部屋の中のクラゲ

蒼狗

ある日の

 部屋で寝ころんだとき、逆さになった世界にあった金魚鉢が愛おしく思えた。

 飼っていた金魚が亡くなり、そのままの場所に空っぽのまま置かれていた金魚鉢。逆さのその姿はまるで部屋を漂うクラゲのようだった。

 私しかいない部屋。

 過ぎ去った日のどこかでみた、水族館のクラゲ達と重なった。

 隣にいた影はすでにこの部屋にはいない。

 数がひとつ減るだけなのに広くなり、静けさはより一層深まったように感じる。

 いっそのこと、あのクラゲがいる海の中へ行き、一緒に溺れてしまいたくなる。

 そんな最後の日だった。

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部屋の中のクラゲ 蒼狗 @terminarxxxx

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