第34話 砂漠の夢売り
砂漠の時計塔で「時間を紡ぐペンダント」を手にしたシンちゃん、キラちゃん、そしてサンドフィッシュ。三人は新たな力と自信を胸に、次なる冒険を目指して歩き続けていました。
夕方、砂漠の地平線に奇妙な小さな影が見えました。それは、まるで屋台のようなものがぽつんと砂漠に置かれているように見えます。
「こんな砂漠の真ん中に屋台が?」とキラちゃんが目を丸くします。
「ちょっと怪しいけど、行ってみよう!」とシンちゃんが前に進みました。
屋台に近づくと、それは色とりどりの布で装飾されており、屋根の上には「夢売りの店」という看板が掲げられています。店の中には不思議な道具や小瓶が並んでおり、砂漠では見たこともないような品々ばかりです。
「いらっしゃいませ、旅人たち!」と、店の奥から声が聞こえました。現れたのは、長いマントをまとった小さな狐の姿をした店主です。
「ここは夢を売る店です。あなたたちの旅に必要な夢を見つけるお手伝いをいたしますよ」と狐が微笑みました。
「夢を売るってどういうこと?」とキラちゃんが不思議そうに尋ねました。
狐は手に持っていた小さな瓶を見せながら説明します。「この瓶には、砂漠で拾い集めた夢のかけらが詰まっています。瓶の中の光に触れると、あなたの心が本当に望む夢を映し出してくれるのです」
「それって、本当なの?」とサンドフィッシュが半信半疑で聞くと、狐は頷きました。「試してみますか?」
三人は興味津々で、一人ずつ瓶を手に取り、そっと光に触れてみました。
シンちゃんの夢
シンちゃんが瓶を覗くと、そこには自分が仲間と共に砂漠を越え、たくさんの冒険を成し遂げて笑顔で手を取り合っている姿が映し出されました。
「これが私の夢…みんなで砂漠を越えて、もっとたくさんの冒険をすることなんだ」とシンちゃんは微笑みます。
キラちゃんの夢
キラちゃんが別の瓶を覗くと、砂漠の中で仲間たちと楽しく踊ったり、歌ったりしている風景が映りました。砂漠が明るく輝き、笑い声が絶えない幸せな場所になっています。
「私の夢は、みんなが笑顔で楽しく過ごせる世界を作ることなんだね!」とキラちゃんはにっこりします。
サンドフィッシュの夢
サンドフィッシュが瓶を手にすると、そこには砂漠が豊かに潤い、美しい緑や花々で彩られている光景が映し出されました。動物たちが自由に駆け回り、平和な砂漠が広がっています。
「これが僕の夢…砂漠がもっと美しい場所になることなんだ」とサンドフィッシュは感慨深そうに言いました。
狐は三人の反応を見て微笑み、「あなたたちの夢は、どれも素晴らしいものです。この瓶の中の光を持って行きなさい。迷ったとき、夢を思い出す助けになります」と言って、小さな瓶を三人に手渡しました。
三人はその瓶を受け取り、「ありがとう、夢売りの狐さん!」と感謝しました。
狐は最後に一言、「夢を持つことは旅の力になります。そして、その夢を信じる心が、未来を作るのです」と静かに告げ、屋台ごとふわりと砂の中に消えていきました。
三人は夢の瓶を大切に握りしめながら、新たな決意を胸に旅を再開しました。
「この夢を叶えるために、もっと頑張ろうね!」とシンちゃんが笑顔で言うと、キラちゃんとサンドフィッシュも「うん!」と力強く答えました。
砂漠の夢売りとの出会いは、三人にとって自分たちの未来を考える大切な機会となり、旅を続ける新たな希望と力を与えてくれたのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます