「言葉へ」を含む小説

私は深夜の散歩が好き。毎日は仕事の関係で無理だから週末だけだけど。 いつものように家の近くにある土手の遊歩道を、今日は川上へ向けて歩く。 するとそこにはうずくまる影が一つ。近づい…

エジプトへ侵攻するペルシャ軍のなかに、パリスカスという武将がいた。彼は、エジプト人の捕虜が話しているのが耳に入った拍子に、自らがエジプトの言葉を理解できることに気付く。やがて、木…

夜道へ出向いた男と、それを不審に思う恋人。 とあるカップルの、たった数分の通話劇。 すれ違いも、繋がりも、照らし出せるのは、言葉だけ。 それは誰もの闇夜を導く、街灯という名のスポ…

外では自分を殺して、偽りの自分を演じているくるみ。ある日等身大の自分のCuuとしてRに出会う。Cuuにとっていなくてはならない存在となったRはある夏の日『風がなびいて桜がきれいに…

冬の日のふと目についた風景を言葉にしてみました。

　はやく帰って、はやく寝たい私に、 「もう少し」 　と、宣幸は言う。 　楽しそうに歩く宣幸に渋々ついて行きながら、もう何年になるだろうと思う。 　付き合って一年で同棲に踏み切…

お題「深夜の散歩で起きた出来事」 「君、厭な死に方するよ」 道端の占い師が、僕の方を見てぼそっと呟いた。 深夜、いるはずのない占い師の言葉に僕は思わず足を留めた。 これは深夜の…

「……ねえ、親には今夜は真紀の家に泊まって来るって言ってるの。だから……」。この言葉で始まった彼女との深夜のお散歩デート。目的地は、もちろん自分の住むアパート。無論、やることは一…

私、四宮華鈴（しのみやかりん）は十四歳の中学生だ。 私は仲良しの女の子たちから可愛いルックスだとたまに言われる。 自分ではそんなことより頑張っている勉強を誉めて欲しいのに……。 …

　この世界のどこかに話さなければ出られない部屋という、自身の意思を持つ部屋があった。 　その部屋は、通常ならば、話すことのできる人ならば、簡単に脱出できる部屋だ。 　部屋は、こ…

第24回ルビー小説大賞B評価を頂きました。 〈あらすじ〉絶海の孤島。水の医神エンディリアムを祀る医療神殿ルエンカーナ。島全体が白銀の建物の集合体《神殿》によって形作られ、彼らの不…

27歳になるなる無名の人形師、ヨルは悩みを抱えていた。 それはきっと、クリエイターを目指す者なら誰しもが通る道でありいつかはどうにかしないといけないもの。 けれど彼女の師匠──リ…

何となく育ち、何となく高校を選び、何となく大学生になり、何となく彼女が出来た男。 男が見ている春の景色は鮮やかな春色ではなく灰色だった。 男は夜中の息苦しさからコンビニを求めて…

男勝り、女を捨てている、仕事人間。 別に気にしているわけじゃない。 ただ、ちょっとだけ、今はそんな言葉が、堪える―― KAC2023の第4回、お題「深夜の散歩で起きた出来事」参…

アニメの世界を夢見てリアルに退屈していた少年・斬島京介(高校二年生)は、今日もつまらない一日を送っていた。半年ほど前からとても人間がやったとは思えない謎の事件が多発し、今日もその…

【あらすじ】 　悪役令嬢『キャロル・イーストン』は悩んでいた。 　学園にやってきた庶民の同級生『コーネリア・ウェイパー』に、つい居丈高な態度を取ったのを後悔していた。 　普段は…

私と彼との関係は1年経った今でも『恋人』なのか『セフレ』なのかよく分からない。私は彼と遊ぶ時間に重きを置き、彼は私を抱く時間に重きを置いてる。……面倒な話、ただそれだけの事だが、…

【第二キャッチコピー】 　うんうん、君ってすごいね！　（……あぁ、とっとと死ねばいいのに。） 【あらすじ】 　学年の聖女的存在。そう問いかければ帰ってくる答えは様々かもしれない…