第9話 月夜の影の怪物

シンちゃん、キラちゃん、そしてサンドフィッシュが砂漠の旅を続ける中、ある夜のことです。広がる砂の大地に月が昇り、銀色の光が砂丘を幻想的に照らしていました。


三人は月の光を浴びながら休んでいましたが、キラちゃんがふと、遠くの砂丘の上に大きな影を見つけました。「ねえ、あれ見て!なんだか大きなものが動いてるよ…」


シンちゃんとサンドフィッシュもその方向に目を向けると、確かに砂丘の上に巨大な影がうごめいているのが見えます。まるで怪物のような姿をしていて、時折、月明かりに照らされながらゆっくりと動いていました。


「こ、こわい…!あれ、怪物かな?」とキラちゃんは震えながら言いました。サンドフィッシュも「僕もあんなの見たことないよ!」と不安そうな顔をしています。


しかし、シンちゃんは少し冷静で、「もしかしたら、ただの影かもしれないよ。スカラベさんが言っていた‘忍耐’と‘信じる心’を試すチャンスかも!」と言いました。


三人は勇気を出して、その影の正体を確かめるためにそっと近づくことにしました。砂の上を静かに歩き、砂丘を登りながら、心臓がドキドキするのを感じます。


影が見える砂丘の頂上にたどり着いたとき、三人は驚きました。そこにいたのは、怪物ではなく、大きなサボテンでした。サボテンは月の光を受けて、砂丘の上に巨大な影を落としていたのです。


「なんだ、怪物じゃなかったんだ!」とキラちゃんがほっとして笑い出しました。


サンドフィッシュも「月の光で影がこんなに大きくなるなんて、思いもしなかったね」と笑顔で言いました。


シンちゃんはにっこりと微笑み、「私たち、怖がっていたけど、真実を確かめたおかげで怖さがなくなったね。スカラベさんの言ってた‘信じる心’のおかげだよ!」と話しました。


三人はその場に座り込み、満月に照らされる砂漠の静けさを楽しみながら、ゆっくりと夜を過ごしました。時折、サボテンの影が風に揺れるたびに、三人はクスクス笑い合い、「もう、影には驚かされないぞ!」と誓いを立てました。


月の光が砂丘を照らす夜の砂漠は、怪物に見えた影も含めて、三人にとって忘れられない思い出になったのです。こうして、彼らは影の正体を見抜くことで新たな勇気を得て、翌朝の冒険に向けてまた少し成長するのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る