第33話 砂漠の時計塔

砂漠の声の泉で得た七色の水を胸に、新たな力を感じながら旅を続けるシンちゃん、キラちゃん、そしてサンドフィッシュ。広大な砂漠を進む中、遠くにそびえる奇妙な建物が目に入りました。


「見て!あそこに高い塔があるよ!」とキラちゃんが指を差しました。


「こんな砂漠の真ん中に塔があるなんて、不思議だね」とシンちゃんが言います。


「何か特別な場所に違いないよ。行ってみよう!」とサンドフィッシュも興味津々で応えました。


三人がその塔に近づくと、塔の上には大きな時計が設置されており、鐘の音が静かに砂漠に響いています。塔全体は砂でできているように見えますが、驚くほどしっかりとした造りをしています。


「これは…砂漠の時計塔?」とシンちゃんがつぶやきます。


時計塔の入り口には古い扉があり、扉の上には「時を紡ぐ者のみ進め」という文字が刻まれていました。


「時を紡ぐ?どういう意味だろう?」とキラちゃんが首をかしげます。


「もしかして、この時計塔は時間に関する試練を与える場所なのかも」とサンドフィッシュが推測しました。


扉に手を触れると、静かに開き、三人は中へと足を踏み入れました。中には螺旋階段があり、その壁には砂時計がいくつも埋め込まれています。それぞれの砂時計は異なる速さで砂を落としており、まるで時間の流れがバラバラなように見えました。


「この砂時計、何か意味がありそうだね」とシンちゃんが言いました。


階段を上がる途中、壁に刻まれた文字を見つけました。「時間は一人で進むものではなく、仲間と共に紡ぐもの」という文が書かれています。


「仲間と共に時間を紡ぐ…?どういうことだろう?」とキラちゃんが考え込みます。


すると、階段の先に小さな広間が現れました。そこには三つの砂時計が並んでおり、それぞれに異なる量の砂が入っています。砂時計の横には「三人の力を合わせて同じ時間を作れ」という指示が書かれていました。


「これは私たちへの試練だね!」とシンちゃんが気合を入れます。


三人は砂時計をじっくり観察し、それぞれの砂時計をひっくり返したり、タイミングを調整したりして試行錯誤を繰り返しました。なかなかうまくいかず、時間の流れがバラバラになってしまいます。


「もっとお互いの動きを合わせないと!」とサンドフィッシュが提案します。


「じゃあ、私が『せーの』って言ったらみんなで一緒にひっくり返してみよう!」とキラちゃんが言いました。


三人は息を合わせ、タイミングを揃えて砂時計を動かしました。すると、三つの砂時計の砂が同じ速さで流れ始め、見事に揃いました。


「やった!成功したよ!」とキラちゃんが喜びの声を上げます。


その瞬間、砂時計が光を放ち、塔全体が振動しました。天井が開き、空からまばゆい光が差し込んできます。


「試練を乗り越えた君たちに、この時計塔の力を授けよう」という声が響き、三人の前に小さな時計のペンダントが現れました。


「このペンダントは、君たちが仲間と共に時間を大切にし、未来を紡ぐ力の象徴だ」と声が続けます。


三人はそのペンダントを受け取り、「ありがとう!」と声を揃えて言いました。


時計塔を後にした三人は、新たな力を手にし、さらなる冒険への期待を胸に進み始めました。砂漠の時計塔で得た教えと絆は、これからの旅において彼らの大きな力となることでしょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る