第24話 砂のライオン

涙のオアシスを後にしたシンちゃん、キラちゃん、そしてサンドフィッシュ。砂漠の旅を再開し、太陽が高く昇る中を進んでいました。オアシスで得た力と心の安らぎを胸に、三人の足取りはどこか軽やかです。


そのとき、遠くの砂丘の上に巨大な何かが見えました。それは、まるで砂でできたライオンのような姿をしています。


「見て!あれは…ライオン?」とキラちゃんが目を丸くします。


「でも、動いてないみたいだよ。砂でできた像かな?」とシンちゃんも不思議そうに言いました。


サンドフィッシュは目を凝らして観察し、「あれは『砂のライオン』だ!砂漠の守護者だって伝説で聞いたことがあるよ!」と興奮気味に答えました。


三人はその砂のライオンに近づいてみることにしました。砂丘を登り、その足元までたどり着くと、砂でできた巨大なライオン像が静かにそびえ立っています。彫刻のように見えますが、その目はまるで生きているかのように光を宿しています。


「すごい…砂でできてるのに、本当に生きてるみたいだね」とシンちゃんが感嘆の声を漏らしました。


すると、突然ライオンの目がまばたきをし、低い声で話し始めました。「よくぞここまで来た、砂漠の旅人たちよ。我が名は砂のライオン。この砂漠を見守り、試練を与える存在だ」


三人は驚きつつも「こんにちは、砂のライオンさん!私たちはシンちゃん、キラちゃん、そしてサンドフィッシュです!」と元気よく自己紹介しました。


砂のライオンはうなずきながら言いました。「この砂漠を進む者には、心の強さと仲間との信頼が試される。さあ、私が課す試練に挑む覚悟はあるか?」


三人は目を合わせて頷き、「もちろんです!」と声をそろえました。


砂のライオンはゆっくりと前足を動かし、砂を掘り起こすと、その中から三つの黄金の球を取り出しました。「これを砂漠の中で見失わずに、私の元へ持ち帰るのだ。ただし、風が強く吹き、砂が巻き上がるだろう。それでも、球を守り抜けるか試してみるがよい」


三人はそれぞれ黄金の球を受け取り、砂のライオンが指差す方向へ進むことになりました。しかし、歩き始めるとすぐに風が強まり、砂嵐のように砂が舞い上がり始めました。


「わあ、見えなくなっちゃう!」とキラちゃんが声を上げます。


シンちゃんは「大丈夫、絶対に球を落とさないようにしよう!」と励まし、サンドフィッシュも「みんなで助け合えばきっと大丈夫だ!」と言いました。


風が強まる中、三人はお互いの位置を確認しながら進みます。時折、砂に足を取られて球を落としそうになりますが、すぐに仲間が声をかけて助け合います。


「キラちゃん、右に寄りすぎないで!」「サンドフィッシュ、そのまま真っ直ぐ!」と声を掛け合いながら、三人は力を合わせて進みました。


ようやく砂のライオンの元にたどり着くと、三人とも黄金の球をしっかりと握りしめています。


砂のライオンはそれを見て満足そうにうなずき、「よくやった、旅の者たち。君たちの仲間との信頼と忍耐を見せてもらった。その絆は、これからの旅において最も大切な力となるだろう」と言いました。


そして、ライオンは前足を動かし、三つの黄金の球を一つに合わせ、それを三人に差し出しました。「この球は、君たちの絆の象徴だ。旅の中で迷ったとき、この球を見て心をひとつにしなさい」


三人は球を大切に受け取り、「ありがとう、砂のライオンさん!この球、絶対に大事にします!」と感謝を伝えました。


砂のライオンは静かにうなずき、再び像のように動かなくなりました。


三人は黄金の球を胸に抱きながら、次の冒険へと歩き出しました。砂のライオンとの出会いと試練は、三人にとって忘れられない特別な思い出となり、旅の大きな力となっていきました。

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