概要
そんな彼女が出会ったのは、心を揺さぶる物語を書く少年と、感情を紡ぐように演技をする少女。二人に惹かれて入った演劇部で、柚葉は初めて自分の心と真正面から向き合い、少しずつ新しい自分を見つけていく。人工知能と演劇、その交点で揺れ動く心を描いた、優しい青春の物語。
全21話完結保証。この作品は【KADOKAWA 児童書編集者主催】「人工知能×青春小説」企画に参加しています。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!AIの先駆けを描いた傑作。心の機微がまぶしい
この作品は、AIを取り入れた作品のうち、私が拝読した中で格別に思っています。
多感な高校生、その自分の中の人工知能を隠し、意識する毎日。
自分とAIとの境界線で、これは自分なのかと苦悶する柚葉ちゃんは、とても人間らしくて読みながら心を揺さぶられました。
演劇を通じて、彼女自身を開放する・・・とても崇高なプロセスだと思います。
昨今のAIブームには辟易するものがあるが、今後も加速されてゆくのだろうと思います。
でも、この物語の柚葉ちゃんが感じた気持ち、千早くんや紗良ちゃんが支えて見守った気持ちを、忘れないでほしいです。
人の心は、なにものにも代えがたくて尊いものなのだから。 - ★★★ Excellent!!!もしも、自分の在り方に悩んだら……人工知能と演劇を描く青春物語!
幼い頃、事故により意識不明の重体に陥った鈴宮柚葉は、大半が機能停止した脳に人工知能チップを埋め込むことで一命を取りとめた。
成長し、高校2年生となった柚葉。
特に勉強しなくても成績はトップだが、その知識量とは裏腹に国語の文章問題は苦手だ。ハッキリとした答えのない問題はとくに分かりづらい。
柚葉は悩む。自分はやはり、人工知能によって動いているのではないか……。
先生の勧めで本を読むことにした柚葉は図書館に向かう。そこで、演劇の脚本を書いていた千早拓哉と出会ったことがきっかけで、演劇部の舞台を見に行くに。
その舞台で演じられた世界や久遠紗良の演技に感動し、心が動くのを感じた柚葉は、その感覚…続きを読む - ★★★ Excellent!!!私は、私自身を解き放ちたかったんだ。
主人公の柚葉は幼い頃に事故に遭い、生命維持のために脳内にAIを埋め込まれ一命を取り留める。現在、高校二年生の彼女はこの過去を誰にも言えない秘密にしながらも、脚本担当の千早と出会い演劇部に入るところから物語は動き出す。
特筆すべきは演劇という舞台装置を彼女の心の写し身として効果的に表現している点だ。言葉では表せない心の底が千早が織り成すセリフとして、彼女が主役を演じ、柚葉自身そのものが劇中ドラマティックに展開されていくのだ。
また興味深いのは、自分のアイデンティティーがゆらぎ、いま抱いている気持ちにさえ、懐疑的となってしまう精神面だ。
この気持ちはAIによってもたらされたものなのか?
読者…続きを読む