しゃくさんしん

300字にも満たない小説。 半透明の、壊れた、皮膚としての、無風の、とても小さな破片。

折に触れるエッセイ。

かつて、絶望に馴れさえした女に、ともに生きようと贈った首飾り。 やがて、終局の後に巡り会った、同じ首飾りをする娼婦。

写生。首吊りがあった樹を見つめる少女。

顔を洗い続ける父の背中。行旅死亡人の情報が映し出される液晶画面。円陣の中に正座する少女。

細やかに私の引越しを手伝ってくれる男。 アウトレットモールで咲く花に生まれ変わりたいと夢見た男。 二人へ投げ出した「どこでもいい」という言葉。

古写真の匂い。マジックミラーの向こうの女。不能のからだ。老母の白い髪。

ささやかな習慣、かつての男たち、ハムスターの骸。掌編。

見知らぬ者から遺書が届く話。掌編。 心無い渇いた境へ入り美しいものを眺めていたい一心で、散文を書いています。

エントリーが10作を下回ったため開催を見送らせていただきます。ご参加いただいた皆様、誠に申し訳ございません。

彼は孕んだ女とともに、車を走らせる。死に場所を探して。街を、山を。やがて、団地へ帰るような気がしながら。

東京の高校に通う僕は、空虚な生活に倦み疲れて、夏休みに思いつきで旅に出る。 なんとなく降り立った田舎の村、宿泊のため訪れた宿で、僕は美しい双子の少女に出会う。 褐色の肌が眩く…

やさしい笑みをもつ女を、男は発作のように殺した。死体は、浮浪者たちの町に捨てた。 しかしそれは、数時間と経たぬうちに、ほんの少し目を離したその間に、忽然と消え失せる。 彼女はどこ…

ある朝、夢から覚めると、掌に唇がうまれていた少女のお話。

私は、少年の頃に身を重ねた菜緒と、再会した。彼女は数年のあいだに、明かりを失い、不感となり、腹に傷を抱え、夜の底に身を堕としていた。 私は菜緒のむなしい美しさへと、なにもかもを…

とある花街では、毎年夏になると、子どもたちのだんじり祭りがある。 遊郭の立ち並ぶ一帯をだんじりが過ぎて行き、子どもたちの無垢な祈りの声が娼婦たちに捧げられるのだ。

初恋の相手であるリュウくんの死を、いつまでも受け入れられないでいる裕美は、果てしない寂しさから幾人もの男たちと幾度もの夜に溺れてゆく。リュウくんの姿がふっと目の前を過る、その一瞬…

身を売る女たちがさまよう街、日本のどこかにある【まのいし松里】を舞台にした、連作ショートショート集。 夜の底に沈む枯れた花弁たちへ、なけなしの愛を込めて。 【各話のあらすじ…

とある郊外にある『香南丘団地』の、おだやかな日常を描く、連作ショートショート集。 郊外と団地の微睡むような退屈を愛する、すべての人に贈ります。 【各話のあらすじは、それぞれ冒…

「私は触れられない。いつも触れられない。私はいつまでも何にも触れられそうにない。」 道行く美しい女がいると、貪るように見つめ、その人生を夢想せずにはいられぬ男、彼の怠惰で病的な…

私の夫が、少女と心中をした。他人を愛することを知らないような、冷たい人だった。夫だけが死んで、少女は生き残った。 そんな彼女が、夫の葬儀にあらわれた。

美しいストリップ嬢がショーの上演中に凶漢の刃に倒れた。凄惨にして絢爛たる死体を目の当たりにした者たちの胸に渦巻く想いとは。現場に駆けつけた警察官、女の熱狂的な客であった男、情夫に…

親のない千穂と杏奈の姉妹は、物心つくより前から別の家に育ち、本当にかなしい時にだけ会って慰め合う。 姉の千穂が、四度目の死産のため、妹の暮らす海の傍の家を訪れる。 孤独とかなし…

小説の取材のために、男は彼岸花の咲き乱れる寒村の、即身仏を安置する寺を訪れた。その夜、古びた宿に泊まり、少女娼婦を買う。 彼岸花に秘められた村の妖しい過去と、少女娼婦の哀切な童謡…

男は同窓会で再会した過去の女と、一夜を共にする。その翌朝、彼女の幼い娘と出会う。彼は娘にねだられて、春空の陽だまりにほのぼのとした牧場を訪れる。

男は旅に出た南の土地で、海へ跳び込む美しい少女を目にする。

病院の患者たちや、森の美しい風景を、えりなが綴った三通の手紙。（『白い森から』『雨の光から』『虹の淵から』） 父、孝雄の病院への訪問。（『湖の空にて』）

少女は毎朝、校舎裏の薔薇園をのぞく。 そこでは、美しい双子が、退廃の遊戯に耽っているから……。

夫から愛を失って自死を遂げ、しかしあの世にはいけず霊魂として漂う女が、夫に向ける愛憎と呪いの言葉。

少女の頃から売春婦として生きてきたゆりなは、いつものように気まぐれに流されて、急に仕事をやめてしまう。そんな彼女を、売春婦ばかり撮って遊んでいる坂本が、「投げ込み寺」である浄閑寺…

幼い頃からいつも、男を惹きつけ弄ばれ踏み躙られて生きてきた、そんな女について。

太古の貧しき小さな村、処女の生命が神へと捧げられる。 今年の生贄に選ばれたシホを取り囲む、穢れた者たちの胸の内とは……。