「ゲームシナリオ原作小説コンテスト」開催記念企画! 『グリムノーツ』プロデューサーに聞く、グリムノーツとゲームシナリオのお仕事のすべて!!



現在、好評開催中のグリムノーツ×カクヨム「ゲームシナリオ用小説コンテスト」

コンテストの開催を記念して、今回カクヨムではゲーム『グリムノーツ』のプロデューサーである株式会社スクウェア・エニックス石井諒太郎氏にインタビューを敢行いたしました。
作品の魅力は勿論、シナリオライターという仕事に関して、また今回のコンテストの狙いについてなどを語ってもらっています。
コンテスト参加者やシナリオライターを目指す人はもとより、ゲーム制作全般に興味がある人にとっても必読のインタビューとなっているのではないでしょうか。

題して……

『グリムノーツ』プロデューサーに聞く、グリムノーツとゲームシナリオのお仕事のすべて!!


──まずは自己紹介をお願いします。

はじめまして。『グリムノーツ』プロデューサーの石井です。スクウェア・エニックスではスマートフォンアプリのプロデュースを主に行っており、『ブレイブリーアーカイブ』に続き『グリムノーツ』が2本目となります。
また、今回はこういった形でコンテストを開催することができ、とても光栄です。


──カクヨム編集部でも楽しくプレイしています。累計DL数が1200万DLを超えたそうですが、その魅力はいったいどういったところにあると思いますか。

ありがとうございます!
イラスト、音楽、そしてシナリオと全体としての世界観と言いますか、雰囲気が好きだと言ってくださる方がとても多いですね。全体的にちょっと不思議な設定と、みんなが知っているベースとなるストーリーとの掛け合わせに興味を持っていただき、そこからゲームを始めてくださったようです。


──一般の投稿作品にもゲームを下敷きにした作品がたくさんあります。このインタビューの読者にもゲームに影響を受けた方はたくさんいると思うのですが、実際のゲーム制作はどのような流れで進むのでしょうか。

リリース前と後で違いが出てしまうのですが、最初の流れとしては、ゲームのコンセプトと、それを実現するためのゲームシステムの設計をまず行います。遊んでもらいたいターゲットなるユーザー層の設定を行った上で、このゲームにマッチした世界観、イラスト、シナリオなどの構想に入っていきます。
ここが固まれば、あとはひたすら作っていくフェイズですね。


──ゲーム制作の流れを教えていただきましたが、その中でシナリオライターの担当とはどのような役割なのでしょうか。

これはプロジェクトによってまちまちなのですが、「グリムノーツ」に関しては、ほとんどの世界観設定をシナリオライターの大泉貴先生にお任せしました。僕はコンセプトと満たして欲しい事をいくつかお伝えした程度ですね。それこそ、ゲーム内のフレーバーテキストから、アイテムの説明・設定、ボイス台本などゲーム内に存在する「テキスト」は大泉貴先生が担当しています。
ただ、ここまでシナリオライターが担当するのは稀で、基本的にはゲームの中の一場面の設定からシナリオ制作までを担当することが多いです。


──もしゲームのシナリオライターになりたいと思った場合、どうすればなれるでしょうか。また、シナリオライターを目指している方に向けて何かアドバイスはありますか?

どうすればなれるかは難しいですね……。
僕自身もともとシナリオライターだったので、僕個人の話をすると、ゲーム会社の場合は、シナリオライターはプランナーと兼務する場合が多いので、シナリオだけでなく、システムのプランナーとしての知識や経験を持とうとすることが一番最短のルートだと感じました。シナリオ単体でクオリティを求めようとすると、どうしても職業作家さんにお願いされてしまうことが多かったんですね。システムプランナーをやりながら「ぼく、シナリオも書けますよ!」というのが、実現度が高そうです
もしくは、小説家としてデビューするかでしょうか……。身も蓋もない返答となってしまい申し訳ありません。


──今回は「ゲームシナリオ用小説コンテスト」ということで、グリムノーツに実装されることを前提としたシナリオの原作小説をコンテスト形式で募集します。そもそも、このコンテストを開くことになったきっかけと、その狙いを教えてください。

もともと、ぼくの個人的な思いとして、「グリムノーツ」に関しては二次創作をどんどんやって欲しいという気持ちがありまして、そんな中でどういった展開方法があるのだろうと探した際にカクヨムさんに行き着きました。
そうして、コンテストを開催するのであれば、ゲーム内に実装した方が、みなさん楽しんで頂けるかなと考え、こういった形となりました。


──ゲームのシナリオと小説の違いはどういったところにあると思いますか?

商業小説にも同じことが言えてしまいますが、ゲームシナリオの方がより、いろいろな制約や縛りが多い傾向があります。システム的な都合や、最近はなくなってきましたが、昔は容量的な都合だったり……。あとは、少ない文字数で表現することを求められるので、文字数あたりの熱量が違うように感じています。
シナリオ型ではなく、よりキャラクター型と言いますか、特にアプリの場合は、エンディングまで含めたパッケージングではなく、この一瞬で読んだ人の心を掴みに行くようなテキストの扱い方の方が好まれる傾向が最近は特にあるなと感じています。


──グリムノーツはローンチ前のティザームービーでゲーム画面を一切見せずに、世界観や物語を見せることに集中するなど、物語やキャラクターを非常に重視しているように思えます。このゲームにおいて、そういった部分に注力した理由は一体なぜなのでしょうか。

「グリムノーツ」に関しては、受け手のみなさんに見て頂きたい順番に情報を発信していきました。最初に出した情報はゲームのプロローグにあたるところで、その後キャラクターやゲームシステムに触れるという形で、ローンチ前の情報の出し方は、実際にゲームを遊ぶことを疑似体験して欲しいという思いがあり、こういった展開となりました。
そういう意味でも、世界観や物語の部分というのは、自信を持ってみなさんに「おもしろそう!」と思って頂けるだろうという考えのもとに出していましたね。


──グリムノーツは様々な童話や歴史上の出来事などをモチーフとしたシナリオ、キャラクターを展開しています。これらのモチーフはどのようにして選んでいるのですか?

まずは、できるだけ知名度の高いであろうお話をピックアップし、その後にそれらのお話をモチーフにして良いのかの確認を行っています。その過程で、かなり多くの作品が権利の関係などで使用できないという事実に直面してしまうのが切ないですが……。その上で、現在考えているストーリーラインに沿ったものを選定する形となります。
最終的には大泉先生の好みに寄る事が多いですね(笑)


──今までグリムノーツで実装したストーリーやキャラに何か共通項があれば教えてください。また、反対にまだ実装していないタイプのキャラクターや物語はありますか?

共通項とは少し違ってしまいますが、「グリムノーツ」は主人公たち旅の仲間たちの成長譚であり、書き掛けの英雄譚として描いています。
そのため、登場しているヒーロー(キャラクターたち)は、彼らに対して何らかの影響を与え、役割を与えられなかったからこそ持つ空白の書のページに、何かを与える事ができる人物たちを描いています。最初にエクス(プレイヤー)がコネクトするジャックは、その典型ですね。これから見知らぬ世界に旅立つ勇気を持ったヒーローという立ち位置です。
まだ実装していないという部分では、これまでとは違ったアプローチができるキャラクターと、あまり背景が語られていない旅の仲間に深く関係するキャラクターが残っていますね。

──最後に、今回のコンテストに書き手として、また読み手として参加しているユーザーさんにアドバイスやお願いがあれば、教えてください。

書き手の方々には多くの制約を設けてしまったため、とても窮屈に感じているかもしれませんが、その中でも、主人公たちに新しい冒険を与えて頂けると幸いです。
読み手の方々へは、多くの作品が投稿されていますので、できるだけたくさん読んで頂けると嬉しいです。本当にうまくて面白いお話を書かれている方がたくさんいらっしゃり、ぼく自身も楽しんでいます。
また、もしまだゲームをプレイしていないという方は是非プレイしてみてください。書き手としても読み手としても、新しい発見・楽しみ方があるかもしれません。

このコンテストが更に盛り上がることを楽しみにしています。
みなさんよろしくお願いします!

──ありがとうございました。


「『グリムノーツ』プロデューサーに聞く、グリムノーツとゲームシナリオのお仕事のすべて!!」、いかがでしたでしょうか。

ただいま、カクヨムではグリムノーツ×カクヨム「ゲームシナリオ用小説コンテスト」が開催中です。インタビューを読んでご興味をお持ちいただいた方は、コンテストへのご参加をお待ちしております。