「雨粒」を含む小説

　降りゆく雨。燃える恋心。 　同級生の彼に恋をしている、ひかえめな高校生。彼女は、雨の降るある日、不思議な魔法を手にいれてしまう。それは、雨の粒から、どこからでも、自分の思い描く…

　一粒の雨が……落ちてきた。 　それは澄み切った闇に波紋を広げる。最初は小さく徐々に大きく。 　その一粒を合図に、雨はどんどん降り注いだ。静寂を守っていた闇は、雨粒にかき乱されて…

梅雨の時期を思い出して、 まだ傘が開いてないのに軒下から足を踏み出してしまったあのとき、を綴りました

大河の最初の一滴は源流に雨粒が地に落ちて始まる。人生もこれに似て母から生まれ落ちて始まる。その源流は荒野を彷徨う迷い川のようにその流れを変えゆく。それはそのまま事故か事件か見定め…

　自主企画「筆致は物語を超えるか」【空に走る】用に書いたものです。 　同じプロットでどういった違う物語が生まれるか、という企画なので私の物語での骨組みを書いておきます。 　序盤…

　言葉の綾で、紡いだ糸。 　細くて、短くて、不安定な。 　触れたら壊れてしまいそうなその糸は、天と地を繋げ、心と心を通わせる。 　 　 　 　

　そいつらは、きまって雨の日に現れる……。 　中国語で「鬼」は、オニではなく幽霊の意。 　梅雨という日本の雨季に、そんな「鬼」と鬼ごっこ……。 　雨粒と雨音に視覚と聴覚を奪われ…

人生生きてきて面白かったこと。役には立たないけど知っておいたら人生が少しだけハッピーになる話をまとめています。

大晦日、実家に帰り、正月を過ごす大学3年生。東京より寒く曇天が続く田舎の地元は、とても寡黙で、しかしほんのりあたたかいところでした――。

或る男と、通りすがりの彼の物語。

３ 「う……ん…………あ……れ、此処……は？」 　仰向けで倒れていた私の視界を支配していたのは辺り一面の霧だった。 　ゆっくりと身体を起こしてみるも、まだはっきりとしない頭と、…

愛に溺れた私と、完璧過ぎる彼女との日常を切り取った１ページ。 梅雨。私にとって幸福でいっぱいなのだ。

その日、彼女は現れた。 その姿言葉に、何かしらの美しさと悲しさを感じた。 彼女は、今も見守ってくれているだろうか。 『○○の一コマ』の短編『ある雨の日の僕が見た一コマ』を短編…

　一台の車が水溜まりを弾いた。 　バス停のベンチ。それを覆う屋根の上で、踊り跳ねる雨粒が子気味の良いリズムを奏でていた。 　――やっぱり、雨は嫌い。 　六月のとある日。僕が…

　この水滴は雨粒なのだろう。晴れているのに降ってくる。天気雨だ。 　藤の花房が、風にゆらぐ。ゆらめく花の落とす影が、地で踊る。藤棚を透かし、絡み這う蔦葉をすり抜けた陽が、まばゆく…

僕が好きになった人は、写真部副部長の先輩でした。 みずみゆうみ様主催の自主企画「桜色の雨粒、てのひらに浮かべて」用に書き下ろしてみました。

雨が好きだ。屋根の下にいるだけで、わたしは確かに守られている。雨粒に濡らされるだけで、戦っているような気分になれる。雨はいい。

一人で泣けない人のところに現れる「降らし屋」がいる。 降らし屋は雨を連れて現れ、言葉を紡ぐ。張りつめた心にしとしとと雨粒が染み込んでいくように。

雨をテーマにした掌編集。 全11話。