第18話 地下のトンネル

風の精に導かれ、砂漠を越える道を見つけたシンちゃん、キラちゃん、そしてサンドフィッシュ。三人は風の精が示した方向へと進んでいました。


その途中、地面にぽっかりと開いた大きな穴を発見しました。穴の周りには古い石でできた枠があり、まるで地下へ続く入口のようです。


「これ、もしかして地下に続いてるのかな?」とシンちゃんが首をかしげます。


キラちゃんは穴の中をのぞき込みながら、「なんだかワクワクする!でもちょっと怖いね…」と少し緊張した様子。


サンドフィッシュは地面に耳を当て、「地下には涼しい空気が流れてるみたいだよ。入ってみる価値があるかも!」と提案しました。


三人は慎重に穴の中へ降りることにしました。シンちゃんが先頭に立ち、キラちゃんがその後に続き、サンドフィッシュが最後に降りてきます。地下はひんやりとしていて、砂漠の暑さから解放されたような涼しさが漂っています。


トンネルは薄暗く、壁には古代の模様が彫られていました。動物の絵や星のようなマークが刻まれており、三人はそれを眺めながら進みます。


「これ、昔の人が作った道かもね!」とシンちゃんが興奮気味に言いました。


「うん、でもどこに続いてるんだろう?」とキラちゃんは少し不安そうです。


トンネルを進むうちに、やがて分かれ道が現れました。三方向に分かれており、どの道を選べばいいのか迷ってしまいます。


「どうしよう?」とキラちゃんが困った顔をすると、サンドフィッシュが「待って、ここに何か書いてあるよ!」と壁に刻まれた文字を指差しました。


シンちゃんが文字をよく見ると、そこには矢印のようなマークが彫られており、星の模様が描かれています。「これって、星空の地図と同じじゃない?」とシンちゃんが気づきました。


「本当だ!星空の地図を思い出せば道がわかるかも!」とキラちゃんも納得し、三人は星の模様が示す方向の道を選びました。


道を進むと、やがてトンネルは広がり、地下の大広間にたどり着きました。そこには大きな石の台座があり、中央には透き通った青い結晶が飾られています。結晶は暗闇の中でも輝き、柔らかな光を放っています。


「これ、すごく綺麗…!」とキラちゃんが感動して声を漏らします。


サンドフィッシュは「この結晶、きっと特別な力があるんだ。もしかしたら、地下の涼しい空気を作ってるのかもしれないね」と推測しました。


シンちゃんは結晶にそっと手をかざし、「砂漠の中にこんな素敵な場所が隠れていたなんて、驚きだね」と微笑みました。


そのとき、広間の隅から静かな声が聞こえました。「その結晶は、砂漠の命の源です。この場所は、旅人たちが涼を取り、力を取り戻すための休息の地なのです」


声の主は、地下に住む守り人のような姿をした小さな精霊でした。精霊は三人に向かって、「ここで十分に休み、次の旅への力を蓄えなさい」と優しく言いました。


三人はその言葉に甘えて広間でしばらく休み、冷たい空気と静けさの中で体を癒しました。


「ありがとう、精霊さん。私たち、次の冒険のためにしっかり休ませてもらったよ!」とシンちゃんが感謝を伝えると、精霊は「また砂漠で困ったときは、ここを思い出してください」と微笑みました。


三人は元気を取り戻し、再びトンネルを抜けて地上へと戻りました。砂漠の熱い風が再び彼らを迎えますが、心には涼しさと新たな力が満ちています。


こうして、地下のトンネルで得た休息を胸に、三人の旅は次なる冒険へと続いていきました。

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