カクヨムの新たな取り組みについて

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2016年2月29日に正式オープンしたカクヨムですが、いつもご利用いただいているユーザーの皆様のおかげで先月無事に3周年を迎えることができました。誠にありがとうございます。また3周年を記念して開催しました「カクヨム3周年記念選手権(KAC)」へも多数のご参加ありがとうございました。おかげさまで大変盛況で、現時点で延べ5,542作品にご参加いただいております。重ねてお礼申し上げます。

今日から4月。新しい元号も発表されて心機一転、次の4周年や5周年、更にその先の10周年に向けて、カクヨムも新たなフェーズへと進んでいきたいと思っています。今日はそんなカクヨムのこれからについて、今後の開発方針や、新たな取り組みについて、ご説明させていただきます。

これまでの振り返り

カクヨムがオープンして3年間「書ける、読める、伝えられる。」を合言葉に、書くための便利な機能追加や読みやすくするための改善、小説の面白さを人に伝えるための新機能など、様々な改善を行ってきました。

オープン当初は作品は多く集まるものの読む人の数が十分でなく、なかなか閲覧数が伸びないという課題を抱えていましたが、その後の改善で毎月着々と閲覧数が増えてきました。下のグラフは毎月のサイト全体の閲覧数を表したものですが、特にここ1年程の伸びが大きく、去年の年明けに比べると現在は倍以上の数値に大きく伸びています。

閲覧数の推移

オープンしてからの3年間、毎日のようにユーザーの皆様からお寄せいただいております「ご意見・ご要望」や、ユーザーイベントなどの機会で直接伺ったサービスへのご意見を参考に、改善を続けてきました。その成果がようやく、実を結びつつあるのかなと思います。

ユーザーの皆様からお寄せいただくご意見の中から特に「作品を大切にする」ということの大事さを痛感しており、そこに拘り続けてきたつもりです。書いた文章が失われないよう簡単にバックアップを残せる機能、読みやすさや文字の美しさに最大限気を配った縦組み表示、作品の面白さを表現するためのキャッチコピーを画像にしてシェアする機能などです。ユーザーの皆様が心を込めて書いた文字や文章を大切にして、創作活動をずっと続けていただける環境を作り、守り続けること。今後もそんなサービスを提供していきたいと思っています。

新たな取り組み

こうした機能の追加や改善は勿論これからも引き続き行ってまいりますが、それに加えてカクヨムの将来へ向けた新しいテーマとして「Web小説を書く人が直接収益を得られる環境作り」に挑戦していきます。

小説を書き続けるということは、とても大変なことです。多くの方は創作活動とは別のお仕事や学業などの本業をお持ちで、少ない時間を工面して創作活動を続けています。そんな方々を応援し、創作活動をずっと続けられる環境を作る。がんばって書いた小説が少しでも報われるような、そんな環境を作っていきます。

これまで小説の執筆によって収益を得るには書籍を出版してその印税を受取るという方法が一般的で、書籍を出版できるかどうか、1か0かの世界だったと思います。今回の取り組みはこれまでの書籍化を否定するものではなく、1と0の間に新しい段階を設け、創作活動の間口を広げることで書籍についてもこれまで以上に拡大させ、創作活動全体を盛り上げていければと思っています。

「収益」と言ってもその方法は様々ですが、カクヨムでは大きく分けて、主に次の2つの方法を検討しています。

広告売上の分配と読者がお金を払う仕組み

まず最初に、広告の売上をお渡しする仕組みの導入です。小説の始まる前や読み終わった後など、なるべく読書の邪魔にならない箇所に広告を掲載して、その表示回数や貢献度などに応じて作者の方へ広告売上をお渡しするような形を想定しています。こちらは現在開発を進めており、今年秋の提供開始を予定しています。

2番目は、読者から作者へ直接お金を支払う仕組みです。例えば自分の小説の一部を有料で販売したり、読者から作者へ何らかの形で金銭的に支援ができる機能等です。単に読者から作者へお金を払うというだけではなく、読者と作者の新しい交流の形として、一緒に盛り上がれるような仕組みにしたいと考えています。ただこちらについてはまだまだ決まっていないことが多く、どんな仕組みが良いのか、どんな仕組みならカクヨムに一番フィットするのかなど、これからユーザーの皆様のご意見も伺いながら検討を進めていきます。

収益を受け取る方法ですが、ご自身の口座を登録いただいて一定額を超えたら都度振り込みで受け取ることができるような仕組みを検討しています。カクヨムのユーザーの皆様それぞれの管理画面で、自分の収益を確認したり振込依頼をしたりするような画面を作り、その仕組みの上にいろんな方法(広告や読者からの支払いなど)が乗ってくるようなイメージです。

収益を受け取る仕組み

こうした仕組みをしっかりとベースに作り、単体の機能追加で終わらずに、5年後、10年後も続く「Web小説を書く人が直接収益を得られる環境作り」に挑戦していきます。

まだまだ決まっていないことも多く、本日ご紹介した内容も変更となる可能性がありますが、これからユーザーの皆様のご意見も参考にしながら詳細を詰めていきます。ぜひユーザーの皆様の率直なご意見・ご要望をお寄せ下さい。開発・運営者一同で全てに目を通して、これからの参考にさせていただきます。また詳しいことが決まりましたら、順次お知らせさせていただきます。

4年目に突入したカクヨムの今後にぜひご期待ください。これからも、カクヨムをどうぞよろしくお願い申し上げます。