第29話 星降る夜の約束

砂漠の音楽会を後にしたシンちゃん、キラちゃん、そしてサンドフィッシュは、静かな夜の砂漠を歩いていました。太陽が沈み、砂漠の空には満天の星が広がっています。


「わあ、こんなにたくさんの星が見えるなんて!」とキラちゃんが空を見上げて感動の声を上げました。


「星がこんなに明るいと、砂漠がまるで宇宙みたいだね」とシンちゃんも嬉しそうに言います。


サンドフィッシュは少し考え込むようにして、「砂漠の夜空には、昔から星座にまつわるたくさんの伝説があるんだよ」と話し始めました。


三人は大きな砂丘の上に腰を下ろし、砂の冷たさを感じながら星空を眺めます。そのとき、ふと空にひときわ輝く星が現れ、ゆっくりと流れていきました。


「流れ星だ!」とキラちゃんが指を差します。


「願い事をしよう!」とシンちゃんが声を上げ、三人はそれぞれ心の中で願いを込めました。


流れ星が消えた後、シンちゃんは静かに口を開きました。「私、もっともっと強くなって、みんなと一緒にどんな困難も乗り越えたいなって思ったよ」


キラちゃんも微笑みながら、「私も、みんながずっと笑顔でいられる旅を続けたいって願ったよ」と答えました。


サンドフィッシュは少し恥ずかしそうに、「僕は、この砂漠がいつまでもこんなに美しく、不思議な場所であり続けてほしいなって思った」と話しました。


三人の願いを聞いて、彼らは互いに顔を見合わせ、自然と笑顔になりました。


そのとき、砂丘の向こうから柔らかな光が現れました。その光は三人に向かって近づき、やがて星の形をした小さな精霊が姿を現しました。


「ようこそ、星降る夜へ。私は星の精霊です。あなたたちの願いを聞き届けました」と精霊が優しく話しかけました。


「私たちの願いが届いたの?」とキラちゃんが驚いて聞くと、精霊は静かにうなずきました。


「砂漠の星は、願いを運ぶ橋渡しです。あなたたちの純粋な願いは、この砂漠に新たな力を与えるでしょう」と精霊は続けます。


精霊は三人に向かって、星のかけらのような小さな輝く粒を手渡しました。「この星のかけらは、あなたたちの願いを忘れないためのお守りです。旅がどんなに厳しくても、このかけらを見て自分を信じてください」


三人はその星のかけらを大切に受け取りました。


「ありがとう、星の精霊さん!」とシンちゃんが感謝の言葉を伝えると、精霊は星空に溶け込むように消えていきました。


砂丘の上で星のかけらを手にした三人は、再び空を見上げながら思いました。「どんな未来が待っていても、私たちならきっと乗り越えられるね!」


星降る夜に交わした小さな約束は、三人にとってかけがえのない力となりました。そして、砂漠の旅はさらに輝きを増し、新たな冒険へと続いていくのでした。

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