心地よい文章に、子供らの溌剌とした声の響き。 大人になれば、どうにもならない汚い部分が出てきてしまう。 色町には、その汚れのようなものを抱えた人たちが多く行き交う。 ノスタルジックで美しい描写と登場人物たちの胸をかきむしりたくなるようなもどかしさ。 きつい名酒のように、酔ってしまいそうな作品です。 おすすめです。
無垢と性欲の交差点。いたいけな祈りが、薄汚れた過去を洗い、静かな懐古への憧憬を湧き起こす。香澄と小春の交流の場面は純朴さが際立っていた。媚びのための化粧を子供に見せることへ、忸怩を覚える香澄の心理が好い。