第12話 踊る砂の精霊
砂漠の市場を後にしたシンちゃん、キラちゃん、そしてサンドフィッシュは、新しい冒険に胸を躍らせながら広大な砂漠を歩いていました。その日も太陽が高く、砂の上を照らして熱気が漂っています。
「次はどんなものに出会えるかな?」とシンちゃんがワクワクしながら言うと、キラちゃんも「何か楽しいことがあるといいね!」と笑顔で答えました。
しばらく進むと、突然、周りの空気が不思議な雰囲気に変わりました。風が優しく吹き、砂がふわふわと舞い上がり、まるで誰かが踊っているかのように砂が動き始めたのです。
「見て、砂が踊ってる!」とキラちゃんが驚いて指を差します。
すると、砂の中から小さな光の粒が現れ、その光が徐々に集まって、砂の精霊たちが姿を現しました。精霊たちは透明な体に砂の粒がまとわりつき、まるで小さな砂の妖精のように見えます。彼らは風に乗りながら、楽しげに舞い始めました。
「すごい!砂漠にこんな素敵な精霊がいるなんて!」とシンちゃんが目を輝かせて言いました。
精霊たちは三人の周りをクルクルと回りながら、踊りの輪に誘うかのように楽しげに手招きをしています。シンちゃんとキラちゃんは誘われるままに手をつないで、精霊たちと一緒に踊り始めました。
砂の精霊たちは、軽やかに舞うように砂の上を滑り、風と一緒に踊っています。シンちゃんたちもそれに合わせて足を踏み出し、リズムに乗って回り始めました。砂の上での即席のダンスパーティーです。
「これ、楽しい!」とキラちゃんは笑いながらくるくると回ります。サンドフィッシュも「僕も踊れるかな?」と言いながら、砂の上で小さくジャンプしてみました。
精霊たちは笑顔を見せながら三人を囲み、砂の粒がキラキラと光を放ちながら、空に舞い上がっていきます。シンちゃんたちもその光の粒に包まれて、まるで夢の中にいるような気分です。
踊りが終わり、精霊たちはそっと風に乗って消えていきました。最後に、精霊たちのリーダーと思われる大きな精霊が三人に向かって微笑み、「砂漠の旅を楽しんで。いつでも私たちの踊りに参加しに来てね」と静かに囁きました。
「ありがとう、砂の精霊さんたち!」とシンちゃんが手を振ると、精霊たちはまた一瞬光を放ち、ふわりと砂の中に戻っていきました。
三人は少し名残惜しそうにしながらも、砂の精霊たちと踊ったひとときを心に刻みました。「こんな素敵な踊りができるなんて、私たちも砂漠の一部になれたみたいだね」とキラちゃんが微笑みます。
「うん、砂漠ってやっぱり不思議で楽しい場所だね!」とシンちゃんも笑顔でうなずきました。
こうして、三人は新たな思い出を胸に、再び砂漠の大地を歩き始めました。精霊たちとの踊りの余韻を感じながら、次はどんな不思議な出会いが待っているのか、心を躍らせながら旅を続けたのです。
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