第13話 迷路の谷

砂の精霊たちと踊った夜を経て、シンちゃん、キラちゃん、そしてサンドフィッシュはさらに奥へと進んでいました。冒険が続く中、次はどんな出会いや不思議な場所が待っているのかと、三人の胸は期待で膨らんでいます。


しばらく進んでいると、地面が少しずつ傾き始め、いつの間にか三人は広大な谷の入り口に立っていました。「ここ、なんだか迷路みたいだね…」とキラちゃんがつぶやきます。谷には入り組んだ通路がいくつも走り、どこを進めば良いのかまったく見当がつきません。


サンドフィッシュは地面に耳を当てて「うーん、この迷路の先にはきっと何か特別なものがある気がする」と言いました。シンちゃんもワクワクした顔で「よし、試練の迷路に挑戦だね!」と元気よく進み出しました。


三人は迷路の中に足を踏み入れ、曲がりくねった道を進み始めました。最初のうちは軽やかに歩いていましたが、何度も角を曲がるうちに、だんだんと迷ってしまったようです。


「さっきここ通らなかった?」とキラちゃんが首をかしげます。周りはどの道も同じように見え、どの方向へ進んでも見覚えのある場所に戻ってきてしまいます。


「これは本当に迷路みたいだ…」とサンドフィッシュも不安そうに言いましたが、シンちゃんは「大丈夫、忍耐と冷静さを持って進めば必ず道は見つかるよ!」と励ましました。


三人は落ち着いて周りを観察しながら進むことにしました。途中、壁に描かれた不思議な模様や、小さな石の標がいくつか置かれていることに気づきます。それらを頼りに進んでいくと、少しずつ道が見えてきました。


やがて、谷の中心部と思われる場所にたどり着くと、そこには巨大な石の像が立っていました。その像は、砂漠の守護者のような姿をしており、手には大きな砂時計を持っています。


「すごい…!これが迷路の中心に隠されていた秘密なのかな?」とシンちゃんが驚いて言いました。


すると、突然石像がゆっくりと動き始め、低く響く声で話し出しました。「よくここまでたどり着いたな、旅の者たちよ。お前たちは迷路の試練を乗り越え、忍耐と知恵を試された」


三人は少し驚きながらも、その言葉に耳を傾けました。


「この砂時計は、砂漠の時間を司るもの。砂の流れが止まることなく進むように、お前たちも仲間と共に進み続けよ」と石像が言うと、砂時計がキラリと輝き、三人の足元に小さな砂の粒が舞い降りました。


「これって、もしかしてお守りみたいなものかな?」とキラちゃんが砂粒を手に取ります。サンドフィッシュも「僕たちが旅を続ける力をくれるものかも!」と感激しています。


シンちゃんは砂粒を握りしめ、「ありがとう、守護者さん!このお守り、ずっと大事にするね」と微笑みました。


石像はゆっくりと再び静止し、谷は静けさに包まれました。三人は心の中で砂漠の守護者に感謝を伝え、迷路の出口へと向かって歩き出しました。


迷路の谷から抜け出した三人は、さらなる勇気と絆を胸に、砂漠の果てを目指して再び冒険を続けます。谷の迷路を抜けた経験は、彼らにとってまた一つの大切な思い出となり、これからも力を与えてくれるでしょう。

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