第19話 大砂嵐の日

地下の涼しいトンネルで十分に休息を取ったシンちゃん、キラちゃん、そしてサンドフィッシュ。地上に戻った三人は、再び広がる砂漠の大地を旅し始めました。


しかし、空の色が徐々に変わり始めました。青空がかすみ、遠くの砂丘がぼんやりと見えなくなり、次第に風が強くなってきました。


「なんだか嫌な予感がするね…」とシンちゃんが空を見上げてつぶやきました。


キラちゃんは周囲を見回しながら、「これ、もしかして大きな砂嵐が来るんじゃない?」と不安そうな声を出しました。


サンドフィッシュも耳を地面につけて確認し、「うん、風の音がどんどん強くなってる。これは普通の嵐じゃないかも!」と警戒します。


三人は急いで風を避けられる場所を探し始めましたが、広大な砂漠には隠れる場所がほとんどありません。風はますます強くなり、砂が舞い上がって視界がどんどん悪くなっていきます。


「どうしよう、こんな中で進むのは危険だよ!」とキラちゃんが叫びました。


そのとき、サンドフィッシュが「あそこに岩が見える!あそこなら少しは風を防げるかもしれない!」と指を差しました。


三人は全力でその岩場に向かって走り、なんとか嵐が直撃する前に岩陰に身を隠しました。風は岩に当たってゴウゴウと鳴り響き、砂が叩きつけるように吹き付けています。


「ここでじっとしていよう。この嵐が収まるまで動かない方がいい!」とシンちゃんが提案しました。


キラちゃんは震えながらも、「こんなに大きな嵐、初めてだよ…怖いね」と弱気になりますが、シンちゃんが優しく「大丈夫、私たち一緒だからきっと乗り越えられるよ」と励ましました。


サンドフィッシュも「うん、スカラベさんが言ってた忍耐の知恵を思い出して。焦らず待つことが大事だよ」と声をかけました。


三人は風の音に耳をすませながら、嵐が過ぎるのをじっと待ちました。時折、砂が吹き付けて視界が真っ暗になる中でも、三人は互いに声をかけて気持ちを落ち着けます。


やがて、風の音が少しずつ弱まり始めました。砂嵐が通り過ぎたことを確信した三人は、恐る恐る岩陰から顔を出しました。辺りは嵐の影響で地形が変わり、砂が積もって見覚えのない風景が広がっています。


「すごい…砂漠の形が変わってる!」とキラちゃんが驚いて言いました。


シンちゃんは砂に覆われた新しい道を見つけ、「でも、新しい景色が待ってると思うと、なんだかワクワクするね!」と笑顔を見せました。


サンドフィッシュも「僕たち、あの嵐を乗り越えたんだね!きっとまた強くなれた気がするよ」と自信を取り戻しました。


三人は嵐の残した新しい砂の道を進みながら、これからどんな冒険が待っているのかを想像しました。大砂嵐を乗り越えたことで、彼らの絆はさらに強まり、冒険への期待がますます膨らんでいくのでした。


こうして三人は、新しい風景を胸に刻みながら、次なる未知の世界を目指して歩き始めたのです。

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