自主企画「人工知能×青春小説」選考結果を発表いたしました。

KADOKAWA児童書編集者主催の自主企画「人工知能×青春小説」は、354作品のご応募をいただきました。

厳正なる選考の結果、優秀作品が決定いたしましたのでお知らせいたします。
選考はKADOKAWA児童書編集者が行いました。

総評

この度は「人工知能×青春小説」企画にご応募いただき、誠にありがとうございました。 このコンテストは「人工知能」をモチーフに登場させることを条件とした、YA世代(ティーンエイジャー)向け青春小説のコンテストです。
開始時から多くの方にご参加いただき、応募総数は354作品になりました。
ご応募いただいたすべての作品、著者の皆様に、心よりお礼申し上げます。 ロボットやタブレット、アプリ、ウェアラブルデバイスとして、はたまた人と見分けのつかない存在やペットとして。「人工知能」の解釈は多岐にわたり、作品ごとに十人十色の物質性と存在感を持って描かれており、新鮮な気持ちで拝読しました。
「人工知能の生んだ芸術は、人を感動させられるのか?」「人工知能に頼ったコミュニケーションは、本音と言えるのか?」等、現実世界で議論を巻き起こしている倫理的・哲学的なトピックスが織り込まれた作品も多く、大変読みごたえがありました。 募集時に願っていた通り、SF的な世界観をリアリティを持って描きつつも、人間の葛藤や心の成長を克明に描いた作品は多く、時に手に汗を握り、時に涙しながら拝読しました。 ご参加いただいた皆様には、改めて深く感謝申し上げます。

優秀作品

私がAIだった頃(坂月タユタ) kakuyomu.jp

※優秀作品は、担当編集者が付き、KADOKAWAより書籍として出版することを目指します。

 選評  今回、優秀作品に選ばれた『わたしがAIだった頃』は、幼いころ、脳に人工知能を埋め込まれた少女が、「普通になりたい」「どこまでが私の本当の感情なのか」と悩みもがきながら、演劇との出会いや、そこで出会った仲間との交流を通じて「自分」を獲得していく物語です。
人工知能を手軽に使えるようになり、自己の思考との境界が曖昧になる中で、「これは自分の力で出した答えなのか」と疑いはじめれば、人間関係、勉強、あらゆることに臆病になり、無気力になってしまうことは想像に難くありません。
そうした時代の転換期に思春期を迎える中高生にとって、道しるべになりうる作品です。

思わず目を留めてしまうような、ドラマチックなタイトルや設定の中に、中高生が一度は向き合うような普遍的な悩みや、地に足のついた人間関係が丁寧に描かれている点を、特に魅力的に感じました。
個性豊かなキャラクター造形、そして繊細な言葉の扱いが見事で、胸をつらぬくセリフが随所にちりばめられています。登場人物たちが、息をしてそこに実在している、と終始感じられたことも、優秀作品に選んだ理由の一つです。
作中劇が主人公の悩みとゆるやかにリンクしていたり、終盤で彼女の秘密が公になることが、痛みを伴いながらも殻を破るきっかけになったり、という展開の起伏もよく練られていると感じました。

KADOKAWA 一般児童書編集部


以上となります。
ご参加いただいた皆様には、改めて深く感謝申し上げます。

応募作一覧は、こちらからご覧ください。 kakuyomu.jp