第6話 歌うサボテン
翌朝、シンちゃん、キラちゃん、そしてサンドフィッシュは、朝日を浴びて目を覚ましました。冷え込んだ夜から一転して、また砂漠の太陽が容赦なく照りつけています。
「さて、今日もがんばって進もう!」とシンちゃんが元気よく声をかけると、キラちゃんもサンドフィッシュも「おー!」と元気に応えました。
歩き始めてしばらくすると、どこからか不思議な音が聞こえてきました。まるで歌声のような、心地よいメロディーが砂漠の風に乗って聞こえてくるのです。
「ねえ、この音、なんだろう?」とシンちゃんが耳を澄ませると、キラちゃんも「砂漠で歌う生き物なんているのかな?」と不思議そうな顔をしています。サンドフィッシュも「僕もこんな音、初めて聞いたよ!」と興味津々です。
音のする方へ近づいてみると、そこには大きなサボテンが立っていました。そのサボテンは風に揺れるたびに「フ〜ンフ〜ン」と柔らかな音を立てて、まるで歌っているかのようです。
シンちゃんは「サボテンさん、もしかして歌っているの?」と声をかけました。するとサボテンはゆっくりと揺れて、しっとりとした声で「はい、私は風と一緒に歌を奏でているのです」と答えました。
驚いたキラちゃんは「うわぁ、本当に歌うサボテンだったんだ!」と目を輝かせました。
サボテンは優しく微笑み、「ここ砂漠では、昼間の暑さや夜の冷たさを乗り越えるために、歌を歌っているのです。歌は私たちサボテンの心を穏やかにしてくれるのです」と話しました。
シンちゃんはサボテンの歌に心を奪われ、「すごいね、砂漠でもこんなに素敵な音楽が聴けるなんて!」と感動していました。
「私たちも一緒に歌ってみたいな!」とキラちゃんが言うと、サボテンは「では、風が吹いたら私に続いて歌ってください」と提案しました。
そのとき、砂漠にさわやかな風が吹き始め、サボテンが再び歌い始めました。「フ〜ンフ〜ン、フ〜ンフ〜ン〜♪」シンちゃんとキラちゃんもそれに合わせて声を出し、サンドフィッシュも砂の中で「フンフン〜」と小さく口ずさみます。
三人の歌声がサボテンの歌声に溶け合い、砂漠の中に楽しいハーモニーが響きました。シンちゃんたちは自然と笑顔になり、砂漠の厳しい環境も少し忘れることができました。
「ありがとう、サボテンさん。君のおかげで楽しい気持ちになれたよ!」シンちゃんがお礼を言うと、サボテンも「こちらこそ、私も楽しい時間を過ごせました。またいつでも歌いに来てくださいね」と応えてくれました。
こうしてシンちゃんたちは、歌うサボテンと別れ、新たな元気を胸に旅を再開しました。歌声を胸に抱きながら、次はどんな出会いが待っているのか、ワクワクしながら歩き続けるのでした。
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