるでしょうね。それともわたしの愛なんて、笑うにも値しない鬱陶しいものでしょうか。そのほうがあなたらしい冷たさです。後を追って死んでくれることでしか愛を信じられなくなった女を、そんな悲惨な幻想にすがるしかない女を、あなたのような人は憐れんでもくれないのでしょう。
あなたの残酷さは、一体誰の罪なのでしょう。わたしはあなたが接吻の一つもしてくれなくなった頃にずいぶんと懊悩したものです。知らぬ間にわたしの身体か心かに傷がついたのかしらと思ってあなたに謝りたくて、しかしなにを謝ればよいのかもわからなくて、そんな自分がまたあなたにとても悪いようなのでした。その頃は毎夜のように泣きながらなぜ泣いているのかも分からなくなって、ほとんど赤ん坊のようになってしまっていました。
いつまでもそうして泣き暮れていれば、あなたもいじらしく思ってくれたのでしょうか。しかしその頃のわたしがわたし自身を責めたのは、あなたが人でなしと知らなかったからです。わたしがわたしを責めながらあなたをも深く怨むようになったのは、他ならぬあなたのせいではありませんか。恥を堪えて手を伸ばしたのに一つの言葉さえなしに拒まれたり、女の甘い匂いを隠そうともせず染み付かせた服を毎日のように洗わされて……そんな毎日のなかで暗い想いに狂わずにいられる人がいましょうか。あなたは怨めば怨むほどわたしを気狂いのように見て鬱陶しがりましたけれど、ならばわたしはどうすればよかったのでしょうか。もしもあなたがわたしという女を醜くお思いになるならば、それはあなたの過ちでもあるのです。少なくともあなたに初めてお目にかかった時はわたしはこのように澱んだ女ではありませんでしたでしょう。わたしを陰鬱にしたのはわたしのみならずあなたでもあるのです。
幼いわたしは母の腕に抱かれながら、めったに泣かない子でありました。こんな風に言うと、生きる力を奪われるほど両親に甘やかされて育ったわたしが、母から聞いた甘い思い出話を真に受けていると思われるかもしれません。しかしそれは間違いです。わたしは、わたしが泣かぬ赤ん坊だったのを、自分で覚えているのですから。
わたしは赤ん坊が泣くのを見ると、とても不思議に思います。赤ん坊の顔を覗き込むときに、翳のかかった眼をする人はいませんのに。それでも泣くのがよく分からないのです。わたしは大人たちに見守られて、いつも興味津々にその人たちの顔を見つめ返していました。わたしは生まれつき楽天家でした。大人たちを、私を取り囲む世界をわけもわからず眺めながら、生きていることが爽やかでたまらなかったのでした。
大きくなってからも、わたしは両親のおかげで、まるでけがれのない一人娘でした。かわりに人生をなにも知りませんでしたけれど、今思えば、あの退屈こそ幸福だったのかもしれません。
かつてわたしには、二つの謎がありました。それは愛と怨みでした。母ととても仲の良かったわたしですけれど、その母を妖怪のように禍々しく感じることが時々あり、それは母が父を前にして露わに女となる瞬間でした。もちろん母も一人娘に底なしの愛を注いでくれる親らしい親でしたから、いつもそうというわけではないのですけれど、例えばある朝わたしを起こしてくれる時の長い髪の崩れや潤いに、わたしは常ならぬ艶やかな匂いを敏感に感じ取ったりしました。そういう朝はわたしはむずがってなかなかベッドを出ませんでした。天窓から朝の光の溢れるダイニングで、男である父と女である母と三人で朝食を食べることが怖ろしく歪んだことに思えて、わたしの心を重苦しくするのでした。そういう朝を何度も経るうちにいつしかわたしは、母が父を玄関から見送る時の接吻にすら、すっと目を逸らすようになりました。
父は滅多にお酒を飲まない人でしたけれど、珍しく酔っ払って帰る日はいつも別人のように荒れていました。わたしは部屋のベッドで息を殺しながら、リビングで父の遅い帰りを待っているであろう母の小さな背中が脳裏に浮かんで、身体の血がぐるぐると逆さに流れていくように不快でした。あの人はわたしの母で、わたしにはあの人の血が流れていて、そしてわたしはあの人と同じ女で……そんな風に思い巡っていると不安でもありました。母も自分も可哀想な生きものと思えました。眠ろう、眠ろうとかたく目を瞑りながら、わたしは大人になるとどうなってしまうのだろうと暗い想像に憂鬱になるより仕方ありませんでした。父が帰ってくると、普段ならとても聞くことのない二人の激しい声が漏れ聞こえてきます。わたしは瞼の破れそうなまでに瞑った目に力を込めながら、震える手を自分で握り締めていました。そんなわたしも、あの頃の想像が現実になったようにあなたに振り回され、今ではすっかり母よりひどいものです。
はじめてお目にかかった夜にあなたにすべてを奪われて、それをかなしんだり怨むより無邪気によろこんだのがいけなかったのでしょうか。その時からわたしの転落があったのでしょうか。わたしはあなたに服を選んでもらうのが好きでした。激しい眠りに無理に引きずり込まれるのが好きでした。住む家や、部屋の彩りや、毎日の夕食や、言葉や身のこなしや、なにもかもあなたに縛られるのが好きでした。あなたがわたしを淋しい自由に投げ込んでからはじめて怨みに憑りつかれるというのは、考えてみれば母など比べるべくもない醜いことかもしれません。しかしわたしはこうなりたくてなったのではなくて、知らぬ間に流れ流れてこのようになり果てただけです。わたしにどうすることができたのでしょう。
ああ、かつてのような息の詰まるほどの抱擁を、偽りでも一度さえしてくださればわたしはこのようにうらぶれずにいられたのです。あなたはいつもわたしを騙し、世の中の女たちを道草を踏みつけるように弄んでいるくせに、どうしてそのようなやさしい嘘だけはついてくれないのでしょう。いいえ、抱擁さえもいらないのです。わたしが最も愛しく思い出すあなたは、抱きしめてくれるあなたではなく、はじめてお目にかかった日の翌朝の、あなたなのですから。
わたしの死顔を見つめる眼をいつまでも忘れられないように、あの朝の、車の助手席からこっそり眺めていたあなたの姿もわたしから離れません。そのためにわたしはあなたを諦められないのかもしれないと思うと、あのあなたの姿を想い浮かべる幸せは、よろこぶべきかにくむべきか分からなくなります。愛することが幸せでないというのは、愛することが怨むことであるというのは、もっともかなしいことかもしれません。
大きなビルばかりが立ち並び、そのガラスに朝の陽光が撥ねてきらきらしていて、わたしの目を驚かせました。それにあなたの運転は荒くて、わたしはおっかなびっくりで他の車とぶつかりそうになるたびに目を瞑ったりしながら、それでもどこかわくわくして首を犬の尻尾みたいにあちらこちらに振りながら外を見ていました。
そうです、わたしは心の底で、わくわくしていたのです。眠りから覚めてから、わたしはずっと想っていたのです。昨夜にすべてをあなたに奪われて、わたしの守るともなく守ってきた純潔が散らされたことを。そのよろこびに魂をふるわせていたのです。わたしは純潔を放り投げて、いいえ、むしり取られて、かわりに空虚になったわたしのなかにあなたが入ってくるのを感じました。そのみずみずしい快感が芽生えたのは、朝陽にぼんやり明るいホテルの部屋で、隣に眠るあなたの静かな寝顔を見るともなく見ている時のことでした。自然と、しんなり湧き上がってきたのでした。わたしはあなたの逞しい胸や硬い髪をそっと撫でながら、けがされたわたしのなかに満ちるあなたに、安らかにひたっていました。男に寄り添うしかない女という生きもののよろこびを感じました。そのよろこびはわたしを芯まで染めて、ホテルを出て車の助手席に黙って座っていても、妙にそわそわするのでした。
そのようにして、わたしが昨日までとは別世界のような光り輝く街の風景に目をやっていると、あなたが急に、仰ったのでした。俺はお前と結婚することに決めたから、お前もそのつもりでいろ。この言葉と声もまたわたしの忘れられぬものです。このことぐらいは、さすがのあなたでも覚えているでしょうか。それともわたしのような荷物を抱える暗い記憶として封じてしまいましたでしょうか。
わたしは花が開くように頭のなかがぱっと白くなって、答えるかわりに、あなたの方を振り返りました。あなたはなにも言っていないかのようにまっすぐ前を見据えていて、形の良い鼻と薄い唇とが、陽の光を浴びてはっきり明るんでいました。そのすっきりした横顔をしばらく見つめていると、わたしはどうしてしまったのか、声を上げて笑いながら、手を伸ばしてハンドルを握りぐるりと回しました。
四方八方からけたたましいクラクションの音が鳴り響きました。それでもわたしはなんだか可笑しくてハンドルを回し続けていると、あなたはわたしと同じように爽やかに笑いながら、私の手の上に大きな手を覆い被せて、二人の手でハンドルを操って、車と車との間を巧みにすり抜けていくのでした。あの時のわたしは、あなたの目にどのように映っていたのでしょうか。少しは美しく輝いていたのでしょうか。しかしもしそうだとしても、今ではあなたは飽き飽きしたわたしのことなど愛しく思い出してはくれないのでしょうね。
あの幸福な朝を思い出していると、いつもそれにつられて、不幸な朝も浮かび上がってきてしまいます。幸福だけを思い出せたらどれだけいいかと思いながら、どうしようもありません。その朝はあなたの知らない朝です。どうにもあなただけがきまって不幸をかわし、わたしばかりが不幸であるような気がします。
あなたが帰って来ないので眠れず、不眠の頭でぼんやりしながらリビングにいると、見知らぬ女が突然やって来たのでした。聞くとあなたに遊ばれた者だと言って、どう調べたのか分かりませんけれど家を訪れたのでした。どことなく上品な感じのする方で、あなたが弄ぶのに好みそうな人でした。
彼女はあなたの妻であるわたしに、謝りたいようには見えませんでしたけれど、怒りを抱いているようにも見えませんでした。ただただ憔悴しているようで、わたしは戸惑いながらも、なんとなく家へ上げてしまいました。
どうして来たのか聞くと、彼女は、どうしてでしょう、とぽつりと呟いて、他人事のように首を傾げました。困惑していると彼女は、なら奥さんはどうしてわたしを追い返さないのですか、と聞き返してきました。詰問ではなく、どこか不思議に親しげで、力ない口ぶりでした。わたしも首を傾げて黙り込むより仕方ありませんでした。
出したお茶を無言で一口二口飲むと、彼女はぽそぽそと話しはじめました。あなたが色々な妖しい行為を自分に強いるとか、昔は部屋へ来る時には必ず季節の花を束にして持ってきてくれたのに最近はたまに来てもそれがないとか、あなたの愚痴を話すのでした。男の愛人が男の妻へこういうことを普通話すものだろうか、それも友人に話すような親しい露骨さで……わたしはそんなことを考えましたけれど、眠っていないせいで頭がぼんやりしていましたしなにがなにと分からなくて、ただ感情の移ろうままに任せるしかなく、気がつくとわたしまであなたのことを話していました。近頃あの人は昼になるまで帰ってこない、とわたしが言うと彼女が、わたしの方には時々夕方に来るけれど夜には出ていく、どこに行くのか尋ねると女のところだと隠しもしない、と言うのでした。そんな風にしてわたしと彼女は気軽にあなたのことを話しました。段々と友人というよりも深い親しみが胸に広がってきました。姉か妹がいればこんなだろうかとさえ思いました。同じ人に惚れ、同じ人に弄ばれたということがにくしみよりも親しさを誘うのに、わたしは驚きながらも、彼女と夜のことさえ微笑んで話したのでした。
小さな声で、時に目尻を拭いながらあなたのことを話す彼女を見ているうちに、あんな男に騙されて可哀想にという言葉が、わたしの胸にふと浮かびました。これは親しみの生まれたことよりわたしを驚かせました。あなたを突き放すような眼が自分にあるのに驚いたのです。わたしはもはやあなたを美しいとも好ましいとも感じていないわたしを見つけました。あなたの愚痴を話しながらあなたから離れられぬのであろう彼女に、ささやかな軽蔑と憐憫さえ抱きました。
彼女はしばらく話すと、すっきりしたように、奥さんはいいひとですねと噛み締めるように言って、去っていきました。その後ろ姿を見送ってからリビングに戻りますと、彼女の飲み干したグラスが、テーブルの上にありました。それが目に入った途端、今度はにわかに、顔の火照るような惨めな恥と怒りとかふつふつと湧きあがるのでした。
わたしはついさっきまでのわたしが堪えがたく嫌になってくるのでした。軽蔑と憐憫とはわたしにこそ向けるものと知りながらそれを知らずにいようとして、彼女と一緒になって、自分に向けるべき目をあなたへ逸らしたのではないかと疑いました。彼女もわたしへと軽蔑と憐憫を向けていたのかと思い巡ると、彼女の醜さがまざまざと感じられてきました。しかしそれもまた、あなたへの怨みを今度は彼女へとすり替えているのかしら、そんな風に思うとわたしは嫉妬にさえ白けてしまうのでした。美しいとも好ましいとも思わぬあなたに鬼のように執着しながら、怨むべきあなたや彼女を怨むことさえままならないかなしみで、わたしは息がつまるようでした。わたしはわたしの醜さで激しい嫌悪に胸の奥が灼けるようになりながら、ますますあなたへの怨みばかりつのるのでした。怨めしい。怨めしい。そればかりで、それだけでした。なにもかもをあなたのせいにしたい気分でした。それでいてやはり、あなたの帰ってくるまで眠れず、そして帰ってきたあなたの表情のない顔を見て怨み言の一つも吐き出せないのでした。
わたしは憎悪の瞬間も愛の瞬間も忘れられない女だから、死んでもなおいつまでも漂っているのでしょうか。
こうしていると現世のあなたが時折ぼんやりと感じられてきます。あなたがどこでなにをしているのか、見るとも聞くともなくぼんやり感じられてくることがあります。あなたが他の女に寄りかからせているのを感じたりすると、潔く死んでしまいたいようでもあり、どうしても死にきれないようでもあります。
どれほどの年月わたしはこうしていて、あなたに怨みを念じているのでしょう。しかしわたしにはもう、これよりほかになにもないのです。
あなたの女たちの死を、いつもいつも祈っています。もちろんあなたが新しく妻に迎えた女もです。彼女の死を殊に祈りがちです。あなたがどれだけ他所で遊んでも妻という場所はわたしだけのものだったからでしょうか。あなたには妻であるかないかなどどうでもいいことなのでしょうけれど、わたしはやはり妻というのは他とは全く別だったのだと信じ込みたいのかもしれません。わたしの祈りが通じて彼女が死ねば、わたしの信仰は幻想でなくなるような気がします。
それが叶えばあなたはまた他の女を貰うでしょうけれど、その女も必ず死へ引き摺りこみます。あなたが女を何人変えてもそのたびに何度でもわたしは呪います。そうしていつしかあなたがわたしを思い出して、わたしの愛も怨みも心いっぱいに通じて、そしてあなたは後を追ってきてくれる、そう信じています。馬鹿々々しいと自分でも思えるのですけれど、わたしを慰めてくれる夢は、もはやこれだけになってしまいました。
呪詛 しゃくさんしん @tanibayashi
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