「これはひどいですね」
店内に戻った私達ですがマイバラ嬢は終始大興奮でした。
「"
ふんふんと鼻息荒く語るマイバラ嬢にミト嬢は気分を良くしてご機嫌ですね。
その代わりにむくれた顔のヒャッカ少年を私が慰めます。
「まあまあ……今回は"ミト"嬢が一枚上手だったのですよ。"ヒャッカ"少年はもう少し攻めっけを出しても良いかもしれませんね」
「だって、もしも"
「守りを固めても、結局意味なかったじゃん!"
ぐぬぬとなるもつかの間、自分でもその通りなのだと自覚しているヒャッカ少年は小さく『だってこええし……』と呟くのを私は聞き逃しませんでした。
その怯え……つまり、恐怖を乗り越える事がきっと彼の大きな試練となる事でしょう。
「さてさて"マイバラ"嬢、"ギアスファイト"の流れは大体分かりましたか?」
「はいっぺ〜」
「では次はデッキを作ってみましょうか」
「むむむ……でもあたすカード一枚持ってねぇっぺ……」
「HAHAHA、お嬢さんここが何のお店か忘れたのかな?」
ぬるりと会話に入ってきたアポロさんの手には6個の箱が抱えられています。
赤、青、緑、黄、黒、白にそれぞれ染められたその箱の正体は"サモナー"なら誰でも分かります。
「BOXじゃん!"アポロ"店長もしかして!!」
「新たなる"サモナー"の誕生を祝してプレゼントさ!六種全部ね!」
と言いながら私に向かってウインクするアポロさんに察した私はこっそりと頷きます。
この世界のカードパックは基本の六色にきっちり分かれていて、尚且つその中身はどういう原理か勝手に増えているのです。昨日までは全150種だったカードが次の日には152種、そして次の日には168種と増える数は日によって様々ですが毎日最低でも一枚は増えています。
しかも、その全てが色ごとに分かれているとはいえ一つのパックに統合されているのですから目当てのカードが引けるかは天文学的確率になってしまいます。
「すっげぇ!!」
「赤青緑……全部の色のデッキが組めるんじゃないの?!」
「わたすより二人の方が大興奮だっぺ〜」
わいわいとにわかに活気づいた少年少女達の輪からこっそりと離れて、レジ前まで移動しました。
にんまり顔のアポロさんが待ち構えています。
「ユギトくんまいどあり〜」
「まあ、良いのですけどね……」
プレゼントとは言っていましたがタダとは言ってないのと誰からのも明確にしていない事がポイントです。
現金をあまり持ち歩かない主義の私の財布から黒いカードが抜き放たれます。
「ブラックカード……結構な金持ちだよねキミ」
「まあ、ちょくちょく稼いでいますので」
『主に教団へのお布施ですが』という言葉を飲み込み、支払い手続きをしているアポロさんの動きを見ていますと世間話が振られます。
「稼いでるねぇ……そういえば最近物騒な話をよく聞くんだよね。何でも、辻サモナーって奴かな?それが"ギアスファイト"を吹っ掛けて来て、しかもそのファイトに負けると大怪我しちゃうって話」
「それはまた……負けた相手に暴行でも加えているのですか?」
「いやいやいや、目撃者によるとね。モンスターが実体化してファイトでのダメージがそのまま現実になってるって事らしいんだよ」
「ええ……?そんなファンタジーじゃあるまいし……幻覚じゃないのですか?」
「何人も目撃者がいるし、ガチっぽいよぉこれ」
アポロさんの言葉を神妙な顔で聞いていますが、正直に言いますとウチの教団が犯人です。
強いサモナーと戦う事で"サモンエナジー"という不思議エネルギーが発生します。その"サモンエナジー"は真剣であればある程より多く貯まりますので教団で開発した"ギアスファイト"のダメージをそのまま肉体に与える装置を使って相手を無理矢理にでも本気にさせているのです。
肝心の集めた"サモンエナジー"の使い道は……まあ、今は良いでしょう。
「怖いですね……私、弱いですから狙われたら大変ですよ」
「弱いのは"ユギト"くんよりもそのデッキの方じゃないかなー?キミ、知識は有るしさーそのブラックカードでもう少し使い勝手の良いカードを集めたらマシになると思うよぉ?」
アポロさんはそう口では笑って言いますが視線は鋭く私を見ています。
この変装用メガネには認識阻害効果が有るのですが、確信を持たれて見られるとその効果が無くなってしまいます。
彼の経歴は教団の力を持っても調べる事は出来ませんでした。正確には調べたが何も過去が無いという事しか分かりませんでした。
私と同じ転生者なのか……それとも、より厄介な存在なのか……少なくとも、彼の事は警戒に値する事だけは事実です。
「あはは……買い被りですよ」
「そうかな「すっげーー!!?」……おや?」
ヒャッカ少年の声に二人揃って振り返ります。すると、一枚のカードを握ったマイバラ嬢が目に映ります。
「【緑の繁栄】のレアバージョンだ!!初めて見たぜ!!?」
【緑の繁栄】
緑 コスト:1 スペル
このターン中、ターンカウンターの数を+2する事が出来る。
このカードの使用後にサモンされた緑を含まないモンスターは効果を発動出来ず、ターン終了時に破棄される。
キラキラと輝くそのイラストは縁取りがされていてさらにカードテキストの名称の部分が金箔をされており、確かにレアなバージョンだと言うことが一目で分かります。
確か一枚で数ヶ月は四人家族が生活出来るだけの価値はあったはず……
「キレイだっぺ〜……緑ってのがなんか
「緑に属するカードはコストを減らしたりカウンターを増やす事に長けています、やる事は簡単ですがやり込める奥深い色ですよ」
「決めたっぺ!わたす、緑のカード使うっぺ!」
そう宣言した瞬間に爽やかな風が吹いた気がしました。
そしてじんわりと隠しているデッキケースが暖かくなりましたね。ヒャッカ少年、そしてミト嬢と出会った時も同じ現象が起きたので恐らくはマイバラ嬢も主要人物の一人となるのでしょう……恐らくは初心者サモナーの枠でしょうかね?
「使う色を決めるのは良い事です。"ヒャッカ"少年、"ミト"嬢、お二人で"マイバラ"嬢のデッキ作成を手伝って上げて下さいな」
「俺は良いけど、"ユギト"のおっちゃんは手伝わないのかよー?」
「私が彼女の初めての"ギアスファイト"の相手に志願しようと思いまして……ほら、相手のデッキ内容を知ってしまうのは面白くないでしょう?」
「まあ、確かにそうですけど……んー…………うん、アタシと"
「でしょう?30分ほど外に出ていますのでそれまでに組んで下さいね」
返事を聞く前にさっさと私は退散してしまいます。ああ、怖かった。
アポロさんの前でボロが出てしまうと、後々厄介な出来事が起きる予感がしていました。
……念には念を入れましょうか。
スマホを取り出し、メールを打ち始めます。
From:ハクジョウ
To:オウドウ ジュン
件名:今日の夜のパトロール
ジュンくん、今日の夜のエナジー集めですがテンジンアポロを狙う計画でしたよね?
それを一旦保留でお願いします。
返信は一分ほどで返ってきました。
From:オウドウ ジュン
To:ハクジョウ
件名:Re:今日の夜のパトロール
分かりましたが……理由はお聞かせ願えますか?
From:ハクジョウ
To:オウドウ ジュン
件名:Re:Re:今日の夜のパトロール
私のやる事を何故説明しなければいけないのです?
冗談です、笑って下さい。
テンジンアポロは危険です。恐らくは私か……キミくらいの実力でなければ太刀打ち出来ないでしょう。
レイカ嬢やオニマルくんでは無理でしょうし、タクミくんはそもそも肉体労働したがらない子ですしね
From:オウドウ ジュン
To:ハクジョウ
件名:Re:Re:Re:今日の夜のパトロール
なるほど……では、そう伝えます。
三人とも強いサモナーですがやはり貴方には私も含めて遠く及ばないです……というか、何で私が彼らの分も纏めあげないといけないのでしょうか?
と、そこからはジュンくんの愚痴にうんうんと答える時間が暫く続きました。
教団でもトップクラスの実力を誇る彼は真面目な性格も相まって苦労を掛け続けます。
たまにはこういうガス抜きもしないと変な所で爆発してしまいますからね。
きっかり30分ほどの愚痴聞きでしたが、私の目線では知る事が難しい他の子達の新しい面が知れたので思いのほか楽しかったですね。
最後の方のジュンくんは感情が丸出しだったのも愉快でした。
「さて、デッキ構築はどんな感じです?」
「良い感じに出来たっぺ!"
「へへっ、良いって事よ!つうか俺の事苗字じゃなくて名前で呼んでくれよ、俺ら友達だろ?」
「そうそう、アタシの事も"
「ぴゃあ……!だっ、だったらわたすの事も
「じゃあ"
「俺はこのまま"
店内に戻ればグッと距離の近くなった赤青緑のトリオが楽しげに答えてくれました。
その様子が微笑ましくて自然と笑みが零れてしまいます。
「それは良かったです……さあ、ルールは覚えていますね?始めましょうか"マイバラ"嬢」
既にBOXが片付けられたテーブルのマイバラ嬢の向かいの席に座ります。
取り出すのは普段"ユギト"として使っているデッキです。
「「"ギアスファイト"レディセット!!」だっぺ!!」
デッキの横に表向きで互いにカードを出しました。
私が出したのは人形を抱えた暗い目の天使のイラストが描かれたカード。
マイバラ嬢が出したのは大きなお腹のタヌキの周りを子ダヌキが走り回っているイラストのカードです。
ユギト【天使人形コレクション】
VS
米原 翠子【豊穣の混沌坩堝】
「「スタートアップ!!」だっぺ!」
ジャンケンの結果は彼女の勝利のVを私の拳が打ち砕きました。
このデッキはさほどターンカウンターが重要ではありませんのでのんびりと進めていきましょう。
「では私の先行、ドローです」
ユギト 第一ターン
ライフ:10
手札:6 ターンカウンター:1
「私は【
【
白 コスト:1 天使
A:1 B:1
白い球体に翼が描かれたカードを場に出し、その下にさらにカードを配置します。
「アーティファクト【
【
白 コスト:1 アーティファクト・天使・人形
このアーティファクトが場に存在する時に自分の場の天使モンスターが破棄される度にコスチュームカウンターを一つ乗せる。
白い衣装棚の描かれたカードのテキストをふんふんとマイバラ嬢は読んでいます。
テーブルファイトではこうして近くにカードが置かれるので知らないカードによる初見殺しが効きません。
逆に"ギアスディスク"を用いたファイトでは知識が物を言うのでそういう意味では上級者向けとも言えます。
「私はこれでターン終了です」
「わたすのターンだっぺ!えっと……ドローフェイズをスキップしてカウンターブーストだっぺな!」
翠子 第一ターン
ライフ:10
手札:5 ターンカウンター:2
「強気ですね」
「ガンガン行かねぇとダメっぺからな。スペルカードの【緑の繁栄】を使うっぺ!」
「通すとコスト4のモンスターまでサモン可能になりますね……ちょっとそれは辛いので【白き制裁】で止めさせてもらいますよ」
「ぴゃー!!?」
マイバラ嬢が意気揚々と出したレアバージョンの【緑の繁栄】を同じく色の名前を冠した汎用札である【白き制裁】で無慈悲に止めます。
初心者相手でも容赦なく行くのが私です。
「コストで【
「むー…むー…!ま、まだ始まったばっかりだっぺ、落ち着くっぺわたす!【
【
緑 コスト:2 巫女・繁栄
A:1 B:1
このモンスターが手札からサモンされた時にデッキから【
葉っぱのような形の紙が付いた棒──御幣を振る少女のカードを出したマイバラ嬢はそのままデッキを見て一枚のカードを手札に加えました。その後、デッキを不慣れな手つきながらもしっかりとシャッフルしています。
「今手札に加えたアーティファクト【
【
緑 コスト:2 アーティファクト・繁栄
このアーティファクトが場に出た時、または自分の場に緑のモンスターがサモンされる度に豊穣カウンターをこのカードに乗せる。
自分または相手のターンに一度、豊穣カウンターを任意の枚数取り除く事で自分の場の緑のモンスター一体の
マイバラ嬢が使用したカードに描かれているのは自然豊かな場所のど真ん中に建てられた祠のカードです。効果は地味ですが、確実に効果の上げられる堅実なカードですね。
「ほー……良いカードですね」
「えん……"
「チマチマ言うなし!」
「アンタ、割とこういう地味パワーアップ系好きだもんね」
「地味も余計だってば!!」
プンスカしている百火少年をくすくすと笑ってしまいます。
彼のこういう熱血系主人公らしからぬ所はキャラ付けのアクセントでしょうかね?
「バトルっぺ!【
「受けましょう」
ユギト ライフ:10→9
「先制パンチ、食らっちゃいましたね」
「やったっぺ〜!これでわたすはターンを終わらせるっぺな!」
「では私のターン、ドローです」
ユギト 第二ターン
ライフ:9
手札:4 ターンカウンター:2
「さて、行きますよ?【
【
白・黄 コスト:1 天使・人形
A:1 B:1
このモンスターが手札から場に出た時、コスチュームカウンターを1消費する事でデッキから【
「その効果でデッキから同名モンスターを出しますが……何かありますか?」
「邪魔出来るカードは一枚もねぇっぺ〜」
糸で繋がれた天使のような球体関節人形が描かれたカードを場に出すとそのままデッキから同じカードを探して同じように場に出します。
こういう展開戦術が得意なのは黄の特徴です。その色を含んだこの子達も本家に及ばずながらも展開を行えます。
「バトルです。【
「わわわ!【
【
返り討ちにあう【
「では、二体目の【
「それは無理だっペ〜!!」
しょんぼりとした顔で【
対する私は特に感慨も無く二号機を墓地へ送りました。もちろん、コスチュームカウンターを増やすのを忘れてはいませんよ。
「ま、まだまだこれからよ"
「こらこら、ファイト中にアドバイスを送るのはマナー違反ですよ"ミト"嬢」
「あう……ごめんなさい」
「やーい、怒られてやんのー」
「アンタはうっさい!!」
二人の夫婦漫才は横に置いておき、マイバラ嬢は真剣な顔で手札を見つめています。カウンターブーストをすれば先のターンでやろうとしたことを出来ますが手札が心許なくなります。
しばらく悩んでいた彼女はカッと目を見開いてプレイを再開しました。
「わたすのターン、ドローだっぺ」
「ふむ?」
翠子 第二ターン
ライフ:10
手札:4 ターンカウンター:3
「わたすは【
【
緑 コスト:2 人・繁栄
A:1 B:1
このモンスターが手札からサモンされた時、自分の場の緑のモンスター一体と手札の緑のモンスター一体を選択する。
選択された場のモンスターを破棄してそのコスト分、手札の選択されたモンスターのコストを減らす。
「先ずは【
「なるほど……一ターン目で【
「そうだっぺ。でもさっきは出来なかったからちょっと困っちゃったっぺな」
「TCGは結局は相手の嫌がる事をして、自分のやりたい事を押し付けるゲームですからね……困っちゃう事はこれからも起きちゃいますよ」
「分かったっぺ!これでターン終了っぺな!」
しかし……中々戦術が出来ていると思います。
チラリとヒャッカ少年とミト嬢を見ますと二人は誇らしげな顔でマイバラ嬢を見守っています。
恐らくはデッキ構築の際に戦術も叩き込んだのでしょう……初心者と侮っていてはあっさりまけてしまうかもしれませんねこれは。
「私のターン、ドローです」
ユギト 第三ターン
ライフ:9
手札:4 ターンカウンター:3
ブーストしても良かったのですが……まあ、堅実に行きましょう。
マイバラ嬢の場にモンスターはいないので今のうちにアドバンテージを稼がせていただきます。
「【
【
白・黄 コスト:2 天使・人形
A:0 B:3
このモンスターがサモンされた時にコスチュームカウンターを任意の数取り除く事で取り除いた数だけライフを回復する。
「【
ユギト ライフ:9→10
"ドレッドギアス"はデッキに同名カードを四枚まで入れることが出来ます。
【
「バトルです。【
「あう……ライフ負けちまったっぺ」
翠子ライフ:10→9→8
ライフ、そしてボードアドバンテージは取りましたが……このまま押し切れるとは思えませんね。
「私はターン終了です」
「わたすのターン!」
翠子 第三ターン
ライフ:8
手札:4 ターンカウンター:4
「ここが勝負の分かれ目っぺ!【
【
緑 コスト:4 野獣・繁栄
A:2 B:4
このモンスターがサモンされた時に相手の場のモンスターの数が自分の場より多い場合、その差分だけターンカウンターを増やす。この効果で増やしたターンカウンターはターン終了時に無くなる。
ここで"ギアスモンスター"の"
「効果でターンカウンターを6に増やすっぺ!そして豊穣カウンターを二個取り除き、さらに【
【
緑 コスト:6 野獣・繁栄
A:4 B:4
このモンスターをサモンする時に、自分の場のカウンターを任意の数取り除く事で取り除いた数だけこのモンスターのコストを下げる。
このモンスターを場に出した時、相手の場のモンスター全てを破棄し、その数だけこのモンスターの
中々無体なことが書かれていますね。
前のターンに回復してなかったら削り切られてましたよ……
「【オオモリサマ】の効果だっぺ!"ユギト"さんのモンスター全てをパクパクするっぺな!」
「うーん……これはひどいですね」
効果で私の盤面は更地となり、相手の場には
コスチュームカウンターは3まで増えましたが……さてさて。
「バトルだっぺ!【サンダユウ】と【オオモリサマ】で"ユギト"さんを攻撃だっぺ!」
ユギト ライフ:10→8→1
「ターン終了だっぺ」
「これはキツくなってきましたね……私のターンです。ドロー」
ユギト 第四ターン
ライフ:1
手札:3 ターンカウンター:4
引いたカードを一目見て、さらに場の状況を確認してニコリと笑みを浮かべます。
「さあ、行きますよ。
【
白・黄 コスト:4 天使・人形
A:3 B:1
このモンスターがサモンされた時にコスチュームカウンターを二個消費して発動する。相手の場のモンスター一体を選択して封印する。
「【
「え、えええ!!??で、でもまだライフはいっぱい「スペルカード【
【
黄 コスト:2 スペル・人形
このスペルの使用時にコスチュームカウンターを一つ消費しなければならない。
自分の場の人形モンスター一体の
この効果の使用後に自分の場の人形モンスター全てを破棄する。
「さあ、私の墓地には人形モンスターは五体……3+5はいくつになりますか?」
「は、8だっぺ……うう、何もないっぺ〜」
翠子 ライフ:8→0
一息つくとパチパチと拍手が聞こえました。
目下、危険人物ランキング急上昇中のアポロさんです。
「おー初勝利じゃないの"ユギト"くん?」
「初めてファイトする人には流石に負けられませんよ……トップで【
「負けちまったっぺ……」
「ギリギリでしたよ、本当に……次やったら勝てる気しませんよ、末恐ろしいですね本当に」
マイバラ嬢に慰めの言葉を投げるとしょんぼりした顔を向けられて何故か胸の辺りに違和感を感じました。
その感覚に首を傾げているとヒャッカ少年とミト嬢が口々に慰めていましたがやがてそれはいつもの夫婦漫才に発展します。
プッと吹き出したマイバラ嬢につられて二人もまた笑いだし、ショップはにこやかな雰囲気に包まれていきました。
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