雨粒にうつる恋
桜野 叶う
雨の中の
ほおがほんのりあつい。
あつい。メラメラの炎がうまれるほどの熱い
その相手とは、彼女のかよう高校の同級生、
楚愛は、下を向いて歩いていた。顔をあげていると、はく息に心の内に
でも、下ばっかり向いていると呼吸が浅くなり苦しくなる。楚愛は、まっすぐに前を向いて、鼻でいっぱいに息をすう。そして、いっぱいに息をはく。それをくりかえす。
すると、彼女のまわりには、球体がちらほら浮かんでいた。それは、水でできた透きとおる球体だった。
見上げた楚愛は、少しこの目をうたがってしまった。これは、この世でおこることではなかった。ただ、幻想的で美しい。
水の球体が浮いているかわりに、雨は
楚愛の目の前に、ひとつの球体がおりてきた。まるで、楚愛にふれてほしがっていたかのように。楚愛は、それにこたえるかのように、その球体に手のひら全面で球体におおいかぶせた。楚愛の手は、そのまま
ひらいたままの楚愛の手は、ゆっくりととじていく。こんどはその手に吸いこまれるように球体が消えていった。こぶしをぎゅっとにぎって球体も完全に消えはてた。
楚愛は両手をくみ、球体をえがくように
楽しくなった楚愛は、ポン、ポン、ポン、とテンポよく球体たちをうみだす。
うみだした球体たちをみてみると、そこには意中の
楚愛はぎょっとして、
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