「幻想 幻想文学」を含む小説

深い霧が立ちこめた石畳みの道を、ひとりの男が歩いている。通り過ぎる葬列、謎めいた言葉、同じ顔の男。 人生最後の選択の行方は。

ある田舎町の外れの家に住んでいる少女、サラ。 彼女はある病を患っていた。 病は「神により与えられた罰」という考えが世界の常識である世界で、少女は罪人や穢れた人間のように扱われてい…

ぼんやりと部屋の中で私は眺める。 200字ちょっとの短い作品です。

気鋭の音楽家・池永眞彦は、自身のチェロリサイタルで佐伯と名乗る美しい男と出会う。 次第に親しくなり家に招かれた眞彦は、不思議な魅力をたたえた彼のピアノとその奇妙な家族に次第にのめ…

最愛の彼女が海に消えた。 ＊　＊　＊ 気がつくと海の底にいた。 そこで、十年前から忘れられない、麦わら帽子の少女と出会う。 『ここは、海の底。なくした現実を取り戻すところ』 …

方々を渡り歩き、張るべき根を失った青年が作り出す、これは心象の風景である。

それは、病というには美しすぎた。 幼くして日本舞踊の華と称えられた娘・雛牡丹は病に倒れ、日舞の道を閉ざされる。 それは、才能があるものだけが罹患する《才咲き》という奇病であった…

カフェを経営するセルゲイはある日不思議な客を迎えた。時待たずして親友が何者かに殺害され、セルゲイは不思議な客・ヴィズドムィに疑いを持つも、次々と手に掛けられる仲間たち。真実を知る…

—— 魚は、実に美しかった。その細かな鱗は微かな燐光を発し、チカチカと明滅する。水面は陽光を反射して、スペクトルの欠片が、燐光と共に舞っていた。 清涼かつグロテスク、幻想的な短…

幻想文学が好きで、昨日、まさに夢うつつの最中に浮かんだ話を書きました。 猫は伸びて、襟巻きになります。

　人間と鬼との恋を描きたいと以前から考えていたものを形にした作品となります。これを書いた頃、ちょうど三島由紀夫先生の作品を読んでいた時だったので、その影響が出ているなと自分でも感…

　2020年、新年最初の作品となります。元日に書き上げました。

「痛みはいつか過ぎていきます」 今にも消え入りそうなほど薄命に見える少女が口にしたその一言は、今でもこびりつくように記憶している──森に住まう老齢のアルフレードは、再会を果たした…

大きな劇場に雨漏りの音。雫が落ちて消えていく。既にあるものと全的に邂逅する夜の抜け穴のような独立を、風のような夜の導きを、閉鎖的に開ける夜の静けさを、漂いの訪れる確かな朝の実証を…

【第４回創元ファンタジイ新人賞一次選考通過】【応募作140作中の上位17作】 　かつては竜が存在したが、今は絶滅してしまった世界で、人類は竜の骨に残されたまじないの力を利用して…

推奨年齢：１５歳以上

人間讃歌は勇気の讃歌

筆者が実際に見た夢の記録集である。現実の延長にある夢の世界をご賞味下さい

古代、神々との戦いに敗れ、地獄に繋がれた巨人達。その巨人達がこの現代に蘇り、人間達を蹴散らしながら行進していく。そんな彼らの前に一人の人間が立ちはだかる……。理性を武器に不条理に…

何処かの世界の、辺境の国で、年若い女たちが凍ってしまうまで。 昔、遠いところから教会を追われ逃げ出してきた人々がひっそり生きてきたところ。ベラソノという小さな国。吹雪を恐れ、崇め…