「四年」を含む小説

　母は兄を愛している。 　兄のことだけを愛している。 　兄が先天的に病弱だと知り、自分も病弱な母は、わたしを生む決心をする。 　兄が四歳のときだ。 　兄の世話を焼かせるためだけに…

　妄想力がたくましすぎるためか、文体に恋をする。やっぱり健全に恋愛ができないと性癖が歪むんだろう。ディスプレイに映る活字から声が聞こえる。昔ネット上で恋愛のまねごとをしていたのが…

『堕天使の涙』に続く、野田詠月バンコク三部作の二作目。 十四年のお蔵入りを経て、ついに登場！

｢きっと、千石さんに話すために取ってあったんですね｡」 令和四年・五月――千石杏香は奇妙な話を聴いた。それは、ある社会問題に関わる知人の証言だった。今から二十年前――平成十五年…

拓人との四年に渡る不毛な恋は、浮気という最悪な形で終わりを迎えた。自分に自信がないからこそ結婚相手として選ばれたかった私となぜか頑なに結婚したくない拓人とは、一見波風の立たない穏…

　高校生ハープ奏者の翠（みどり）は、ハロウィンパーティーの会場で、マネージャー役の萌美（めぐみ）を待っていた。アーティスト本人より遅れて来るマネージャー、とろとろ女の萌美…。翠は…

ナルシストでガサツな女装の美少年「竜堂ナツキ」は、神経質で堅物な眼鏡の青年「竜堂秋人」と共に、漢方薬局「藍那堂」の二階に居を構えて「異能の絡む不思議な事件」の相談を請け負っている…

江戸総攻め、その三日前。 徳川幕府の治世、二百六十年をかけて極まったその矛盾と頽廃の終着点。 責を問われるべきは誰なのか？ 拠り所にすべきものは何なのか？ 征討大総督府参謀・西郷…

大学四年、人生最後の夏休みで暇を持て余していた冴えないバンドマン、当耶（とうや）が吊りをしていると、人魚姫が釣れた。 人魚姫曰く、近年、竜宮城の顧客満足度が低下しており、その原因…

【登場人物】 花柳　のん　〈はなやぎ　のん〉 高校一年 天真爛漫で元気だけが取り柄の女の子。 父親が単身赴任中の為、小学生の弟と2人で暮らしている。 栗色でふわふわの長い髪に…

　井戸を通って夜な夜な冥界に通い、閻魔大王の死者裁判を手伝っていたという平安貴族、小野篁（たかむら）の、冥界渡りのきっかけとなった若き日のお話です。 　京に戻って来た17歳の篁…

男は四人の魔王を倒し力の回復と傷ついた体を治す為に魔法で眠りについた。 三十四年の後、完全回復をした男は、配下の大魔女マリーに眠りの世界から魔法により連れ戻される。 三十四年…

「見損なったぞ、アンネローズ！　君との婚約は今日この場で破棄させてもらう！」 貴族学院の卒業記念パーティで婚約者である王子の口から飛び出したセリフに、「悪役令嬢」アンネローズは…

藤森あやめ（二十三）は十年付き合った幼馴染にフラれた。突然だった。 絶望に打ちひしがれたあやめは思う。 「もう男なんていらない、仕事に生きる！」 四年後、宣言通りに仕事に邁進する…

　天正四年（西暦一五七六年）、五月七日。摂津国天王寺。 　石山本願寺攻めの拠点である天王寺砦に籠もる明智光秀以下三千の将兵が、本願寺勢一万五千の兵に囲まれ、絶体絶命の危機的状況。…

西暦二〇八四年。一人の天才科学者が、タイムマシンを発明した。 彼は自らが発明したマシンが正常に動くか確認するべく、タイムマシンに乗り込み、過去への遡行を試みる。 それが、ある『生…

出張写真館を営む一礼人《にのまえ・あやと》は仕事の依頼を受け、成葉里村《なばりむら》へやって来る。 村では二週間後、四年に一度の秘祭、村を富み潤した媛神・藤媛を祀る『藤祭』がある…

　たんていもどき・おんぬきよつるのじけんたん 　 　死体で作品を作る超凶悪殺人鬼、四家深弦（しのや みつる）の死刑執行から四年。世間では彼の殺人のやり方と、『作品』をそっくり真似…

大好きな上野公園を何カ月ぶりかに訪れた「私」の話。 紀行文に挑戦してみました。 第3回角川武蔵野文学賞応募作品。

あらすじ 　二〇二四年六月二十七日。 　日本全国で同時多発的に発生した『とあること』が、日本の人口を大幅に減らした。 　このことは後に、日本初の『異形』発生例、そして日本政府発…