ある日、魔法使いになりました

@1105saridog

第一章

第1話 スルメって美味しいよね


「ねぇ、教室がすっごい臭いんだけど!!」


長くて綺麗な足を組み、鼻をつまみながら私にクレームを入れたのは、私の友人【若田 那月】



だって臭いのはしょうがない。え?オナラ?いやいやいや、この匂いはオナラではない。てか、今はオナラしてないし笑


この匂いの正体はスルメイカあたりめだ。


この硬さと、噛んでいると染み出してくるイカの旨味がもうたまらない!マヨネーズと七味があればもっと最高だが、ここは1時間目が始まる前の教室なのでそんなものは無い。



教室中にイカの匂いを充満させながら私は呑気にイカを食べ続ける。


「あ、若田もたべる?」


臭いと言いつつも実は食べたいのかな?と思ったので一応聞いてみた。


「要らないわ!」


あ、やっぱり?若田はずかずかと窓の方へ歩いていくと教室の窓を全て開け放った。


「若田〜寒いよぉ…寒い…」


「あんたのイカが臭うから開けたのよ!早く全部食べちゃいなさい!」


「うぅ…」


一応このあたりめは私の朝ごはんである。今日は寝坊をして、家でスルメが食べられなかったのだ。



今は11月の後半、もうすぐ12月といったところ。低血圧なので寒いとなかなか起きられない。

やっとの思いで起きてリビングにたどり着くと、弟のりんが支度を終えて家を出る所だった。


いつも一緒に家を出ているので、そこで時間がヤバイ事に気がついた。


「なんで起こしてくれたなかったのーー!?」


小学生の弟にそんなことを言う自分が情けない。


「3回も起こしに行ったけど、全然起きなかった。僕、今日係の仕事があるから遅刻できないの。じゃ、いってきまーす」


そういうとそそくさと家を出てしまった。


そうです、自分が悪いんです。しっかり者の弟はしっかりと朝ごはんのフレークを食べ、洗いものまで済ませて家を出て行った。


今すぐ家を出ないと遅刻確定なので、着替えを済ませ、買い貯めしているスルメを数本引き抜きラップに包んで鞄に入れたのだった。


以上が私が教室でスルメを食べている理由である。


誤解があるようなので言っておくが、毎朝教室でスルメ臭をさせているわけではない。いつもは家でちゃんと食べてくるから。


キーンコーン・カーンコーン


予鈴が鳴ると同時に入ってきたのはこのクラスの担任、前島渉まえしま わたる


担当教科は数学、黒板用のめっちゃでかい分度器と、コンパスを教壇の上に置くと口を開いた。


「この教室なんかイカ臭くない?」


前島がそういうと、クラスのほぼ全員が私を振り返り見る。

すいませんね、臭くて。もう食べ終わったから。そのうち匂い消えるからね。


どうぞ気にせず授業してください。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おい、スルメ女」


4時間目が終わり若田と昼飯を食べに行こうとしたら雑に声をかけられた。幼馴染で隣のクラスの城田 しろた りょうだ。


スルメ女とは侵害だが、何故お前が知ってる?


「若田ー、こいつにスルメの話した?」


「いや、してない」


「前島先生が、数学の時間に言ってたぞ。〝一組の女子が朝からスルメ食って教室が臭かったわー〟って。


教室でスルメ食うやつなんてお前くらいしかいないしな。」


はい、そうですね。

いいですよ、別にスルメ女でも。

ええ、強靭メンタル女なので気にしませんよ。


「飯、いくか?」


「私、カレーうどん食べたい」


「じゃあ食堂だな」


スルメしか食べてないからが腹がへった。カレー飛ばして制服汚さないようにしないとな……あ、フラグじゃないからね。


綾がさも当たり前のように私の机にかかっている鞄を持ってくれている。ありがたい。


「私、部活の昼練あるから部室でたべるね」


若田は弓道部の練習があるらしい。冬の大きな大会前だから忙しいのかな。


「りょー、また後でね」


お腹が減って限界なので私たちも食堂へ向かう事にした。


まじ腹へった。

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